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2007年04月25日 / 『百鬼』の感想

◆コラム・論評 ==============================================
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 ほいみんの旅  第6回
                   『百鬼~淫黙された廃墟~』
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  サワッディー! ほいみんです。今回はエルフの『百鬼』についてのコ
  ラムです。エルフと言えば、WINの時代に突入してからはリメイクばか
  りで、「新作出してよー」とか「移植屋エルフ」とかいろいろ揶揄され
  てきましたが、去年の暮れから今年にかけてみれば、あれあれと立て続
  けに新作リリースで――、今度は逆にリメイクの方が恋しくなってしま
  いました……。ほら、あの作品まだリメイクしてないでしょ。ドから始
  まる奴とか、デから始まる奴とか……。

  うおっほん(咳払い)。

  一文が長くてすいません。まあそれはさておき、『百鬼』ですよ。孤島、
  廃墟、ミステリ、などなど面白そうなキーワードが扱っており、これは
  期待できると思ったわけです。イメージしたのは、「孤島という密室の
  中で起きた殺人事件。主人公は島の各地に鏤められた手がかりを探し出
  し、そこから犯人を導く」とそんな感じ。パッケージの裏にも「探す・
  集める・動く・考える・触れる」とありそれも良い感じ。

  が、実際には違ったわけで、その辺の齟齬がどう作品評価に影響を与え
  たのかと交えつつコラムの方を展開していきたいと思います。

   ▽エルフ
   http://www.elf-game.co.jp/

             * * * * *

  |友人に誘われるままに、旅行へと参加することになった主人公。しか
  |し、その旅行は参加することさえ他人に伏せていなければならないミ
  |ステリーツアーだった。わからない目的地。船に揺られること数日。
  |見えた場所は「廃墟の世界」応化島だった。そこで待ち受ける事件と
  |は……。

  このミステリーツアーの存在が胡散臭すぎてダメでした。ミステリアス
  な部分に惹かれるのではなく、引いてしまったわけで、詳しい理由は後
  で語られるにしろ、いくらなんでもご都合主義すぎやしないかと。なん
  というか、もうちょいナチュラルにできなかったんだろーかと。プレイ
  ヤーを惹きつけられるような導入に出来なかったんだろうかと。

  内容は文章を読み進めていくタイプのAVGです。選んだ選択肢、その他
  によってシナリオ分岐します。基本的にテキスト量は多いのですが、シ
  ナリオ量がそれについていけてません。大したことの無いネタでも、た
  くさんのテキストを使って説明しています。で、無駄な会話などが多い
  のですが、その分キャラが立つようになっているのかと言われればそう
  でもなく、なんというか空回りしているなーと。印象に残らないなーと。

  主人公の取った行動によって、起こる出来事がガラリと変わってしまう
  ようなマルチなシナリオを期待していたのですが、それも期待外れでし
  た。大幅な変化はしません。それでも少数精鋭主義で洗練されていれば
  良かったのですが、やっぱり駄目でした。

  おそらくはメインのシナリオに当たるのであろうミステリ編なのですが、
  プレイヤー介入の余地が薄すぎです。驚いた事に移動場所の選択ができ
  ません。「さあ、次は○○へ行こうか」みたいな感じの繰り返しです。
  自分で探索して証拠を探し出して……というフラグを立てる必要がまっ
  たくありません。いくらなんでも簡単すぎというか。そうなってくると、
  プレイヤーに謎を解かせようとしているのか、すらわからなくなってき
  ます。犯人の入力があるので、恐らくは自力で解かせようとしているん
  だと思うのですが。中途半端なんです。もちろん、誰にでも解けるよう
  に配慮してる……という見方もできるわけで、現にその通りなんでしょ
  うけど、もう少しどうにかならなかったのかと思います。

