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2011年09月30日 / 『ランスクエスト』の感想

◎はじめに


パッケージ画像 人間は歳を重ねれば重ねる程に時の進み方が早くなると言います。それに関しては諸説あるようですが、たとえば10歳の人が11歳になる場合、人生の10分の1が増えることになるわけだけど、30歳の人が31歳になる場合は30分の1しか増えないから…という考え方が一般的のようです。ランス7である『戦国ランス』から5年。ようやく登場したのが本作『ランスクエスト(ランス8)』です。はい。『ランス6』から『戦国ランス』は2年でしたから、今回はその2.5倍程の年月が経ったというわけです。
 …いやね。プレイしている最中は楽しかったんですよ。いろいろと不満点はあるけども、それなりに楽しめたし、これに文句を言うのは贅沢な話なんじゃなかろうかと。レビューを書くときは及第作、良作にしようと決めてました。ただ…その後に前後比較として『ランス6』と『戦国ランス』をやったのがいけなかった…。本作をプレイした時の熱をそのまま文章にぶつけておけば良かった…と思った次第なのであります。6→7が5年で、7→8が2年ならまだしも…逆ですし…いやはや…う~ん。困った困った。面白い。間違いなく面白いのですよ? ただ…というか。随分とスケールダウンした印象は拭えないですね…。

◎キャラクター


 ルドラサウム大陸お馴染みの面々。過去シリーズで既に数百人が登場しており、これからもまだまだ増えそうな予感がビンビンにするのだから、どう風呂敷を畳むのかという話ですよ。……まあ、それは兎も角として、今作でもバンバン新キャラクターが登場します。いつもの面々も登場しますし、新キャラもドンドン、またあまりにも懐かしすぎて存在を忘れていたキャラまで再登場したりします。や、ぶっちゃけユラン・ミラージュとか覚えていた人いるのでしょうか。まあ個人的には面白かったのでありと思ったんですけど、一歩間違えればリソースの無駄遣いですよ(笑)。
 それ以外にも、『鬼畜王』で登場したキャラが名前と容姿を変えて出てきたりします(チルディ→ラファリア?、アルカネーゼ→ソウル?、ソミータ→イージス?、パステル→モダン?)など。普通には登場させない、何かしらの意外性を出す、がコンセプトな気がします。
 ただ、出すだけ出して後はほったらかし(笑)。殆どのキャラが主要イベント1個だけ。イベントのないキャラもチラホラ。キャラを少なくして、それを掘り下げるのか、それともキャラ出しまくるのか、後者パターンになってますね。キャラ数多いのでそれぞれに関するイベントが少ないのは仕方がないのですが、そんな少ないイベントの中でもアームズとか、チルディとか、アルカネーゼとか、かなりキャラが立ってましたので、色々勿体ない気はしました。もうちょいイベントを用意してあげないと罰が当たるよ…。

◎テキスト


 新人のヨイドレドラゴンさんがメインで書かれているようです。これが今作で1番良かったところかも。長すぎず短すぎず。緊迫したシーンから、お涙頂戴、お笑い、日常、萌え系の顔くしゃシーンまで満足のできる内容でした。何よりRPGとして非常にバランスのよい内容に仕上がっており、これなら今後の展開も期待できると思いました(ぶっちゃけ『大帝国』はSLGのテキストとしては長すぎだったと思います)。TADAさんのプロットをかなり忠実にテキスト化できていたのではないでしょうか。

◎シナリオ


 『戦国ランス』がTADA氏の想像よりも遙かに受けてしまったが故の苦悩を感じました。『鬼畜王ランス』症候群とでも言いましょうか。自分の予想を超えた好評価を得てしまうと、次の作品で息詰まってしまうパターンです。
 さて。『A』という作品があって、それのifを『A"』とするなら、ランスシリーズは『ランス"』の方が描かれてしまった杞憂な作品です(『鬼畜王ランス』)。『ランス"』なのですから、当然ながら『ランス』とは別物でなくてはいけません。しかしながら、『ランス"』は既に神格化されており、比較対象としてはあまりにも目映くなってしまいました。ですが、ユーザーは否応なく期待します。○○よりも面白いものを、○○よりも凄いものを! と。…これはキツイ。そんなキツさ、苦悩が作品に現れているような気がとてもします(ユーザーが期待しているパートの先送り)。適当に魔人出してバトルさせて、盛り上げて…ってやれば、ユーザーは納得しますし、そういうのを期待しているのでしょうけど、TADA氏は安易にはやりたくない感じ。
 また『ランス1』から『ランス4』にかけて張られていた伏線の多くが『鬼畜王ランス』で消化されているのも厳しいですね(ラガールへの復讐、ミリの病気、セルさんとの○○、未登場魔人の登場、エターナルヒーロー、エトセトラ)。正史で再びその複線を消化するのに苦悩している感じがとてもします。ラガールにしても、ミリの病気にしても、『鬼畜王』のが正史っぽい結果ですしねえ…。
 今思えば『鬼畜王』では殆ど描かれなかったJAPAN編は好き勝手にやりやすかったのかも知れません。今回描かれると期待していたヘルマンを先送りにし、カラーの森で一作品としたのはそういう理由もあるのかも。好意的に解釈するのであれば、元々のランスシリーズがこんな感じだった(原点回帰)と言えなくもありません。『ランス2』や『ランス4』のスケールに近いですね。あんまりスケールの大きいものを要求されても困る、みたいな牽制は常々聞いてる気がします。TADA氏の好みもスモールスケールのようですし。この辺はユーザーが期待するものとのせめぎ合いが常にありますね。

