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2008年04月10日 / 『ぱすてるチャイムContinue』の感想

◎はじめに

パッケージ画像 作品がアナウンスされた時に多くの人が「なぜに『ぱすチャ』?」と首を傾げたわけでありますが、考えてみたらHIRO氏のアリスデビュー作がこの作品だったわけですな。闘神とか闘神とか闘神とか、続編を待ちわびているユーザーは多いと思うのですが、この作品の続編をやったということは単純にリベンジしたかったのかなぁと。や、アリスソフトで私情とか許されるわけないので、実際は別の理由なんでしょうが、そう考えた方が面白いじゃないですか。ねえ。だって、『ぱすてるチャイム』が発売された時の叩かれようは半端じゃありませんでしたから。かく言う私も発売日に買ったんですけど、あまりの作りの小ささにかなりの批判をした覚えがあります。もっとも、今考えればあれは言い過ぎだったかなぁと反省する部分もあるのですが。『鬼畜王ランス』からあまり時間が経っていませんでしたし、いろいろとタイミングが悪かったのも叩かれた理由でしたしねえ。けどまあ、その作品をHIRO氏がどう続編として仕上げるのかは興味があったわけです。

◎キャラクター

 発売したのも、作品の舞台も前作から約10年後。新主人公で新学園で新ヒロインで大体のお話が展開しますが、前作のキャラクターも殆ど出てきます。ただ、前作のキャラが出てきたといっても「○○キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!」みたいな熱いテンションにならないのが悲しいところですね(笑) だって、あまりに昔過ぎてあんまり覚えてないから。
 で、そのキャラクター達なのですが、各々個性的に描かれており、とても良いと思います。各ヒロインから、サブキャラ、ちょいキャラ、敵役まで古今東西津々浦々、実に多彩なイベントが用意されており、兎に角飽きさせない。前作の評判が悪かった理由の一つにキャラの少なさが上げられると思うのですが、今回は多すぎるくらい出てきます。
 それでいて、全体的に薄くなっているわけではないというのが凄いところです。各キャラに色んなエピソードを出して起きながら、ヒロイン達はまた特別待遇でイベントが豊富。どれも魅力的で良かったと思います。

◎シナリオ

 最終的な盛り上がりという点では前作よりも劣ってます。まぁ、前作の唯一素晴らしかったところが最後の盛り上がりですから、それは仕方のないところ。しかしながら、それ以外は前作を圧倒的に上回っており、よくこのタイトルでここまでのクオリティに仕上げたと感動してしまいました。このパワーアップは凄い。
 前作で指摘されていたシナリオの薄さを「これでもか」という程のイベントボリュームでカバー。まるでアリスソフトの大作のようなイベントラッシュな構成になっており、ここまで盛り込まなくても…と思うくらいイベント数は多いです。ただし、フラグの立て方が厳しいのでその多くを見られないのが悲しいところ。こんなの普通のユーザーは見ないだろう、と思うような条件とかありますし、もうちょっと親切設計のが良かったと思います。かなりのイベントが埋もれてしまっています。
 しかしまぁ、プレイしていて結構感動しましたよ。あの『ぱすてるチャイム』がここまでパワーアップしているとは予想できませんでしたから。久し振りにいい意味で裏切られたと思いました。