  他のシナリオについても同様の認識です。

  で、なぜにこんなネガティブなことしか書けないのかと言うと、作品全
  体を通してプレイヤー側に通して伝わるものがないのですよ。結局、何
  を言いたいのだかさっぱりわからないんです。事件が始まって終わった
  なーと。それだけにしか見えないんです。何を伝えたいのかがわかれば、
  それを元にいろいろと考えられるのですが、それがわからないと……ど
  うしようもないです。

  と、これで終わるのもアレだなぁ、と思ってまたパッケージの裏とか眺
  めてみたのですが、そしたら「複数の短編小説とマルチシナリオで構成
  されたコラボレイトアドベンチャー」との下りが。そうそう、本作には
  本編の他に15の短編が入っているんですよ。これの出来は良かったです。
  5~15分程度で読み終わるお話が15編。恐怖、感動、怪奇、感動など様々
  なお話があり、どれもぎゅっと内容が詰まっていて読み応えがありまし
  た。

  ただ、作品内での扱いがおまけ的すぎというか。最初の3編以外は、タイ
  トル画面からの別メニューで読ませるんですよ。本編では読むことがで
  きないんです。「15の物語」については重要なのですが、物語の内容に
  ついては本編にほとんど絡まないんですよね。ちょっと勿体なかったよ
  うに思います。確かに無理矢理盛り込もうとすると、本編を進めるリズ
  ムが狂うとは思ったのですが。

  システムはうってかわっての丁寧な作りです。なぜかフルスクリーンで
  起動できないのですが、それ以外は非常に良好。シナリオ分岐の仕方な
  どが一目でわかるような図が表示されて、自分が進んできたシーンなら
  いつでもどこでも移動することが可能です。通常、セーブは何処でもす
  ることが可能なのですが、このシステムのお陰で通常のセーブは必要な
  いくらいの勢いです。

  が、このシステム。親切過ぎるのが仇という感じもします。シナリオ分
  岐が滅茶苦茶複雑で難解なものなら、ユーザーフレンドリーとなりえた
  のかもしれませんが、この作品には上記に挙げた通り複雑な分岐があり
  ません。フラグも簡単です。正直な話、システムに対してシナリオが空
  回りしているなーと。複雑な分岐ありきで生きてくるシステムだと思う
  んですよね。このシステムを搭載するのであれば、もっと分岐を複雑に、
  分岐を複雑にしないのであれば、搭載しない方が良かったのではないか
  と思います。

  エロに関しては好印象です。充実しています。本編に盛り込まれたエロ
  以外にも、特定の条件を満たすとタイトル画面から別メニューでエロに
  入れるのですが、本編では考えられないシーンなどがあったりしてサー
  ビス満点です。テキストもCGもエロエロで満足のできる仕上がりでした。

  ……とまあ、そんなこんなで総評なのですが、やっぱり辛辣な評価にせ
  ざるを得ないです。各素材の出来はよろしいのですが、組み合わせると
  どうにも食えないというか。良いところはいっぱいいっぱいあったのに、
  どうしてこんな様になってしまったのでしょうか。それでも、見所はた
  くさんありましたので、次に期待しますです。頑張ってくださいです。


  【 ほいみん 】―――――――――――――――――――――――――

     お堅いことで有名なメールマガジン「ゲーマーズライフ」唯一の
     汚点。砕けた過ぎた文章は誌の品性を低下させ、様々な意味でい
     つもみんなの頭を悩ませている。趣味は切った自分の爪を収集す
     ること。好きなサイトはプロジェクトDのページ、好きな言葉は
     明日できることは明日すればいいんだ、好きなコンビニはオーソ
     ン、好きな掛け声はとってんぱーのにゃんぱられ、好きなアイド
     ルは田村えり子、好きな食べ物はへんでろぱ、好きな秘密道具は
     アンキパン。尚、ちょっぴり自虐的。

     とか定型紹介文を考えてみたのですが、如何なものでしょうか?
     ……駄目ですか。そうですか。

           E-mail: webmaster@hoimin.com(←今は使えません)
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 2002年6月5日 稿

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