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2008年04月07日 / 『Fate/hollow ataraxia』の感想

◎はじめに

パッケージ画像 2004年に発売された『Fate/stay night』のファンディスク『Fate/hollow ataraxia』の感想です。前者の感想もアップしていないのに後者の感想をアップするのもどうかと思ったのですが、最近プレイしたもので記憶が残っているうちに記しておきます。
 言わずと知れた(現在、この業界でトップを走る)TYPE-MOONの最新作で、最新作と言いながらも発売したのは2005年だったりしますが、その次の作品が発売されていないので、一応今作が現在のTYPE-MOONの最新作となるわけですね。

◎キャラクター

 当然ながら『Fate』のキャラクターはほぼ登場しており、それ以外に新キャラが数名でるという構成です。新キャラといっても、『Fate』で名前だけ登場していた者が数名いたりして、ファンディスクとしての心憎い演出もしています。『Fate』を作っていたときに、『hollow』の構想は恐らくあったのでしょう。そうじゃなかったら凄すぎる。
 『Fate』ではちょい役くらいだったキャラにもスポットが当てられており、また主要人物も大切に扱っており、新キャラも大活躍をする――という実に欲張りな構成。実に様々なキャラクターを描いており、それをギュッと詰め込んでいるのだから楽しくないわけがないです。

◎シナリオ

パッケージ画像 ベースとなる本編シナリオがあって、それ以外にもサブイベントも盛り沢山あるという構成。今回、奈須さんだけではなく、複数ライターが参加されていますが、特に違和感なく読むことができました。その辺のことは内部が一番良くわかっていたんでしょうね。文句が出ないような配慮を随分と感じました。
 個人的に、今回一番驚いたのはボリュームでしょうか。複数ライターを用いた効果がここにありますね。『Fate』の半分くらいのプレイ時間と言えば、そんなものかと思われるかも知れませんが、普通のエロゲ以上のボリュームは軽くあります。これをフルプライスではなく、6800円で出せてしまうところにTYPE-MOONの太っ腹感が見えると同時に、この業界も格差社会になっているなと感じてしまうわけです(笑) 良いものを安く提供できれば、そりゃ売り上げもファンも増えるわけで、好循環に繋がるというメカニズムですね。ただし、このメカニズムになるとその後作品を出さずともメディアミックスの売り上げのみ会社を維持できてしまう為、ファンにとっては必ずしもプラスとは言えない罠。作品作らなくても潤うのだから、そりゃ急いで作ることもないですわな。閑話休題。
 で、お話の内容はというと、とても面白かったです。あれだけ長かった『Fate』の続きのお話なわけだから、普通なら蛇足にしかならないわけですよ。それを見事に本編リンクさせ、尚かつ巧妙なトリックを盛り込み、アイデアも沢山詰め込んで、やれることを精一杯やって……という感じで実にエネルギッシュにやっており素晴らしかったです。
 ぶっちゃけ、『hollow』本編のシナリオだけでもファンディスクとしては通用するくらいの出来になっているのですよ。これだけでも普通のエロゲなら問題なかろうと、そんな感じの内容だったわけで。でも、それ以外にもサブイベントが盛り沢山だから呆れてしまうわけですな。そして、それらのサブイベントがまた面白い。や、多少の同人臭さは感じるのですが、ワイワイガヤガヤのドキドキワクワクが本編の清涼剤となっており、それが作品全体に厚みを持たしているわけでベリグッドなわけです。。

◎システム

 『Fate』に引き続き吉里吉里を使っており、全体的な操作感はとても良いです。『Fate』をパワーアップさせたような感じでほぼ完成されています。
 ゲームのシステムは選択肢を選ぶのみのAVGではなく、MAPがあってその中にいるSDキャラを選択することで先に進んでいく――というPS版『To Heart』みたいな懐かしいシステムを採用しています。最初見た時は「面倒臭そう」と思っていましたが、実は全然そんなことはなく、消化したイベントは次から見なくていいようになっているので安心です。寧ろ、普通の選択肢システムよりも遥かにわかりやすい。消化したイベントはタイトル画面から直接見られるようになります。
 あとはミニゲームも充実しており、この辺りも作品に厚みを持たせる要因になってますね。

◎絵

 これもフルプライス並みのボリュームで文句なし。さらにゲストの壁紙とか加えるとトンデモナイボリュームとなり、もはや通常以上の枚数に。シナリオボリューム、ミニゲームときて、CGまで盛り沢山とは……お祭りディスクと言うだけのことはありますね。多くの人が「ここまでやらずとも…」と思ったことでしょう(笑)

◎音楽

 『月姫』『歌月十夜』『Fate』ときて、ようやく奈須ワールドっぽいBGMになったかなと思います。あの魔法とか魔術とか協会とか教会とかの世界観ですね。名曲とまではいきませんが、良曲が並んでいたと思います。

◎総評

画像4 あれですよ。ファンディスクという形では究極なのではないでしょうか。ファンディスクでここまで内容を詰め込んでいいのか? と疑問を持ってしまうくらいの完成度で、これをやってしまったことで、随分と敷居が上がってしまったのではないか? とすら思うわけです。さすがに2005年のエロゲで一番売れただけのことはある。発売前くらいに「毎回これくらいのボリュームを求められても困りますよ」的なことを武内さんが言っていましたが、プレイしてみるとそれが良くわかります。まぁ、ユーザーもそこまで欲張りではないですよ。ここまで行かずとも、それなりのクオリティにあればキチンとした評価は得られる筈。
 ……と思っていたわけですが、3年以上もブランクが開いちゃったら次回作もそれなりの大作でないとユーザーは納得しませんな(笑) 本業以外での仕事が盛り沢山であったとしても、それはユーザーには通らないと思います。
 ま、各地での発言を見る限り、開発の方は進んでいるみたいで、あとは発表するタイミングを見ている感はありますので、長~~~~~~い目で見てみたいですね。と、書いていたら次回作は『魔法使いの夜』だそうですね。期待しております。

 …なんというか、兎に角、詰め込めるだけ詰め込んだみたいなデタラメ感がありますね。ミニシナリオであったり、壁紙であったり、ミニゲームであったり、そういったことをしているファンディスクというのは他にもあったのですけど、この作品の場合はそれらを全部やっちゃっているわけで、そうなってくるから圧倒されてしまったのですね。
 当然ながら、『魔法使いの夜』も買いなわけですが、それが何年後になるのかわからないのがアレなところです。2010年くらいかな(笑)

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