◎はじめに
個人的にOPアニメがジェリーフィッシュ制作ということで話題になった一作。雑誌の付録についてきたOPアニメを見て、相変わらず素晴らしい仕事をするもんだと感心した一方、本編の体験版もまぁまぁの内容だったのでやってみることに。なんていうか、お金をかけた大作って結構好きなんですよね。この作品にその臭いを感じたわけです。昨今、エロゲ市場の疲弊化は著しいものがあり、儲かっているのは一部の大手のみであとは消え去っていくのみ。そんな中で大作を作ろうという精神は好感が持てるわけであります。
あ。どうでもいいのですが、ジェリーフィッシュの次回作って本当に作っているのでしょうかね?
◎キャラクター
何が言いたいって、ヒロインの名前が夜明エイムですよ。で、スタンド名が悪路王ですよ。もの凄いセンスですよ。せめてアテルイにしておけば! 逆転裁判みたく、オモローなセンスで名付けているのならまだわかるのですが、至って真面目に夜明エイムですからね。最初はストーリー進行上の偽名かと思っていたら、普通に本名でやんの。普通なら自己紹介した時に「偽名か?」と突っ込むくらいのセンスなのだけど、誰もそれをしなかったからおかしいとは思っていたのだけど、あの世界ではこれが普通なのだなぁと。
あとはまぁなんというか、全体的に薄いのですよ。何処かで見たことのあるようなキャラクターばかりというか。良く言えば王道なのですが、悪く言えば中身がない。例え王道だとしても、極限にまで作り込むことで『マブラヴ』のようなクオリティに持っていくことは可能だと思うのですが、悲しいことにその力量がライターにありません。キャラの性格がシナリオの展開でコロコロと変わります。
その極みが敵である「彼」の描写。ジョジョの奇妙な冒険におけるDIOのような強烈なカリスマ性を持ったキャラクターとして描こうとしているものの、たんなるチンピラになってしまっており、それがとても残念でした。「彼」が究極に格好良く描かれていたなら、従う部下がいるのも納得できましたし、それに立ち向かう主人公というのも際立って見えたでしょう。如何せん、頭が悪すぎなのがダメでした。
あまりにもアレだった為に真の敵がいるのか? とずっと思ってましたから。
◎シナリオ
あまりにも大作感を煽りすぎた結果、肩透かしを喰らってしまいました。もっと強大な敵が出てきて、とんでもない真相があって、驚きのラストがあるのか? と思いきや、実際は割とコンパクトにまとまっておりアレ…? と(笑) なんていうか、みんなね。敵の存在を強大に煽りすぎです。もっと何十人もアヤカシ使いが潜んでいそうな空気を出して起きながら、実際は数人程度。これでは物足りません。ミニマムな印象が強く、大作感が薄れてしまいます。
また、全体的なテーマがわかりにくく、その場その場で盛り上がればそれでOKみたいな、そういう構成力の無さを感じました。ジャンプに載っている打ち切られはしないのだけど、決して掲載順が上位になることがない漫画、とでも言えば良いでしょうか。ああいう、無個性な印象です。
かといってプレイ時間が短いのかと言えば、そういうわけでもなく、そこそこのボリュームはあったりします。…うん、内容がないよう。
◎システム
演出の凝りようを売りにしてます。効果音、BGM、CG、エフェクトを駆使して、迫力のある戦闘シーンを描いています。『FATE』みたいな感じのアレですかね。演出はかなり頑張っていると思いました。ただ、上のような筆力の問題であまりそれが活かされなかったのが悲しいところです。というのも、大体の戦闘が強いものが弱いものを倒しているだけなんですよね。頭脳戦がまったくない。だから、演出によって派手には感じるのですが、そこで終わってしまう、と。
◎絵
アニメ塗りですね。全体的なクオリティはまぁまぁだと思います。枚数も多いですし、この辺りに大作っぽさを感じますね。
印象に残るのはやはりアヤカシのデザインでしょうか。独特の禍々しさがあり、妖怪的であり、超能力的であり、不気味な感じがなんとも言えずに良かったと思います。こう考えてみると、この作品で一番印象に残っている部分がここなのかも知れません(笑) アヤカシが出てくる度に凄いデザインだなぁと思いまくったような気がします。
◎音楽
『ゲゲゲの鬼太郎』みたいな作品で流せそうな曲。これは素晴らしいと絶賛するほどではないですが、作品の世界観に合った曲が流れており良かったと思います。
◎総評
ちゃんとした大作になっているとは思います。しかしながら、悲しいことにライターに筆力がない。スタンド使いのバトルものみたいな作品を作ろうということだとは思うのですが、それにオリジナリティな要素を付けられていないが為に「劣化ジョジョ」の印象が崩せない。アヤカシが使える人のことを「アヤカシ使い」と言うのもそのまんま過ぎますし、アヤカシは一人一体とかのフレーズもジョジョを連想させすぎます。
世の中にジョジョっぽいバトルものって沢山あると思うのですが、その中で評価されているものって殆どがオリジナルの肉付けがしっかりとされているんですよね。それがこの作品にはなかったわけで、なんというかそれがとても残念でした。