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2007年04月06日 / 倒れているお爺さんを助けた事件について

 おじさんにも学生時代というものが存在した。信じられないかも知れないが、人並みに勉強し、人並みに青春を謳歌し、人並みの人生を過ごしていた。何処で道を間違ったのかはわからないが、ある一定の時期までは割と普通の人生を過ごしていた。

 小学校、中学校までは徒歩で2分の通学時間。高校生になると自転車で1時間。一気に通学距離がアップしてしまうが、それはまぁ仕方のないことである。今考えるとどうってことのない距離なのだが、当時としては結構厳しいものだった。ぶっちゃけ、普通に通学するだけで一汗かく。軽い運動。朝練。体重も10キロは余裕で落ちたし、お陰さまでそこそこの筋肉もついた。まぁ、今となっては見る影もないですけどね!゚:・( つдT)・:゚

 名作『白き道の果てに』(※)の舞台となっているのが、この通学路だったりするのですが、さすがにこれだけの距離を移動するとなると、それなりの出来事が起きたりするわけです。『白き道の果てに』では描かれなかったエピソードなどもあるわけです。小学校や中学校の時は特にイベントとか起こりませんでしたが、高校生では色々なことが通学中に起きたのです。そうさ、起きましたとも!

※ 昔作ったノベルゲーム 欲しい人いたら上げます

 その中でも印象に残っているのが、「倒れているお爺さんを助けた事件」かな。件名を書いただけで、容易に内容が想像できてしまうのがアレですけど、今日はその出来事について書こうと思います。

 ……。
 …………。
 ………………。

 その日もいつものように起きて、いつものように高校へと向かっていました。モリモリと自転車を跳ばしていたわけです。そうしたら、その道中にお爺さんが倒れていたわけですよ。ずっげぇ唐突ですけどね。倒れていたものは仕方がない。その日は丁度中間テストの日だったんですけど、僕は迷うことなくお爺さんに駆け寄りました。

 「お爺さん! 大丈夫ですか?」

 どうも発作か何かでちょっとシンドイような感じで倒れていたお爺さん。軽装だった所を見ると、朝の散歩か何かの最中だったらしい。僕は救急車を呼び、お爺さんを乗せました。そして、再び学校へと向かおうとします。しかし――。

 「ちょ、ちょっとまてくれ。おまいさんは何処の学校の、何て名前じゃ? お礼がしたい」
 「いや、名乗る程の者じゃありませんよ」

 『くりぃむしちゅー』の上田ばりのしたり顔でお爺さんにそう言うと、僕はその場を後にしました。

 時間をロスしたので、学校まで跳ばしていきます。テストなので遅刻はマズイ。今考えればテストで何点とったかなんて、大したことはなかったのですが、当時は割と真面目に考えていました。遅刻したら、それだけで減点、もしくは入室禁止になるわけですから、急がなくては……と考えていたわけです。

 そういうわけで、跳ばしたお陰でなんとか遅刻は免れました。無事、テストも終わり、SHR(ショートホームルーム)の時間を向かえることができたんです。担任がやってきて、ちょっとしたお話があって、放課後に突入する。いつものパターン。ですが、そこで担任が

 「今日、登校時にお爺さんを助けた者いなかったか? 学校に問い合わせがきている。制服でこの学校の生徒だということはわかったが、名乗らなかったので名前はわからなかったらしい。是非、お礼をしたいそうだ」

 とか言ったわけですよ。

 ああ、僕のことかと思った。けど、僕は名乗りませんでした。お礼を期待して助けたわけじゃないし、この方が格好良いと思ったから。うん、そうだな。この時から、ある程度のおかしさはあったらしい。我ながら行動パターンが良くわからん。

 「あ、それ僕です」

 って、お前誰だーーーーーーーーーーー!!??

 想定外の出来事。何とお爺さんを助けたのは僕の筈なのに、他の生徒が名乗りを上げたのです。あまりにも唐突な出来事に、僕は行動するタイミングを見失ってしまいました。

 どう行動したら良いのかわかりません。「ちょっと待てよ!」とキムタクばりのリアクションを起こした方がいいのか。それとも枠無し芸人みたく黙っていた方がいいのか。

 でも良く考えてみたら、コイツが嘘を言っていたとしたら、この後すぐにバレる筈だよなと思った。もし“お礼”目当てに名乗ったとしたなら、速攻でボロが出るよな? お爺さんと面通しすれば

 「儂を助けたのは違うアンチャンだぞい」

 とかなんとか、そういう展開になる筈。でもって、しどろもどろ。グダグダのやっちゃった状態になる筈。

 だので、僕は何も言いませんでした。ここは静観するのが一番。そう判断したわけです。

 「おお、お前か。偉いぞ。最近は禄なニュースがなかったからな。先生は嬉しい」

 なんか褒められている。歓声とか上がっている。賞賛されている。クラスがそんな空気に包まれている。だが、俺の気分が妙にムカついているのはなぜだろう。もしかして、クラスのみんなの前で褒められたいと思っている自分がいる? 本来なら、この生徒の変わりに自分が褒められる筈だったのに、とか思っている? 俺はそんな矮小な男だったのか? ……男だったんだろうな。

 何が格好良いから黙っているだよ。人間、格好付けても禄なことにはならんね。と、そんな自分に腹が立ちつつも、今更名乗るわけにもいかず。どうにもこうにもI can not。八方塞がりです。

 「よし。じゃあ、放課後になったら職員室に来てくれ」
 「わかりました」

 おおおおお、それ、俺。俺の役目ー。ちっくしょう。なんかヒーローになってんじゃねぇよ! さっきは偶然かも知れないとか言ってたけど、そんな偶然あるわけねぇよ! けども、どうにもなりません。

 そして、場は散会し放課後へ。みんな散り散り帰っていきます。しかし、僕は自分の席から暫く動くことが出来ませんでした。なんだか、とても辛い。悲しい。空しい。もどかしい。様々な感情が囲繞している。

 僕はお爺さんを助けたのは一体何だったのだろう。なぜに、こんな気分を味わなければならないのだろう。なんか、疲れた。

 というわけで、僕は再び自転車に乗り家に帰ったのでした。いつもより道のりが長く感じたのは言うまでもありません。

 ………………。
 …………。
 ……。

 後になってからわかったのですが、名乗り出た方もその日お爺さんを助けていたのです。偶然に偶然が重なった出来事。それなのに、やたらと疲れてしまったオイラ。教訓として、何事もガンガン前に出ていった方が良いということを覚えました。その方が絶対得をすると! 引いても禄なことがないと!

 でも、今までの人生でその教訓が生かされたことは一度もありません。

 ゚:・( つдT)・:゚

コメント

結局、変に格好つけず、最初のときにおぢいさんに名乗っておくべきだったんでしょうね(´Д⊂ヽ

後悔先に立たずですよ゚:・( つдT)・:゚

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