« 『DRAGON FANTASY 2 ドラゴンファンタジー2』の感想 | メイン | 『ガキカメ芸術劇場~投げる女たち~』が凄い »

2008年04月12日 / 『ToHeart2 XRATED』の感想

◎はじめに

パッケージ画像 いわずと知れたリーフ大ヒット作の続編ですよ。新興メーカーの一つでしかなかったリーフが大手と言われるまでに躍進するきっかけとなった作品の続編ですよ。タイトルだけで超大作を求められるという、制作側にとってはプレッシャー以外の何者でもない『To Heart』の続編ですよ。ちなみにこの感想は『AnotherDays』の方ではないのであしからず。そっちの方はまだクリアしていないのさー。
 時系列を整理しますと、1997年にエロゲとして『To Heart』が発売され、その7年後である2004年にPS2用のソフトとして『ToHeart2』が発売され、その翌年にそれをエロゲ化した本作が発売されたという流れです。コンシューマからエロゲへの逆移植ということで、結構話題になりました。だけど、今考えてみると最初から逆移植前提で作っていたっぽいですね。そうじゃなかったら御免なさい。さらに、その続編として『ToHeart2 AnotherDays』が発売されているわけですが、それはまた別の話。

◎キャラクター

 主人公からヒロインまで一新されてます。前作との関連は舞台が同じくらいで殆どありません。『To Heart』では幼なじみから魔女っ子、ロボットまで多彩なキャラで溢れていましたが、それに比べると今作は真面目というか普通というか、摩訶不思議大冒険なキャラはいません。幼なじみがいて、委員長がいて、姉さん的な人がいて……と学園コメディのベタな形になってます。ただ、いなくて正解だったと思う。あれはあの時代だからこそ、許されたキャラメイキングだったよなぁと。今、あれと同じベクトルのことをしても受け入れられませんよね。プレイムのサイトみると良く分かります。
 そういうわけで、出てくるキャラは至って普通の人ばかり(勿論、少々の冒険はありますが)。なんていうか、ギャルゲーの教科書みたいな感じですかね。ベタで丁寧な内容。

◎シナリオ

 リーフのライター勢揃いの総力戦。4人でそれぞれ2~3人ずつのキャラを担当しています。メインはむーむーさんでしたが、出来が良かったのは枕流さんシナリオだったかな。
 テーマはハートフル学園ラブコメディー。王道中の王道。ベタ中のベタ。球種ならストレート。学園生活を過ごしてゆく中で、徐々にヒロインと仲良くなり、いずれは結ばれる…といった内容です。
 ここまで書いて気付いたのだけど、今のエロゲには殆どない内容ですね。突然、不幸な事故に見舞われたり、時空を転位してみたり、怪物とのバトルがあったり、超常現象が起きたり、有り得ない奇跡が起こったりといった特異なイベントがありません。完全な直球勝負。この辺をどう思うかで評価が変わってくるような気はしますね。退屈と思うのか。それとも平穏な日常生活描写をまたりと楽しむことができるのか。私は…前者だったかも(笑) 良質なラノベ集みたいではあるかも。

◎システム

画像 懐かしのビジュアルノベルシステムですよ。前作が発売された当時は老舗メーカーから新参メーカーまで、ありとあらゆるメーカーがパクってましたねえ。いやはや、懐かしい。
 今作はそれをパワーアップさせてます。文字も見やすく、システムも非常に軽快。ポップなフォントも作品の世界観にマッチしていますし、問題点はなかったように思います。ただ、このシステムが使われた当時は解像度が600×400(『雫』とか『痕』)だったわけで、その当時は画面いっぱいに文字が広がるこのシステムが生きてましたが、今の800×600のシステムだと少々圧迫感が強い気はしますね。現代の高解像度なグラフィックが文字で見えにくくなってしまうのも勿体ないと。…だからこそ、『AnotherDays』ではビジュアルノベル止めたんでしょうかねえ。

◎絵

 こちらもリーフの絵師勢揃いな豪華な作りとなってます。シナリオと絵の面子を見て、「シェンムーが本気になった」と各地で言われていたのも懐かしい思い出ですな。勿論、仕事は丁寧で問題なし。大作に相応しい内容となってます。OPアニメも気合入って作られています。金かけてます。

◎エロ

 驚くべきはコンシューマ版から声優が変わっていないということでしょうよ。かつてシーズの『DESIRE』をやった時に声優が総入れ替えで激しく違和感を覚えたのは何だったのか。あの頃のイメージから、コンシューマからエロゲに移植する時は殆どの声優が変わるとの先入観があったのですが、それが覆された時の衝撃たらなかったですよ。…まぁ、コンシューマ版プレイしたわけじゃないので、その感動は半減なんですけどね。しっかし、これはどういうカラクリなんでしょうかねえ。たまたまコンシューマ用として集めた声優さんが、全員18禁OKだったということなんでしょうか(笑)
 エロシーンはそれぞれ1回(1発ではない(笑))、CGは差分含まないで5~10枚くらいといった感じです。コンシューマ版をプレイした人がこれを目当てに買ったとしても「エロ薄すぎ」と叩かれない程度の内容にはなってます。でもまぁ、おまけです。

◎音楽

 ここだけは当時と同じスタッフがいる為か、前作のアレンジが多数使われています。なんというか、とても懐かしい。この音楽というのが、非常に大きなポイントになっていて、ここの世界観が『To Heart』しているだけで、この『ToHeart2』も立派な続編になっちゃっているんですよ。キャラデザとか、シナリオとか、その他の工程とか、オリジナルのスタッフは殆どいない筈なのに、続編として見られてしまう凄さ。ここは音楽の偉大さを思い知りました。

◎総評

画像 いつだったか、下川シェンムーがとても叩かれた時期があったじゃないですか。あ、512文書の事件辺りか。お金で色んな会社からスタッフを引っこ抜いてきて、その癖、『To Heart』での利益を社員に還元せず、挙げ句の果てには多くのスタッフを止めるように誘導しまくりという独裁者的な人物で見えていた時期が少なからずともあった。けど、今のリーフの状態を見るに当時見えていた物の真相は別のところにあったのかも知れないな、と思うようになったわけで、下川シェンムーに数々の非礼を謝罪したい。どうもすいませんでした。
 要するに、下川シェンムーの企画勝ちかなと。傑作と言えるシナリオはないのですが、優秀なスタッフを的確に動かし、それぞれの能力をフルに活用させた結果に産まれた良作だと思います。この作品から才能を感じるとするなら、それはプロデュース能力ですね。東京と大阪のスタッフを上手く連携させたからこその作品でした。
 あ、全然関係ないのですが、リーフ躍進のきっかけとなったそれ高橋龍也氏と水無月徹氏抜きで何処までやれるのか? とかそういう意見がまったく無かったのがオッサンゲーマーとしては少々悲しいかも知れません(笑)

コメントする