◎システム

画像 前作と基本的な流れは同じ。授業があって、週末にランダムダンジョンに潜って、レベルアップして、イベントをこなして……の繰り返しです。ただ劇的に変わったのが宝箱や罠の設置方法で、なんと『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』システムを採用してます。これは宝箱や罠を直接見ることはできず、広いダンジョンの上を隅から隅まで動き回りその座標の上に乗り静止することで初めてその存在に気付くことができる…という内容です。スキルで有効座標を拡大させることはできますが、基本的に慎重にダンジョン内を歩き回らないと宝箱をゲットすることはできません。
 と、書くとまるでクソゲーのような印象を受けますが、これが結構良くできておりビックリ。最初は何が何やらまるでわからず、殆ど宝箱をゲットすることが出来ないのですが、慣れてくる内にゲット率が高まるというプレイヤーの経験値をアップさせるシステムに仕上がってます。
 ま、RPGの内容としては、前作とあまり変化していないかも。色々と豪華にはなりましたが、根底にあるものは変わってません。前回も戦闘部分は割と楽しかったですから。その部分は殆ど同じです。けど難易度は結構上がってます。油断するとゲームオーバーになってしまうことも屡々あり、その度にセーブしたところまで戻されてヒーとなってしまうという、昔のRPGみたいな経験を結構してしまったり。
 そういうわけで、重厚な作り故に2週くらいで飽きてしまいます。ヒロインは4人いるので、最低でも4週はしないと主要なイベントを見ることはできないのですが、そこまで辿り着く前にRPG部分が苦痛になってきます。これに関しては2週目以降は強い武器が簡単に手に入るようになるなどのバランスブレイカーを入れて欲しかったなぁと普通に思いました。厳しいバランスではなく、緩いバランスでも楽しめるシステムだったですし、このストイックなシステムはちょっときつかったです。

◎絵

 Karenは既に退社しているので、おにくんが担当。そう言えば、かつて『アトラク=ナクア』のレビューを書いた時に担当はKaren氏かな? とか適当書いて、アリスソフトの人から「違います」と言われたのも今やいい思い出ですな(汗)。
 というわけで、私にとってはKaren氏とおにくんの絵柄は非常に近く見えるわけです。だから、問題ナッシング。
 前作では絶望的な程に少なかったCG枚数も大幅に増量されてカバーされていますし、仕上がりの方もいつものアリスソフトクオリティで良かったと思います。

◎エロ

 前作で絶望的を通り越して壊滅的に少なかったのがエロ。アリスソフトはエロであることにプライドをかけていますが、前作に関しては否だったわけです。その後、HIRO氏は『ダークロウズ』でHIROからEROに進化するわけですが、Karen氏は退社。だったらもう、心配することなど何もないわけで、結構なボリュームがありました。うん、これに関してはかなり頑張っていると思いました。カットインとかありますし、抜きゲというわけでもないのにイベント数も多かったです。『大番長』でもエロイベントの段階Hが実装されていましたが、今回はそれよりも全然クオリティ高かったです。

◎音楽

 引き続きShade氏が担当。前作も素晴らしかったですが、今回も素晴らしいですよ。大体がオリジナルで「あれ? 前作のアレンジはないのかな?」とションボリさせていたところで、絶妙なタイミングで神アレンジがきたりとかしますからね。ドラアタ氏は外注ですし、NEY氏は退社してしまいましたし、そう考えるとShade氏ってのは一人で10年以上もアリスソフトの音楽を支えているわけで、これは多分エロゲ界ではナンバー1の人といって良いのではないでしょうか。エロゲでも名曲って数多くあると思うのですが、10年以上前線で活躍し、尚かつクオリティを維持しているって生半端なことじゃないですよ。

◎総評

画像 このシステムを用いた作品としては極まっていると思います。これ以上はもう無理なのではないか? というところまで作り込まれており、HIRO氏の意地みたいなものを感じましたですよ。お見事としか言いようがありません。前作の悪かったイメージを払拭し、よくぞここまで持ってきたと思います。
 ただ惜しかったのは、上でも書いた通り周回プレイを前提とした構成になっておきながら、周回プレイがキツイというところでしょうか。この辺りは仕様というよりは調整時間のなさを感じてしまいました。アリスソフトの作品では大体、2週目になるとボーナスやらがありますが、それも殆どありませんでしたし。何より恒例の「アリスの館」がスペースのみ残っているだけでカットされていたのは時間がなかった証拠でしょうねえ(笑)
 この時は「アリスの館」を削ってでも納期に間に合わせたわけですが、次の『超昂閃忍ハルカ』ではそれを大きく破ってしまうわけで。でもまぁ、それはまた別の話。

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