◎システム

 『ランス6』の変化系です。普通のRPGに比べると難易度高く、適当にクリッククリックしているだけでは勝てません。キャラの行動に制限がある為に幅広いキャラクターを強化する必要があり、膨大な仲間キャラクターを活かせる仕組みになってます。これはね。割り切りが必要だなぁと思いました。お馴染みのドラクエタイプのRPGでは縦横無尽にフィールドを駆けめぐり、雑魚を一掃し、お気に入りのキャラクターを強化し、宝箱からはノーリスクでお宝、ボス以外はそんなに苦戦しない。多くの人にはそういったフォーマットが出来上がってます、ってゆーか染みついてます(間違いなく『ドラクエ』の功罪)。このゲームでは自由にフィールドを駆け回っているとあっという間に行動不能になりますし、雑魚でもある程度の火力がなければやられてしまいますし、同じキャラを使い続けさせてくれません。宝箱も自由には開けられません。要するに『ランスクエスト』なんて、タイトルは反駁なわけですよ(笑)。『ドラクエ』チックな感じに見せておいて、実際にやっていることは逆だというね。
 だからこそ、これはこういうものだ、と割り切ってTADA氏の作ったシステムに乗っかる気持ちでプレイすることが必須です。そうすることで味わい深くなり楽しめるようになります。こう書くと「それってすげー面倒臭いってことじゃあ…?」と思われるかも知れませんが、ゲームって元々はそういうものじゃないですか。昔のアクションとかシューティングなんて良く「覚えゲー」って言われてましたでしょ? それをやる感覚に近いです。
 ただ…それを前提に言わせて頂きたい。『ランス3』の時に青年の主張で言ってたじゃないですか。「経験値集めなどはしなくても進めるようになってます。出てくるモンスターだけを倒していればいい、だってランス君達は最初から強いのだから…」と。そのスタンスは何処へ行っちゃったのでしょうか…。シリーズを重ねる毎に縛りが増えていくのがつらいです…。
 ストレスの溜まる一番の要素はマイナス要素による調整が非常に大きいということかも知れません。敵や味方を強くして調整するのではなく、弱くすることで調整してます。鬼畜アタックありませんし、白色破壊光線もありません。戦略性のあるゲームという意味では正解なのかも知れませんが…やっぱり物足りないですよね…。

◎絵

 『戦国ランス』でもの凄い引き出しの広さを披露した織音さんでしたが、今回はそれに比べると落ち着いている感じ。ただまあ、相変わらずの仕事量、速筆っぷりには変わりありません。

◎音楽

 お馴染みのShadeさん。『大帝国』や『戦国ランス』の方が出来は上だったかな。まあ例によって良曲が揃ってはいるのですが、特に印象には残らず。あ、『5D』の戦闘曲アレンジは良かったです。

◎総評

 今のTADA氏&アリスソフトの限界って感じがするのが切ないです。大抵の場合、ちょっと手を抜いたとか、もうちょい頑張れただろうとか、そういう不満を覚えるわけですが、本作に関してはそれが見当たらず。結構、いっぱいいっぱいに盛り込んでる気がします。
 1996年の『鬼畜王ランス』、2001年の『大悪司』、2006年の『戦国ランス』、そして2011年の『ランスクエスト』…にまでは達しなかったなあと。
 ただまぁ、面白かったことは事実ですし、クリアまでに36時間くらいかかってますので、ボリューム不足ってわけではないと思います。
 個人的には『ドラクエ』も『FF』もやらなくなってしまいましたし、このシリーズには頑張ってもらいたいですね。何せ、ある程度続いているシリーズでナンパリングタイトルすべてやってるのこれだけになってしまいましたし。今のところは最後までプレイするつもりでいます。それだけのモチベーションを保てる出来にはあります。