加奈〜いもうと〜 D.O./ビジュアルノベル/8800円/1999年6月25日発売)
◎はじめに

加奈タイトル 眼中に無かったんだけど、ネット上での評判がかなり良かったので購入決定。あちこちで「泣いた」「感動した」等々の感想が聞かれ、99年度のエロゲのダークホース的な存在になった。当時は私自身が泣きゲーを求めていた部分もあったしね。
 でも、買ってからクリアするまでに、2ヶ月もかかってしまった。う〜ん、シナリオに吸引力が感じられない。プレイしては止め、プレイしては止め……ってな感じでやっとさクリア。
 あ、結構酷評なのでそれが嫌な方はブラウザの戻るボタンをクリックしてね。作品に問題があるというよりは、感性の違い。少なくとも私には受け付けなかったわけで。
 ちなみに、初回限定版は携帯ストラップ付き。けど用途ないよ、こんなの。
◎ストーリー紹介

 主人公、藤堂隆道には2つ歳の離れた妹、藤堂加奈がいた。加奈は幼い頃より、病弱で入退院を繰り返す生活を送っていた。幼い頃のあの日、主人公にとって、病弱な妹は「憎むべき存在」から「絶対に守るべき存在」になる。
 何があろうと、加奈を守ってあげることが兄である主人公の幸せだった。加奈の一瞬の幸せがいつまでの続くように祈る兄と、その兄の背中を見つめてきた加奈。互いを大切に想う心はいつしか、愛情にも似た感情へと昇華していく……。
◎キャラクター

 どうにも主人公と加奈が好きになれなかった。そりゃキャラクター描写がメインのゲームで主人公とヒロインに感情移入できなかったら印象悪くもなるわな。兎に角、見ていてイライラする。加奈がオロオロしている態度に対し萎え、主人公の加奈に関する異常な感情に対して引く。
 加奈に関する背景等がキチンと描写されているので、なぜ主人公や加奈がそういう行動をとるのか理屈ではわかっているのだけれども、現実では拒絶反応が出てしまった。
 それ以外にも、主人公の理不尽な他のキャラに対する言動や行動とか、私の感覚にはまるで合わなかった。私的にはサブキャラである伊藤勇太や鹿島夕美の方が好きだったので、余計にそう思えてくる。この辺のキャラが可哀想過ぎるよ。
 特に加奈に対する主人公の妄執が見てられない。
◎シナリオ

 やはり、一番引いたのは主人公の加奈に対する異常な感情。近親相姦っていうのも、テーマに入っていると思うのだけど、兄妹間の恋愛を描く事の難しさが諸に露呈してしまった感じ。明るくデフォルメしてあればそれもまた良いかなと思うのだけど、基本的にこの作品はダーク。ダークさの中でリアルさを追求しているお陰で見ていられなくなっちゃう。現実に妹がいる私にとっては特に。んなこたぁねぇよ、と。
 これを買った一番の理由は前述した通り感動物であるからという事なのだけど、この作品では全く感動できなかった。此程までに他の人と意見が食い違ったのは初めて。『ONE』とか『DESIRE』とか『Kanon』とか『アンビヴァレンツ』とか、そういう感動物は好きなんだけどなあ。加奈はさっぱりだった。
 でも、主人公と加奈が好きになれて物語に入り込めれば、感動できる作品だと思う。それなりに盛り上がるし「さあ、泣け!」という部分も勿論あるしね。
 にしても、テキストに魅力を感じなかったなあ。なんでだろう。先が気になる展開とも思えず、ズルズルと間を空けながらのプレイになってしまったし。描写が諄すぎる感はあるね。別の云い方をすれば丁寧という事なのだけど。9割以上の人は丁寧な描写だと感じるだろうけど、私は諄いと思ってしまった。
 それとビジュアルノベルなのに鍵括弧の前に固有名詞置くのは止めようよ。

