◎はじめに
そういえば最近フリーゲームをやってないな…と思って探していて到達したのがこの作品です。フリーウェアからDSiウェアにまで展開した超有名作。なぜ今までやってなかったのかというと、当時はウインドウ98というOSを使っていて、それでは動かなかったからなんですよ。やー、今になって思うのですが、あの当時にプレイしておけば良かった! これまでスルーしていたのが勿体ない、ホント! ビックリするくらい面白かったよ!
恐ろしい程に作り込まれており、妥協点が一切感じられず、全てにおいて繊細で、フリーウェアという形での最終到達点とも言える作品。あえて点数をつけるなら100点満点で200点くらい。数年に一作くらい、個人が時間と手間を惜しまず趣味の範囲を逸脱して無茶苦茶やりたい放題…みたいな傑作が出てきますがそのタイプの作品。その中でも秀でてます。
驚いたのがデバッグやら難易度調整やら…といった作業以外は一人でやっているという点。音楽、グラフィック、ストーリー、システム、プログラム、すべて一人。いくつの素材を作らなければならなかったのか! もうね、昔のBASIC感覚ですよ。開発には5年くらいかかっているようで、どうやってモチベーションを維持してきたのかが謎すぎます。なぜ途中で飽きなかったのか? なぜ妥協して1年とかで終わらせなかったのか? なぜ一度作り上げたものを破棄し、最初からやり直すことができたのか? なぜモンスターXを作るのに1ヶ月もかけられたのか? やってることが論理的に破綻しており、作者はマジで狂人だと思う(褒め言葉です)。
◎システム
『メトロイド』『悪魔城ドラキュラX』的なアクションゲームです。それにちょっとだけRPG的な要素とSLG的な要素が加わってます。そんな新しいことはやってないのですが、敵を倒した後に得られるアイテム(名前なし。△←こういうの)で武器のレベルがアップするのが特徴的です。武器の種類も多く、それぞれにレベル3まで用意されてあるので、ここでももの凄い作業量というね。なぜにここまで出来(以下略)。
兎にも角にも、微調整の積み重ねです。何千回のテストプレイ、調整を重ねればあそこまでの境地に至れるのか。まったく想像が付きません。
ジャンプの軌道、ふんわり感から、ショットを敵にぶち当てたときの快感。爽快な爆音。重要なアイテムを手に入れた時の脳汁溢れる効果音。そして快適な操作性。ギリギリでボスを倒した時の疲労感から開放感に変わるエクスタシー。他にも様々な「プレイヤーを気持ちよくさせる要素」が満載で、多分私が気付いていない箇所でも多くの“配慮”がなされているのだと思います。ぶっちゃけ言うと、新鮮なことは殆どやってないんですよ。ゲームとしての目新しさは特にありません。それでもとても新鮮に思えてしまう不思議な感覚があります。
あとは全体的にはレトロな雰囲気なのだけど、システム的にはそんなことないというギャップが面白かったです。グラフィック的にはFCとSFCの間…PCエンジンくらいなのですが、敵が20匹くらい同時に出てきても処理落ちしないとか、広大なマップにおいて画面には映ってはなくても、敵は常に動いている(SFCでは無理な処理らしいです)とか、モンスターXのキャタピラが斜めになる奴とか。
◎キャラクター
セリフのあるキャラだけでも結構多く、容姿もバラエティ豊かな感じ。……え~とね。ぶっちゃけ、この3分の2くらいでも十分話は成り立つと思うんだ。それなのにどうしてこんなにキャラ数を増やすのだろうとか思っちゃうくらい。兎に角、サービス精神旺盛すぎなのであります。ボスも種類多いですし、雑魚ですらステージ間の使い回しなし。次から次へと新しい素材が出てくるわけですよ。もうね。圧倒的。なぜここまで出来る(以下略)
◎シナリオ
グラフィックがコミカルな割に内容そのものは殺伐というギャップ。結構人が死にますし、背景にあるストーリーも暗め。ただ、明るめの演出をしている所為かそんなダーク感はないです。この辺りのバランスも計算なんでしょうかねえ…。
◎グラフィック
恐らくドット手打ち。マップを動くキャラ、アニメ、フェイスウインドウの顔、背景、エトセトラエトセトラ。一切の妥協がありません。恐ろしい程の作業量。恐ろしい程の執念。どうしてここまで出来る(以下略) もうね、ゲームの内容云々ではなくそっち方面での視点になっちゃいます。コツコツ積み重ねの境地です。
◎音楽
殆どすべて名曲。それが36曲! 音色がマシン依存にならないようなゲーム音楽作曲用のツールまで開発して、手打ちで打ち込みして作曲したというのだから、それはもう凡人のできることではありません。
1つ1つ自分の気に入った曲を作って、それに合わせてマップを作っていけばそれはもう素晴らしいものになりますって。でも普通はそんな作り方できません。脱帽の一言です。
◎総評
大空に放たれた打ち上げ花火のような作品です。地道に一つひとつ星を作り花火を作り打ち上げる。我々はその花火を鑑賞しているのだなぁとそんな感じ。数年間もの時間をかけて作られた花火です。CGの1ドットから、コードの1バイトまで一切の手抜きなし!
過去、様々なフリーゲームをプレイしてきて、その中には市販作品にも劣らない大傑作がいくつも存在しました。でも、その殆どが何かしらのパロディであったり、ツクール作品であったり、グロすぎる内容であったり…と邪道なものでした。が、これはまさに王道。一切の隙がない。ぶっちゃけ、フリーで出してはいけないレベル。お金を取らないとゲーム業界のバランスが崩れてしまうレベル。ただ、趣味でフリーで公開するという形だからこそ、ここまで無限に作り込めたのだろうなあとも思ったのでした(採算合うわけがない)。
通常、何かのゲームを作りたいと思うときって、やりたいことはシステム作りであったり、シナリオ作りであったり、グラ制作であったりとそんな感じじゃないですか。他のことについてはフリーの素材を使ったり、ツクール使ったり、他の人に作ってもらったり、背景はデジカメ撮影で…みたいな感じで埋め合わせをするじゃないですか。それはフリーウェアにおける妥協点というか、じゃないと作業量が多すぎて完成に至らなくなってしまうわけで、それは別に悪いことでもなんでもないと思うんです。寧ろ必然であると。それを覆している点が凄すぎです。というか、この方の場合は全部がやりたいことだったんだろうなあ…。
なんというか、こんなことが出来る人が世の中にいるのだな、とそんな感じなのであります。未プレイの方は是非やって欲しい↓。
☆開発室 Pixel