DRAGON GUEST VII
〜ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち〜



メーカー エニックス
ジャンル  RPG
値段 7800円

   ドラクエパッケージ
(C) エニックス



 ◎はじめに
 5年ぶりくらいのシリーズ最新作。プラットフォームをSFCからプレステに移しての登場。
 正直、待ちに待ったという感情はなかったかな。それは、私の中ではドラクエは3で終わっているからであって。
 今回もこれまでのシリーズ同様、いやそれを陵駕するくらいに延期に延期。確か最初に設定された発売日は去年の年末だったハズ。それがこのザマはなんだ? もっとも、この発売日延期に関しては何も思うことがなかったりする。いつものことではないか、と。

 ◎ストーリー紹介
 物語の主人公アルス(名前変更可)は、フィッシュベルの町に住むごく普通の猟師の息子。
 周囲の人間からは、いずれは父親のあとをついで立派な猟師になるだろうと思われているが、今はまだグランエスタード城の王子キーファとフラフラ遊んでの毎日。
 しかし、主人公とキーファのちょっとした好奇心が、世界の人々を壮大なる真実へと導くことになる……。

 ◎キャラクター
 まずは主人公や仲間から。
 主人公はいつもと同じの無個性派。用意されているセリフも無きに等しく、プレイヤー=主人公という図式が成り立つ。まぁ、これについてはシリーズの伝統みたいなものなので言及することも特になし。別にいいんじゃないの? っていう方向性で。そういえばドラクエ1が出た当時、周りのRPGはみんな無個性派だったんだよな。それが今では、無個性派の主人公なんて無きに等しい。そういう意味では稀少な存在。
 仲間はこれまでのシリーズと違い、みんな人間味に溢れている。っていうか、これまでのドラクエの仲間キャラって、ほとんどセリフ無かったでしょ。それはそれでイマジネーションでみるという意味では面白かったのかもしれないけど、今回はとにかく喋りまくり。セリフ量膨大。
 敵キャラ。
 なんか倒される為に用意されたような奴等ばっかりで。印象に残るような奴がほとんどいない。
 それで……だ。
 一番問題はそれ以外のキャラクター。つまりは、町の住民とかそういう奴等のことなんだけど、とにかくプレイヤーのやる気を削ぐようなセリフが多すぎ。もうこちらプレイヤーとしてはイライライライライラ……。

 1、とにかく主人公達に依存(○○を倒してくれ)。
 2、主人公達が問題を解決する(結構大変)
 3、
放置される。

 とりあえず泣きたくなった。
 みかえりを求めるってわけでもないんだけど、ここまで非道いとどうしようもない。勿論、宴会を開いてくれたり、お礼を言ってくれたりするパターンもあるんだけど、根本的に自分勝手なキャラがてんこもり。
 プレイヤーのモチベーションということを考えなかったのかな。こんな人間どもを救うことに意味なんかあるのだろうか。
 魔物よりも人間の方が凶悪なんだもんなぁ……。

 ◎シナリオ
 今回も堀井雄二さんによるシナリオ。
 プレイ時間100時間とも言われる(実際には65時間でクリアできたけど)、大規模なシナリオにも関わらず手作りな感が非常に強い。町の住民のセリフがイベント毎に変わったりなど、細部まで作りこんでいることがかなりわかる。物量主義の職人技。
 ところで皆さんは、各メディアに登場なされている堀井さんのお顔をご覧になったことがあるだろうか?(唐突) この文章を読んでいる方なら、一度くらいは見たことがあるハズである。
 それを見て何か気付いたことはないだろうか? そう、デコである。かつての堀井さんに比べると遥かに髪量が少なくなっているのだ。つまりはハゲてしまったのだ。
 そんな堀井さんの憐憫の変遷によるものなのか、今回のドラクエはやたらと暗い話が多い。私が予想していた通りの展開になるということが、ほとんどなかった。
 暗く悲しく絶望的になるが、かすかに希望の光が見える、とそんな話がほとんど。
 なぜ複数系で書いているのかというと、今回のドラクエは小さなシナリオの集まりで構成されているからである。各シナリオに因果関係はない。ほんのちょっとだけ、魔王という存在を匂わせているのみである(それもホントに少しだけ)。
 それで問題となってくるのが人間達。
 魔物に支配されている町を開放する、なんていうのは今回のドラクエではメインではあらず。それどころか、そんなのはどうでもよい感じにすらなっている。
 ではなにがメインなのか?
 嫉妬、憐憫、憎しみ、恨み、怒り、悲しみ、意地、嫉妬、といった負の感情のオーケストラ。そういった人間の醜い部分を嫌というほど見せつけられる。それが精神的に痛い。なんで、こんなにプレイヤーのモチベーションを下げるようなテキストばかりなんだろう? 本当にそう思う。依存することに何の躊躇いも持たない人間達。それでいいのか?
 魔物との闘いなんて、おまけ程度。非情な人間ドラマに心痛めよ。

