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2011年10月27日 / 『メタルマックス3』の感想

◎はじめに

パッケージ画像 知る人ぞ知るRPG『メタルマックス』シリーズの最新作です。『メタルマックス2』が発売されたのが17年前ですから、本当に知る人ぞ知る作品になっているかと思います。

 ただ、おじさんとしてはそんな期待はしていなかったわけですよ。『メタルサーガ』ではなく『メタルマックス3』とナンバリングタイトルになったということで、これまでの作品とは違うんだ、という意気込みは感じられましたが、如何せん時代が悪いと、そう思っていたわけです。制作費ジャブジャブ、ゲームバブル、RPGフィーバー…なんてものはとっくの昔に終わっているわけで、いくら脳内アイデアが豊富にあったとしてもそれを具現化する術は限られていたに違いありません。当時のユーザーが納得できる『メタルマックス3』作りの環境が整っているとはとても思えませんでした。

 また、世の中には仕事の為の仕事という概念が存在します。完成しない橋やダム、堤防にトンネル、道路、エトセトラ。いつまでも作り続けることで仕事が生まれ、そこにはお金が発生し潤う。かつての、どこの馬の骨ともわからない、ゲームを作ること以外に脳のない、また興味もないゲームキチが寝食を忘れ情熱を注ぎ、身骨を削ってゲームを作っていたヤクザ産業の時代とは違います。大学を卒業した新卒が“就職”し、給料を得る為に働く。彼らは生きていく為にゲームを作り続けなければいけません。会社を継続させる為に売れるゲームを作らなければなりません。その結果が今のゲーム業界の惨状なわけです。

 『メタルマックス』シリーズはゲーム業界というくくりの中ではマイナーかも知れませんが、クレアテックにしてみればモンスターコンテンツなのも確か。そういったブランド力に頼ってしまったのか? そんな邪念もありました。仕事の為の仕事なのではなかろうかと。

 が、蓋を開けてみれば最高傑作。間違いなくみやおう氏の生涯最高傑作。昔のゲームキチが骨身を削って作った…あの感覚がありました。いろいろ疑ってしまいゴメンナサイ。素直に面白かったです。プレイ時間50時間以上の大作。

◎キャラクター

 排他的な世界観に排他的なシナリオ。そして排他的なキャラクター。悪く言えば邪道なのですが、癖のある奴が多くて1~2度しか出てこないキャラクターも印象に残る残る。セリフの一つひとつがキレキレでノリにノって描かれてる感じ。素晴らしいです。またお馴染みのドクターミンチ、カミカゼシリーズ、サルモネラシリーズ、変態エンジン屋、ハンターオフィスのお姉さんなども勿論登場。オールドファンにはたまらないです。それ以外にもフラグを間違えるとあっさりと死んだり、死ぬ為に出てくるキャラとかいたりしてバイオレンスな感じちらほら。…まあ一番バイオレンスなのは主人公なんですけども。
 あとヒロインの名前が「コーラ」って言うんですけど、それをみて飲み物のコーラを連想したんですけど、この世界観ではありの名前なのかな? って気にしないでいたんですけど、作中でネタにされていたのに笑いました。『古畑任三郎』の毎朝新聞かよと、やられた。

◎シナリオ

 『ターミネーター』と『バイオハザード』を合わせたような世界観。

 一つひとつのイベントに深みがあって面白いです。同時期にプレイした某作品の追加シナリオが酷かっただけに余計に面白さが際だってました(笑)。
 どれもこれも一筋縄ではいかないセカイ。魔王がいてそれを倒せば平和、みたいな世界ではありません。生きるか死ぬか、喰うか喰われるか。荒野で硬派でバイオレンス。

 これまでの2作に比べると、大きなベースとなるストーリーがあります。そういう意味で、今までの作品に比べると自由度は下がってます。が、私的にはありな変更だったと思います。追わなければならないストーリーがあるとはいっても、基本的には自由に動き回れますし、現代のRPG事情を鑑みれば必然的にこういうチューニングになるのかな? という感じでした。

 というわけで、概ねはサブイベントのオンパレード。ハンターオフィスの依頼を解決したり、荒野の人々の依頼を解決したり、WANTEDモンスターの情報を集めて倒したり…といった感じのことを好きにやっていればOKな感じです。このイベントつぶしが楽しかったですし、本作の真骨頂とも言えるべき部分でしょう。それにしても。本筋とは無関係の(本編には関係あるけど)野球イベントがみょ~~~~~~~~~~~~~に凝ってたのはスタッフの趣味なのでしょうか(笑)。

