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2007年12月18日 / 『MADLAX』の感想

 『MADLAX』というのは2004年にテレビ東京の深夜にやっていたアニメ番組のことです(全26話)。『NOIR』のスタッフの作品と言えば……わかりにくいか。ヤンマーニなアニメといった方が通じやすいのかも知れません。

 ※ヤンマーニ
 『MADLAX』の挿入歌。曲の中に「ヤンマーニ」と聞こえる部分がある為にそう呼ばれる。またこの曲をきっかけに結婚した男が2chにおり、ヤンマーニ男と呼ばれるといった逸話もある。ちなみに本当の曲名は『nowhere』。組曲ニコニコ動画の中でも使われている。

 どうもここ数年はアニメとかゲームとかのチェックが疎かになっており、それは何でかなぁというとそういったメディアを見ることに非常に体力を使うようになったからなのですが、よくよく考えてみたら発想が爺臭すぎると思ったわけですよ。老人じゃないんだから。そんなことはアルツハイマーの人にだってわかる。というわけで、インプット作業と言うつもりはないんですけど、良作と呼ばれる作品くらいはチェックした方が有意義かなーと思った次第なのであります。作品を観るのは疲れるけど頑張るぞ!

 そういうわけで、まずタイトルが浮上したのが『MADLAX』。なんでも2001年の『NOIR』、2004年の『MADLAX』、2007年の『エル・カザド』というのが美少女ガンアクションの3部作とされているようで、『NOIR』以降まったくのノーチェックだった僕は時間の流れを痛烈に感じたのでありました。そんなことになっていたとは知らなんだ。

 まあ『NOIR』が傑作だったらその後もチェックしていたのかも知れないのですけど、完全な雰囲気アニメでしたからねえ。BGMとキャラクター、作画や演出、全体の雰囲気は覚えているけど、肝心のシナリオが全然印象に残らないという残念アニメ。『NOIR』と言ってまず思い起こされるのが梶浦由記のBGMでしたからねえ。2秒で名曲とわかる曲が惜しみもなく使われていたのが印象的でした。ちなみに『NOIR』本編に関してはリアルタイムで観ていたのですが、残念ながら途中で挫折してしまいました。

 が、まぁそれから数年を経て大化けしましたね。さすがに面白いと言われているだけあって面白い(変な日本語だ)。どういうお話なのかと言うとWIKIのストーリーの項目を参照して頂きたいのですが、『EVE burst error』みたく、二人の主人公がまったく別の場所から段々と一つの結末に向かって収束していく……みたいな伏線回収ストーリーなのですが、その繋げ方が見事すぎるのです。

 第1話から終盤まで次々と伏線がばらまれていき、それを回収できるのか? と思わせるくらいわけがわからなくなるのですが、物語の終盤から次第にそれを収束。難解すぎず、簡単すぎない程度にまとまっており、バラバラに絡まった糸が段々とほぐれていくカタルシスが味わえます。これはちょっと……いやかなりの名作ですよ。この手の伏線作品でここまで回収しているのはちょっと他に思い出せないです。大抵の作品は作者の自慰的な投げだしエンド。ヒントはあるもののそれを紡ぎ合わせる作業はユーザーの手に委ねられてしまうのですが、この作品はそれがなくとてもわかりやすい。第1話から第26話まで完璧に計算されており、ここの伏線がこう繋がる、こっちはこう、ここはこれ、と線と線で結べるんですね。まるでテスト問題のように繋げてしまうのです。勿論、程良い程度に考察の余地は残されており、その辺のバランスが見事。

 っていうか、終盤まではかなり難しく「明確な答えをはぐらされるパターンの作品」に酷似していただけに意外な形で裏切られました。やばそうな雰囲気を出しつつも、びしっと纏まっていたところに好印象を覚えたのかも知れません。

 ただ惜しむべきは、エンターテイメント性に欠けているというところでしょうか。全26話の作品としてみれば傑作なのは間違いないのですが、1話1話で楽しませる要素に欠けています。主人公であるマドラックスが「凄腕のエージェント」という設定なのですが、どうもそれが活かされてません。強敵が登場しなければ、「こんな凄い作戦をいとも簡単に!」みたいな爽快感もありません。少年漫画的な活劇が少しでもあれば……と思いました。

 例えば『エヴァンゲリオン』であるなら、日常のシーンであるとか、ゲンドウと冬月の「温いな」のシーンであるとか、マヤが「不潔」と言ってみたりとか、そういう風に楽しませる部分がない。それ故に気を張りつめてずっと観ていないといけないから眠くなったり、疲れてしまったりするわけです。この作品、非常に挫折する人が多いのも特徴なのですが、それはそういう風に楽しませる要素に欠けているからですね。

 唯一、マドラックスが『nowhere』の曲に合わせて暴れ回る通称「ヤンマーニタイム」の間は爽快感を楽しめるのですが、それ意外は大変地味。内戦でドンパチやってる危険地域が舞台なので、あまり笑いの要素を入れられなかったのはわかるのですが、もうちょっと頑張った方が良い部分だったと思います。これさえ良ければ……かなりの傑作になったのではないでしょうか。

 そうそう『nowhere』は良かったのですが、他のBGMは『NOIR』の方が上だったと思います。とはいっても素晴らしいことには違いないのですが。

まとめ

 これは観ておいた方がいい作品。全26話を乗り切るのは大変ですが、それだけの価値はあります。

 軽い鬱状態になるような作品ではあるのですが、ばらっばらの伏線が次々と繋がっていくのはもはや芸術的。10年くらい前に観ていたら(その頃はまだ存在してないですが(笑))、僕に違った影響を与えてくれたかも知れません。そういうクラスの傑作。

 というわけで、『エル・カザド』は近々チェックしてみたいと思います。『NOIR』ももう一度見直してみようかなー、などと思ったり。ではでは。

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