隆道:「うんたらかんたら」
加奈:「うんたらかんたら」

 とか固有名詞がいちいち出るのがうざい。いちいち書かなくても誰が云っているかなんてわかるって。
 もう少し、含みのあるストーリー展開だったらなあ。キャラ描写がメインなだけに、キャラに感情移入できなかった点で終わってしまった。
 シナリオ自体にまた違った含みがあれば変わったのかもしれないけどね。そうすれば、キャラはアレだったけどシナリオはすんごい楽しめたよ、みたいな評価が出来たんだけど。この作品は一体化しちゃってるから。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98
CPU:Pentium133MHz以上(推奨166MHz以上)
メモリ:32MB以上(推奨48MB以上)
解像度:640*480,ハイカラー以上
HDD:210MB以上
CD-ROM:倍速以上(推奨4倍速以上)
サウンド:CD-DA
 推奨環境を満たしていたのに随分と重かった。私的にはシナリオよりもシステムの方が重かったよ。単なるビジュアルノベルなのに、なんでこんなに重いのだろう。
 ビジュアルノベルのシステムとしては、ほぼ一通りのものが入っている。特徴としてはシナリオ回想ではなく、シナリオ巻き戻し機能になっているということくらいか。けど、これなら普通の回想機能で良かったよ。こんなのよりも「一つ前の選択肢に戻る」機能を付けてくれた方が有り難かった。
 でもって、メッセージスキップの遅さが致命的。メッセージ表示速度が速くなるだけで、曲は普通に読むわ、エフェクトも普通にかかるわでスキップじゃないよ、こんなの。多用する機能なだけに、これは痛かった。スキップ中なのに文字が読めるっていうのもどうよ。
 どうでもいいような選択肢で分岐するのもどうかと思ったし。しかも、ストーリー冒頭の選択肢が最後の方に影響するので、イチイチやり直さないと駄目。勿論、遅いスキップで。難易度が高いと云われた『ONE』では、最後の方の選択肢だけが難しいかったから、セーブ&ロードでなんとか切り抜けられたけど、加奈は序盤から難しいからねぇ。この差は大きいよ。かなり興を削がれる。
◎音楽

 CD-DAの全16曲。曲数少ないと思う。が、その中の3曲がボーカル曲であり、ボーカル曲数は多いと思った。しかも、それぞれ5分以上の曲。しかし、3曲とも同じようなテンポの暗めの曲だったので、メリハリがないというか。歌っている方も一緒だったし。まあ、テーマが暗いので、明るい感じのボーカル曲だったら合わないとは思う。けど折角3曲もあるのだから、もっと多彩な感じにした方が良かったんじゃないかなあ。
 その他の曲に関しては、まあ、BGMに徹しているっていう感じ。まあまあと思う。可もなく、不可もなく。どちらかといえば不可なんだけど。
◎絵とエロ

加奈画面 凄く良いと思う。けど、私的にこの原画嫌い。表情とか素晴らしいの描くのだけれど、好みじゃないんだよな〜。
 まあ、キャラが好きになれなかったっていう理由も、ここら辺が絡んでくるんだけど、どうにも駄目、拒絶反応がでた、タイトル画面の加奈の目とか特に。
 癖のある原画といえば、リーフの水無月さん(辞めたけど)とか、keyの樋上さんとかいるけど、それ以上に癖のある絵柄だと私的には思う。
 けれど、それ以外に関しては文句ない。CGの塗りもホントに丁寧だし、背景の出来もほぼ完璧。枚数も多かったので満足できたし。いい仕事してる。
加奈エロシーン そしてエロ。難しいね……。Hシーン自体は、よく書けていると思うんだけど、その必要性が感じられないというか。
 死をテーマにしたシナリオと、18禁ゲームのシナリオを融合させているのが、本作品だと思うんだけど、そのお陰でエロの部分が浮いてしまっていると思う。
 無理矢理くっつけたHシーン、とまではいかないのだけど、なんか違和感を感じてしまうんだわな。
 シーンだけに着目してみると、そこいらの同ジャンルのエロゲよりかはよっぽどエロなんだけど。
◎総評

 近親相姦自体はエロゲの中で良く出てくるけど、それに死を組み合わせるとなると相当珍しい。試みとしては面白かったけど、私的には駄目だったわけで。なんつうか、エロゲじゃないよ、この作品。
 それと分岐が無きに等しいっていうのも問題だと思う。ってか、中途半端に分岐するんだよなぁ。一本筋のシナリオっていうのも、マルチエンディングっていうのも、私的にはどっちも好きなんだけど、この作品の場合はどっちつかずなんだもん。ビジュアルノベルという形態を採用した以上はある程度の分岐を用意すべきだったのではないかあ? 対象ヒロインが加奈だけなので、結末が1つしかないとも云えるし。マルチエンディングを名乗るのなら、対象ヒロインを増やしたほうが良かったと思う。看護婦さんだの夕美だののキャラクターがいれば、プレイヤーとしてはそのエンディングがある事を期待してしまうよ。
 そして、私的にもっとも憎むべきは主人公。加奈への様々な思いが、主人公にこういった行動を取らせた、というのはわかるのだけど、やっぱり納得でけんっ! 他のキャラクターに対して冷たすぎだって。
 この作品の売りはストーリーとそれを演じるキャラクターなので(声もないし、演出も特にないし)、そのストーリーとキャラに入れなかった私としては、やっぱり駄目だったと云わざるを得ない。
1999年8月18日 記
2002年1月25日 修正

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