◎はじめに
というわけで、『ワイルドアームズ5』の感想である。ぶっちゃけ、前作の手抜きイメージが残っていたので、今回は発売日には買わなかった。各地での評判を見て、それなりの出来なら買おうと思ったんだな。でもって、発売日の反応を見たら結構微妙な感じ。これはどうなんだろう、ということで暫く保留状態。金子氏がシナリオをあまり書いていないというのも気になったし、なるけみちこ女史が音楽作ってないのというのも、やっぱりマイナスイメージだったわけで。
けどまあ、なんていうのかな。やはり気になるものは気になるというか。なんだかんだで、このシリーズとの付き合いは長いわけで。2、3、F、4と全てネットに感想をアップしているし、前身である『天使の詩』『天使の詩II』もプレイしている。それと一年に一本くらいはRPGをしておこうという気もしたのね。たまにはゲームもしておかないと、(俺の)脳みそに悪いというか(どういう脳だ)。
そんなこんなで、プレイしてみたわけなのだけど、これが最低イメージで始めた所為か思いのほか良かった。なんで世間での評判がイマイチなのかよーわからん。なかなかの力作になっていたと思う。
というわけで、以下はいつものような感想を。ちなみにほぼコンプリート状態までクリアしてます。隠しアイテムのナインライヴスを入手するくらいにプレイしてます。その時点での感想です。
◎キャラクター
今回はメインが6人。Fと似たような構成。ただ、シナリオ的に6人は多すぎた。空気キャラが存在し、他キャラと比べるとどうしても地味になってしまう。「コイツ、パーティーに加わっている意味あるのかしら?」と思うのが何人かいたわけで、途中でシナリオ補完されるものと思っていたのだけど……最後までそのままだった。まあ、シナリオ的には×でもシステム的には6人の方が良いと思うから仕方ないんだけどね。
主人公ディーンは昔の少年漫画の主人公みたいなタイプ。頑張ればなんでもできるぜッ! 信じればなんでも叶うんだぜッ! みたいな青臭いセリフがポンポン飛び出して、おじさんプレイヤーには少々むずがゆい。ただ、ウザイと感じる程ではなく微笑ましい感じの主人公。歴代の、様々な意味で個性的な主人公達に比べると物足りない部分はあるが、たまにはこういう王道タイプも良いんじゃないかなーと。そうそう。ディーンといえば、GBの『SaGa3』も同じ名前の主人公だったけど、ゲーム的に被っているといえば被っているのかも知れない。いろんな意味で。
で、その幼なじみのレベッカ。物語の記録人。ある意味、本当の主人公。ディーンラブなのだけど、それが表に出せないという昔の少女漫画みたいなキャラクター。アクの少ないキャラ群の中で、唯一、主張しまくりな人物。それ故に目立ちまくりで、ウザいと思われるかも知れないけど、彼女がいなかったら何の味もないストーリーになっていただろうと思う。そういう意味で、存在意義の強いキャラ。……そういえば、サーカスの話はどうなったんだ?
謎のヒロイン、アヴリル。ありがちな謎めいたヒロイン。この人もある意味主人公。物語の根幹に関わり、ディーン旅立ちのきっかけにもなった人物。様々な意味でベタ。
復讐に燃える男、グレッグ。ぶっちゃけ劣化版ザックなのだけど、西部劇といえば復讐なので、ありといえばアリ。イベントも多く、主人公一派としての見せ場も多かった。『ジョジョの奇妙な冒険』で例えるならポルナレフみたいなキャラだったかなーと。
後の二人(チャックとキャロル)はあまり印象にない。イベントを盛り込む時間がなかったのか、システムの為の数合わせキャラだったのか。……恐らくは両方なんだろうな。
敵達。今回の敵は様々な意味でとてもベタ。自分のしていることに疑問を感じている人、殺戮が生き甲斐の人、敵に恋しちゃう人とかいる。当然、四天王もいる。「アシュレーウィンチェスター!」の人とか、半魚人や、チェーンソー男のような個性的なキャラはいない。良い意味でも悪い意味でもベタ。
他。歴代シリーズのキャラクターのそっくりさんが登場する。や、これがパラレルワールドのファルガイアと考えれば、そっくりさんというよりは別の可能性の元に生まれてきた本人とも考えられる。ファンサービスとしては良いかと。
◎シナリオ
前回のような打ち切りストーリーではない。『1』や『3』くらいのボリュームはある。今回はちゃんと予算と開発期間があったようで、それについては安心した。如何せん前作が見事な程に打ち切りだったもので。ぶっちゃけ、続編すら作られない可能性も考えたものなあ。そういう意味では良かった良かった。
テーマは「信じればなんでもできる」。これまたベッタベタ。謎のヒロインが現れて、旅に出て、強敵が現れて、それに破れて、でも想いの力でそれをうち破る――みたいな青春活劇。
ただ王道というのは、そんなに悪いことではない。起承転結が行き届いていれば、それなりのカタルシスを得られるし、途中でプレイを放棄することも少なくなる。なぜなら、王道というのは安心でもあるからだ。燃える展開、泣ける展開、笑える展開、わかりやすい伏線。なんだかんだで安心して楽しめた。
ここはこうなって、次はああなって、最後はこんな感じかな……というストーリー予想が簡単にできてしまうのだけど、わかっていても王道というのは楽しい。