◎システム

 「強い敵を倒したら賞金が貰えるシステム」をゲームに導入した最初の作品ではないかと思います。ゲームバランス的にはバランスブレイカー以外の何者でもないのですが、システムとしてはとても面白い。『FF12』とかでも使われちゃってますし、後のRPGに影響を残してる部分ですよね。
 キーの操作性も素晴らしく、よく使うアイテムなどをボタン二つでショートカットできるようにカスタマイズできるなど、ユーザーの心地よさに配慮した作りになってます。

 戦車の改造システムもシャシーが元に戻せないこと以外はほぼ満足。ゴテゴテとパワーアップパーツを付けていく感じは幼い頃、ミニ四駆を改造していたアレに似てます。
 それと今回はクルマに搭乗している時の戦闘バランスが非常に良くなってます。1と2はこちらの戦車性能を試す敵が存在しませんでしたが、今回は隠しボスを含めて色々いるので思う存分に戦車性能が満喫できます。強化しがいがあるのが嬉しい。殆どの敵が倒しがいあったと思います。削りあいのバトルから、ちょっと頭を捻らないといけない敵までバラエティにとんでおり、結構工夫されてあったと思います。ただ1のビッグキャノンや2のテッドブロイラーみたいなのはいません。いなくて正解。ギガンテリオンで十分なわけで。

 序盤から割と自由にフィールドを動けるのですが、(最初の海岸は除いて)いきなり強敵が出てきて全滅とか、このWANTEDモンスター弱い、こちらのレベルを上げすぎた、みたいなことが殆どなかったのが良かったです。

 そうそう。今回、レアアイテムの類が非常に充実してます。WANTEDモンスターしか落とさないアイテムが多数あり、それを集めるのもなかなか楽しかったですね。まあ、同じボスをアイテム落とすまで何回も何回も倒していると別ゲーになってくるわけですが、それもまた一興ということで。
 またギミックとしてクルマから降りた状態で敵を引きつけてからクルマに載って敵を倒す…というのが面白かったです。クルマから降りていないと戦えない…と普通は思うのですが、実はいけると。

 あと大きなのは仲間のシステムが『ドラクエ3』なことですかね。ルイーダの酒場がそのまんまヌッカの酒場になっており、システムもほぼ一緒です。…ルイーダの酒場ってみやおう氏が考えたんですかね?(笑) じゃなかったら、堀井さんから怒られるくらいにそのまんまです。 ハンター、メカニック、ソルジャーといったお馴染みの職業から、アーチスト、ナース、レスラーといった新職業が加わってます。ストーリーを追うことで仲間になるキャラはいないです。

◎音楽

 1と2のアレンジとオリジナル曲のミックスという構成。神曲『おたずね者との闘い』を始め、どれも素晴らしいです。フィールド曲がオリジナル曲で街に入ったらアレンジ曲が流れるとか、重要なイベントの後に懐かしいアレンジ曲がきたりして、曲の使い方の緩急が素晴らしかったです。ひとつ一つから気合いが伝わってくる程に完成されていると思いました。ただ、クルマに載っている時の曲と降りている時の曲は逆だった方が良かったです。

◎総評

 昔、さくまあきら氏が『桃太郎伝説』シリーズの最新作は無理といったときにその理由を「昔の作品はみんな思い入れがあるから、当時の10倍くらいの面白さで作ってようやくトントン、今の僕にそれだけの力はない」みたいなことを話していて非常に納得した部分がありました。それだけノスタルジーを乗り越えるのは難しいわけです。思い出補正、記憶の美化、月日が経つことで「当時は良かった」という力が作品の評価を何倍にも高めてしまいます。それを乗り越えるモノを作るというのは、それはもう普通に考えたら無理。だって強敵すぎるもん、ノスタルジー。

 が、『メタルマックス3』に関しては1と2を余裕で超えてると思います。今、この時代に『メタルマックス』を作ったという点を考慮すると文句なしの100点満点。俺の想像を1歩2歩じゃなくて10歩くらい上回っていた感じ。相当、本気の作り込みをみた。

 もう俺の人生が大破しても大丈夫。1と2をやったことある人は是非プレイして欲しいです。

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