 ◎システム
 ◇動作等
 独自の読みこみシステムとやらのお陰で、異常に読みこみが早い。ソニーのロゴが立ち上げるところ以外は、ほぼSFCレベル。しかし、戦闘の読みこみに関しては若干ストレスが溜まる。大体3秒程度の読みこみ時間なんだけど、ドラクエの場合は3秒でも遅い。何百回と戦闘しなきゃいけないからな。
 例のバグ(稀に画面が止まってゲーム続行が不可能になる)に関してだけど、私の場合は一度も引っかからず。なんでも長時間プレイしていると発生する確率が高いらしい。まぁ、ドラクエのバグというよりかは、プレステのバグという気もするのだけど。

 ◇戦闘
 旧態依然としたドラクエ戦闘。これが許されるのはドラクエだけ。
 ……いくらなんでも限界か。AIが個人毎に設定できること以外は、ドラクエ6と何一つ変わっていない。
 モンスターがアニメーションするといっても、プレステじゃなんの凄さも感じられないしな。
 そして難易度が高い。難しすぎて、やる気を削がれるくらいギリギリのレベルまで難易度を上げてきている。なんといっても敵が硬いのなんのって。
 というか、後述する転職システムのお陰で難易度調整は不可能に近いとも言えるので、とにかく硬くするしかなかったんだろうけど。
 あと絶対的に変なのが、経験値のバランス。レベル上昇はプレイヤーのモチベーションを上げる手段の一つであり、テンポよく成長していくことで面白さを得ることができる。
 しかし今回は成長しないのなんのって。後半じゃ、メタル系のモンスターを利用しないと禄に成長できない。いくら闘っても全然レベルが上がらない。

 ◇転職システム
 職が増えた、ということ以外はドラクエ6のそれと同じ。しかしそれは、一つひとつの職の中身が薄まってしまったということである。っていうか、短所しか見つからない。本末転倒なんだよな。これはドラクエ6のときにも思ったことなんだけど、もうちょっと劇的な転職システムにならないものか。そういう意味でドラクエ3の転職システムが最高なわけで。
 転職による能力の区別が足枷にしかなっていない。転職しても装備品が変わるわけではないので、剣を装備できない戦士とかができてしまう。なりたくもない戦士(等)にならないと、上職業につけないので仕方なく転職させられる。
 あと職を極める為の措置に何か逃げ道が欲しかった。戦闘回数によって熟練度が上がっていくのはかなりきつい。何百回レベルでの戦闘をこなすのがかなり苦痛。

 ◇職歴システム
 今回初登場のシステム。自分の職の変遷の歴史がわかるというもの。

 ▽職歴システムの具体例
 マリッペの職歴

 あみもとの娘として生まれ、
 15レベルの時、魔法使いに転職するがすぐやめる。

 15レベルの時、ホイミスライムに転職する。
 18レベルの時、ホイミスライムのマスターになる。
 18レベルの時、くさった死体に転職する。


 自分が育てたキャラクターの歴史を見ることができるというのは、なんとも感慨深い。しかし、それと同時にキャラの職歴を汚したくないという気持ちにもさせてくれる。
 対ボス用に全員ぶどうかに転職だ! とかしたい場合でも、なんか躊躇してしまう。職歴に『ぶどうかになるがすぐやめる』、と載せたくないからである。
 ……そう思ったのは私だけかな? もっともすべての職歴が常に表示できるというわけではなく、最新の職歴十数行という制限付きなんだけどね。

 ◇会話システム
 自分の仲間達と会話ができるというシステム。コマンドのはなすを選択することによって、町の中やフィールドでは勿論、戦闘中まで仲間と会話することができる。
 これが凄い。ちょっとしたイベントがあっても、会話の内容が変化するし、昔の町に戻ってもそれ相応の会話が用意されている。作り込みが半端じゃない。これに関しては豊富という言葉が一番相応しく、堀井さんの拘りがひしひしと伝わってきた。また仲間との会話が謎解きのヒントになっているのもナイス。
 ただ戦闘時の会話において、3回以上連続してはなすを選択すると、敵攻撃を喰らってしまうというのはどうかと思った。これは会話システムの凄さを弱めてしまっている。折角、すべてのボス毎に会話が用意されているのになぁ。惜しい。

