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2007年04月19日 / 有り得ない展開

 子供というのはエネルギーの塊である。体力や頭脳という点では大人には適わないが、元気の良さ、エネルギーという点においては子供の方が強い。一緒に遊ぶと疲れるし、なんでそんなに元気なの? と不思議な気持ちにさえなる。

 思えばおじさんにもそんな子供時代が存在した。我ながら信じられないが、人間誰しも子供時代というものが存在する。ウンコをしないアイドルが存在しないように、子供時代のない大人も存在しない(どんな例えだ)。

 ちなみに当時は肥満児だったので、付けられたあだ名が「ドラえもん」「スイカ」「頭刑事(あたまデカ)」と子供って残酷だよね的なものであったが、それと今回の話はまったく関係ない。

 ……。

 元気があって、エネルギーが有り余っているということは、そのパワーが暴走するという展開も往々にしてある。大人は知らずの内にそのエネルギーを制御しているけど、子供にはそれが出来ないコトがある。

 そんな時に引き起こされるのが喧嘩だ。だから、喧嘩は子供に多い。中にはいい歳こいた大人が殴り合いの喧嘩をする――、定年間際の上司が犬猿の仲の部下と会社のロッカーで取っ組み合いをする、という笑えるようで笑えない出来事も最近あったが、まぁ喧嘩をするのは、大抵はエネルギーの余っている子供だ。

 そして、その喧嘩の殆どが大した理由もなく発生する。エネルギーが有り余っているから、ちょっとした衝撃で爆発するというわけだ。また喧嘩をしていたという事実は残るのだが、なぜ喧嘩をしたのか? その発端についてはすぐに忘れ去られる。それは、原因よりも事実の方が『ボキャブラ天国』風に言えばインパク値が高いからだ。ちなみに喧嘩両成敗というのは、大抵の場合どうでもいいことで喧嘩をしてることから生まれた言葉である。嘘だよ。

 とにかくそういうわけで、喧嘩というのはいきなり始まる。何何? 何が起こったの? という感じで周囲を騒然とさせる。僕がまだ小学校だった頃。その日もそんな感じだった。唐突に、それは始まった。

 ……。
 …………。
 ………………。

 「キーーーーーー」
 「カーーーーーーー」

 意味不明の奇声が教室内に木霊した。ただいま休み時間中。授業と授業の合間のほっとする一時。だが、そんな奇声が弛緩した空気を一気に硬直させた。

 「クーーーー!」
 「ケーーーーー!」

 喧嘩だ。どうして始まったのかはわからないが、女の子と女の子が喧嘩をしていた。これは非常に珍しいパターン。喧嘩というのは、大抵は男同士。女の子同士の喧嘩はさすがに口喧嘩が多い。けども、今は手が出ていた。エネルギーが暴発している。だから、みんな余計に注目する。何か始まった、何か始まった、と。

 「バカ! おたんこなす!」
 「うっさいのよ! パッパラピーマン!」
 「死ね!」
 「おまえのカーちゃんデベソ!」

 品のない罵詈雑言の嵐。口喧嘩+喧嘩のダブルパターン。ガタガタっと机が跳ばされ、教室内にスペースができる。女生徒二人の手が組まれ、睨み合いの硬直状態。

 そんな状態に関して、クラスのメンバーはただ状況を見守るしか出来ずにいた。なぜこんな状況になっているのかはわからないが、とにかく場のパワーが強かった。ただごとではない雰囲気。『キン肉マン』風に言うなら、「場の状況はわからないが、とにかくもの凄い迫力だ」という感じだろうか。

 硬直状態のまま、手を握り締めてにらみ合っている二人。お互いに力が込められており、パワーバランスが崩れれば、一気にはじき飛ばされそうな感じだった。ググググっと、力が込められており、二人の顔が真っ赤に染まっている。ピクピクとコメカミから血管が浮き出ている。

 力比べだ!

 これは力比べだった。プロレスなどで良くあるアレである。力のない方が指を持っていかれ、投げ飛ばされるというぶつかり合い。男同士のそれなら良く見るのだけど、女の子同士は非常にレアだ。ある意味、貴重映像と言えるかも知れない。

 どれくらい硬直状態が続いたであろうか。恐らく、現実時間では十数秒にも満たない短い時間だったのだと思う。しかし、その場は緊張状態だったので時の流れは緩やかになっていた。

 そんな時にミラクルが起きた。

 お互いが腕を交差! 交差! 交差!



 何、そのダンス!?

 『かまいたちの夜』のワカメばりの奇怪な動き。『ペナルティー』のワッキーみたいな踊り。ここに勇者がいたら、間違いなくMP(マジックパワー)を奪われるような、そんなダンスだった。

 ここでクラスの一同大爆笑。その動きがあまりにも面白すぎた。大真面目に取っ組み合いとしているだけに、余計に面白かった。お前達、なんて動きだと。どういう風に力を入れれば、そんな展開になるのだと。

 その爆笑で硬直した空気も一気に弛緩。その場ですぐに仲直りというわけにはいかなかったけど、余日には「大したことじゃなかったのにね」と笑顔(*^ー^)で握手。仲直りと相成ったのだった。

 ………………。
 …………。
 ……。

 喧嘩することもあるけれど、すぐに仲直りできるのが子供の良いところ。今の社会がどうなっているのかはわからないけど、おじさんが子供の時は少なくともそうだったなぁ。喧嘩したとしても、次の日には何もなかったかのように接することができたし、それはそれでイベントの一つだと思ってね。

 今の社会、色々おかしくなってきていると言われているけど、子供達に関してはそんなに変わってないんじゃないかな? そんなに簡単には変わらないよ。

 変わっているのだとすれば、それは親達の方であり――。

コメント

>当時は肥満児だった
今は痩せてるんですね。いいなぁ。

痩せているとまでは云いませんが、
普通の体型だと思います。

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