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2007年05月04日 / 愛しさと切なさと悲しさと

 感情で人生を振り返ることってあまりなかったりする。

 たとえば「あなたの人生で一番楽しかった出来事は何ですか?」とか「あなたの人生で一番悲しかった出来事は?」とか、そういう質問はとてもありがちですが、すんなりと答えるのは難しい。いや、もしかしたら即答できる人もいるかも知れないけど、大抵の人は多くの候補が脳裏に思い浮かび、それからチョイスするのに時間を喰う。

 実際には順番を付けやすいものだと思うのだけど、人間は様々なことを忘れることが出来るので、回想するととてもあやふやになる。

 けど、僕の場合「あなたの人生で一番悲しかった出来事は何ですか?」になら即答できる。今日はその話をしたい。

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 「加藤、おまえ生徒会に立候補してみないか?」

 唐突に担任が進めてきた。なぜ進めてきたのかは良く分からない。クラスの数名に声をかけるのが先生のノルマだったのか(立候補者はあまりいない)、それとも僕という人物に魅力があったからなのか。恐らくは後者だと思うのだけど、とにかく担任は僕に声をかけてきた。

 生徒会。今思えばちゃんちゃらおかしいというか、鼻で笑い飛ばすというか、禄でもない、わずらわしいだけの厄介な組織だったのだけど、中学当時の僕にとっては花形だった。

 立候補して、当選し、メンバーに加わる。生徒会は各行事に参加する権限があるので、あらゆる面で活躍できる。生徒の面々で目立つことができる。ついでに内心もよくなる。

 これが高校生とかになると、禄な権限ないのだけど、中学時代の生徒会というのは結構存在感のあるものだった。やりがいありそうだったし、楽しそうだった。何より目立っているのが格好良かった。

 僕は迷った。どうしたものかと思った。今なら脊髄反射でNoと答えるけども、当時は割と熱かったんだな。やりがいがありそうとか本気で思ってしまったんだな。あとちょっとだけモテそうかな? とかそういう邪心もあった。うん、まあしゃーないよね。そういう年頃だったんだよね。

 というわけで、生徒会に立候補した僕。

 選挙ポスターを作ったり、校門の前でタスキをかけて挨拶したり、朝礼時に挨拶したり。エトセトラ、エトセトラ。

 で、選挙の当日になりました。当日には投票の前に立候補者と立候補者の応援者による演説をするという場がありました。そこで自分の考えをアピールして、投票の際の参考にしてもらおうというアレです。

 まぁ、学校内の知名度やら部活の組織票など様々ありますが、この演説のプライオリティはメチャクチャ高い。ここでしっかりとアピールできれば、まず当選は間違いないと、そういう場だったわけです。

 僕は一生懸命に演説しました。そりゃあ、もう一生懸命語りましたよ。僕が生徒会に入ったら、給食をステーキにして、校舎にはエレベーターを設置するとか、嘘800を吹いた吹いた。

 これ、ネタっぽく語ってますけど、割と本当の話ですからね。「おまえ、あれはダメって言っただろう」とかあとで先生に怒られましたからね。

 けど、そのかいあってか結構民衆には受けたんです。反応は上々。全校生徒の目の前で演説するのは大変だったけど、なかなか面白かった。受けた受けないって、まるで芸人みたいですが、まあ当時は目立ちたがり屋さんだったのですよ。

 で、次に僕の応援者による応援演説です。僕が頼んだのは部活の部長! こりゃあ鉄板ですよ。殆どがクラスの同級生に頼んでいる中、先輩に頼んだのは僕だけ。年上の票も取り込めるという思惑なわけです。

 「続いて加藤君の応援者の木村君の番ですが、今日は風邪によりお休みです。頑張ってくださいと言伝がありました」

 どっかーん。

 いやあ、受けたね。俺様の演説なんてまるでなかったかのような大受けぶりでしたよ。校長とか教頭クラスまで笑ってましたから。いやあやられた。大一番で部長に裏切られたわけです。

 ありえねえ。ありえねえ。

 風邪なんてありえねえ。100%仮病だ。

 確かにちょっと強引に頼んだっていうのはあったんですよ。けど、うん。この仕打ちはちょっと悲しかった

 結果はいわずもがな。散々なもので最下位落選ですよ。そして、二度とこの手の催しには参加しないことを誓ったのでした。

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 というわけで、僕は「悲しいとき」と言われた時、まず第一にこの事件を思いだすのです。

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