 ◇石版システム
 これをシステムというのには若干の抵抗があったけど、説明書にそう書いてあるのだからまぁいいや。
 え〜と、各地に散らばっている石版を集めることによって、新しい大陸に行けるというシステム。これを見るとサ、なんだかすっごく自由度の高そうな感じがするじゃない? 自分で行ける大陸を選択できそうなそんなイメージとかでてくるでしょ? っていうか、私はそういうモンだと思っていたのよ。
 でも、ぜんっぜんそんなことはなし。もろに一方通行のシステム。若干の例外はありにしろ、次の目的はすでに決められており、プレイヤー自身はそれに介入することはできない。
 あとね。石版を一枚でも取り逃したら駄目っていうのが厳しい。ドラクエには小さなメダルっていう探索要素がすでにあるのだから、ここまで窮屈化させなくともと思う。ダンジョンや町に入ったら、タンスをひっくり返し、ツボを投げまくり、道具屋の後ろにある宝箱を盗賊の鍵を使って開けなければならない。
 なるほど、町の住民に続き主人公達も凶悪人間だったのか(曲解)。
 ヒント婆さんとかいて、完全に詰まるということは無くしてはいるのだけど、かなり厳しい仕様。もうちょ〜っと易しさが欲しかったな。

 ◇移民システム
 ドラクエ3で好評だった商人の町の発展版。
 移民したい住民を各町から集め、どんどん町を大きくしていくというシステム。
 でもまぁ、特質すべき面白さっていうのは無い。ドラクエ3の時みたく、シナリオに直接関わってくるわけでもないし。だんだんと町が大きくなってきても、ほとんど感動とかなかったし。
 でもまぁ、各町から数人ずつ住民を集めるなんていうのは、糞長いドラクエ7ならではの試みであり、そこに関しては良かった。
 
 ◇モンスターパーク
 モンスターを集めてモンスターパークを作るというシステム。モンスターを集めるには、そのモンスターを倒さなければならない。また、倒せば確実に集められるというわけではなく、一定の確率にゆだねられる。(アイテムや特技によって確率を高めることは可能)
 ……モンスターパークが出てくるのが遅すぎる。モンスターパークに辿り着くまでは、モンスターを集めることができないので、初期の頃に登場したモンスターを集めるのには昔の地にUターンしなければならない。
 まぁ、本編とはまったく関わりのないシステムなので、別に構わないのかもしれないけど。

 ◎絵
 現役を退いた鳥山明さんがキャラデザ。
 堀井さんの指定なのか、鳥山さんの意向なのか、キャラにかっこよさやかわいさがなく、とにかく普通やな〜っていう感じのデザイン。
 でも、ボスまでそうしなくてもな。
 もうちょっと禍禍しさとか、怖さとか出せなかったものなのか。折角のドット絵なのになぁ……。迫力が全然ないんだもの。まぁ、雑魚モンスターならそれでいいのだけど。

 ◎CGとか
 いや、評価しちゃいけないことはわかってるんだけど、一応ね。
 町やダンジョンはフルポリゴンだよー。
 LRボタンを押すとグルグルと画面が回るよー。
 様々な方向から建物を眺めることができるよー。
 極稀にCGムービーが流れるよー。
 全部駄目ッ! 駄目なのッ!!
 フルポリゴンっつったって、解像度が低いから(これはプレステの仕様だって)ガタガタで荒々しいし、町の境界線が露骨すぎるし、グルグルと回しても酔うだけだし、CGムービーは技術が未熟だし。
 ――でも、CGのクオリティをドラクエに求めては駄目。
 いうならば、ヘタにポリゴンやムービーを使ったということに対して意義を唱えたい。
 やっぱりドット絵が最高!

 ◎音楽
 すぎやまこういちさん。いい音楽はあるのだけど、曲数が少ない。いや、決して少なくはないのだけど、このシナリオボリュームに合うほどの数はない。
 長いシナリオなんだからなぁ……。戦闘の曲を増やすとか、ダンジョンの曲を増やすとか、町の曲を増やすとか、いろいろやって欲しかった。
 それに気付いているとは思うけど、ドラクエ7関連の話で音楽が話題になってことってある? ほとんどないっしょ??
 所詮それまでって感じ。ドラクエ3やドラクエ5の音楽は良かったんだけどなぁ……。

 ◎レビューの終わりに
 RPGはアドベンチャーゲームじゃねぇッ・・・!! フラグをたてる為に行ったりきたりするのが無茶苦茶面倒や。それに闘いを主体としたシナリオじゃないのも納得いかんッ! サブタイトルも“エデンの愚民たち”の方が相応しいと思うぞッ!!
 い、言いすぎたかな(恐縮)。
 まぁ、こんなもんじゃないの?
 作り込みの濃さとか、超物量主義とかを考慮すると及第作〜良作っていう評価で。



平成12年10月09日 記