◎システム
前作のパワーアップ版。基本的なシステムは前作と同じ。前作で出来なかったことを加えて、前作の反省点を生かした感じ。だから、しっかりしているし面白い。洗練されている。
特にアウトフィールドの復活は大きい。これがあるかないかで、世界観が全然違うのがわかる。やっぱ、前作は手抜き過ぎたよなあ。箱庭ファルガイアという感じだったもの。広大なフィールドがないとね。
それとグッズの復活。前作はダンジョンに落ちているグッズを使って、仕掛けを解いていくというものだったけど、やはりグッズは自分で所有して使った方が楽しい。正確にはグッズではなくて、ARMにグッズ機能がついているという感じなのだけど、やることは一緒。
ただ難易度が高すぎる。具体的にはラストダンジョンとその一個前辺りの謎解きなのだけど、難しすぎて自力では解けなかった。『MMR』のキバヤシもビックリする程のこじつけ推測を要するというか。ノストラダムスの予言みたいな怪文書を解読しないとダメなのだけど、あれはかなりムズイ。まぁ、仕掛けの難易度調整ってのは本当に難しいと思うので、仕方のない部分なのかも知れないけどね。
さて。
戦闘のシステムも前作をパワーアップさせた感じで面白くなっている。ラクウェルのようなバランスブレイカーも存在せず、終盤まで程良い難易度で進ませてくれる。
でもって、後半にスーパーサイヤ人化するのもいつも通り。ファイネストアーツがかなり弱化していたのを見たときは「あれ?」と思ったけど、あれこれバッジでドーピングしてやると、かなり爽快感のある戦闘が味わえる。
でも、シェリフスターが超簡単に作れるようになっていて、かなり弱化していたのは残念。普通にプレイしているだけでも、7個も作れてしまったよ……。
◎音楽
なるけみちこ女史ではない。が、かなり頑張ってる。素人が聴く限りでは、なるけ女史の時と変わりないというか。遜色ない出来になっている。特に戦闘関連が素晴らしく、四天王にはそれぞれのテーマ曲があるのだけど、どれも良い感じ。
口笛の使い方とか、荒野的な感じとか、ファンの喜ぶツボを押さえているという感じだろーか。
ちなみにボーカル曲もいつもの麻生かほ里さんから、水樹奈々さんへとバトンタッチしている。が、曲の出来はいいかと。
◎ボイス
今回は要所要所で喋る。戦闘で喋り、アクションで喋り、ムービーで喋る。なぜこれだけ喋るって、レベッカの嫉妬日記の為なんだろーなあ(笑)。
それはともかくとして、やはりボイス演出は多い方がいいね。ベタなシナリオもボイス演出のお陰で随分と助けられている感じだった。
◎絵
毎回、絵師の変わる本シリーズ。今回は演出時にレンダリングムービーで動きまくる……ということで、レンダリングムービーっぽい絵柄の絵師を採用したとのこと。すげー納得。やー、良くここまでレンダリングムービーっぽい絵師を見つけてきたものだ。描いている絵がそのまま動いている感じに近い。
グラフィックは普通に綺麗。前作よりも綺麗になっている。ただ今回は視点をグリグリと動かせる分だけ背景画に関しては荒くはなってる。けどまあ、この辺りはしょうがないところ。前作よりも随分とパワーアップして、かなり力入れていると思う。
あとはムービーによる演出が結構綺麗。『ワイルドアームズ』シリーズの中で、一番ムービーに凝っているのではなかろうか。ぶっちゃけ、結構お金かけたような感じ。ペイできるのか?
恒例だったOPアニメが廃止されて、レンダリングムービーで作られていた件については、個人的には問題ないかと。あったらあったで嬉しいけど、別になくても……と思う。1種類だけというのは少ない感じしたけどね。
あとはキャラクターのコスチュームが何種類もあるのが面白い。装備している防具によって、キャラクターの洋服が変化するのだけど、その種類がかなり多い。しかも、戦闘中だけではなくイベント時やメッセージウインドウに表示される顔グラまで変わる凝りよう。これはかなり力入れたよなぁと思う。
◎総評
普通にオススメできる完成度になっているかと。プレイ時間にしてクリアまで40時間、やりこみ要素で10時間。前作の倍くらいのボリュームがある。やりこみ要素は隠しダンジョンや隠しイベントが多く、やり応えもかなりある。ミニゲームのパズルも復活した。
前作に比べて、とにかく予算が増えているのがわかる。これは頑張って作ったよなぁという感じ。それだけに前作は何だったんだ? という気もする。あれだけシリーズ存続の危機を予感させておいたのは何だったのだろうと。
けどまあ、いくら頑張ったとはいえ、それがセールスに繁栄されていないのはアレなんだけどね! シリーズを追う毎に着実に売り上げが下がっている本シリーズ。いつまで経っても明日が見えん!
次回はPSPでSLGを出すみたいだけど、これでダメだったらもう何をやってもダメなんだろうなあ。クオリティアップしても売り上げ的にはダメだったのだから、もうこれは違う方向性を見出すしかない。SLGというのは手段としては悪くない。ただPSPというハードはハンデだよな。どうなるか。取り敢えず、もうちょい宣伝した方がいいかと。今のままでは、いくらなんでも知名度が低すぎる。
個人的にはずっと続いて欲しいシリーズだから頑張れ~。