AIR key/AVG/8800円/2000年9月08日発売)
◎はじめに

AIR パッケージ いろんな意味で注目されてる作品っていうか。
 keyの1年ちょいぶりの新作。
 私自身は何を求めてAIRを買ったのだろう? やはり、同じ作品をプレイしたい、同じ作品について語りたいっていう、下世話な購入者意識なのかな?
 まぁ、それもいいかな、と思う。ほら、みんなが同じゲームしていて自分だけプレイしていないと寂しいでしょ?
 ……。
 何の期待ももたず、お祭り騒ぎに参加したいが為に買った、みたいな感じの文章になってるな。
 でも、なんだかんだいっても『Kanon』って良い作品だったと思うのね。だから、この作品にも手を伸ばしたわけで。しつこいようだけど、迎合とかそういうんじゃないんで。いや、ホントに。
 尚、この作品の評価については、以下のような特異性があるんで宜しく。
 、エロは期待せず。よって、エロがおざなりでも評価は変わらない。
 2、ゲーム性にも期待せず。よって、ゲーム性が皆無でも評価は変わらない。
 勿論、この甘さについては他の部分で帳尻を合わせているんで。
◎ストーリー紹介

 家族愛をテーマにした壮大なストーリー。そのありがたさにエロゲーマーは目から鱗、涙する事請け合い。
◎キャラクター

 まずは主人公。キャラデザを見たときは、今までの作品とは違った感じのキャラになるのかな? とか思っていたけど、実際は今まで通りの麻枝キャラ。
 『ONE』や『Kanon』の主人公のように、時には天然ボケをかまし、時にはツッコミをいれ、時には真面目になったり、時には甲斐性を見せたりする。ぶっきらぼうな面や、シリアスな面とかあるけど、それになりきれない。なんとなく憎めないヤツ。
 悪く言えば、今までの作品の主人公と似たり寄ったりなんだけど、そこはほら、蛭田キャラや剣乃キャラとかと一緒でさ。だから、麻枝准氏の作る主人公はこれで良いのだと思う。
 ヒロインは天然オンリー。『Kanon』をも超える天然度。正しくゲームだからこそ許される存在。現実世界では99%お目にかかれないようなキャラクター達。ま、キャラ萌えとか狙いすぎの感はあるけど(キャラの名前とかもな)、それでもキャラクターを作る力は優れている。どのキャラも印象に残っているんだよね。狙いすぎとは云っても、嫌悪感を抱くほどではないし。
◎シナリオ

 『Kanon』では冬だったけど、AIRでは夏。田舎町でリーフの『痕』みたいな世界観。でも、夏っていう感じはあまりプッシュされてなかった。『Kanon』では冬を巧く利用してあったけど。
 蝉が鳴いたりする効果音とか、そういうリアルさはあるんだけど、『Kanon』に比べると今一つ物足りなんだよね、この世界観。
 で、シナリオの方なんだけど、「なるほど、このタイプで来たか」って感じ。てっきり『Kanon』の焼き直しのような作品だとばかり思っていたのだけど、いやはや随分と違った。まぁ『ONE』『Kanon』と続いたからねえ。違う方向性を模索した結果がこれか、と。『Kanon』が発売された時、「『ONE』のデッドコピーだ」っていう意見が結構あったでしょ? 他にも「『ONE』を意識しすぎるあまり失敗してしまった」とか。で、それに対する麻枝氏なりの答えが『AIR』だったんだと思う。
 私自身は、久々に引きずった。プレイし終わった翌日になっても、シナリオの内容が頭から離れず溜息がはぁ〜、と出てしまうわけで。カタルシスっていうか。『DESIRE』程じゃないけど。
 テキストは相変わらず面白い。けど単調。5クリックごとくらいにギャグが折り込まれているんだけど、この怠さは流石に誤魔化せていない。序盤戦では確実に眠くなる。私はこの罠にはまり、プレイ中5〜6回ほど寝てしまった。もう少しわかりやすい複線を用意して、先が気になる展開にしておけば良かったのに、と思う。
 ここは1クリックの文章で十分だと思うような場所でも、5クリック分くらいの文章が用意されている。でもって、それがお涙頂戴のシーンだったりするからなんとも空回り。シナリオが長いのは別に構わないのだけどねえ。メリハリをキッチリとして欲しかったというか。
 そして、忘れてはいけないのがプレイヤーへの挑戦状ともとれる謎の数々。『MOON.』の時から薄々と気付いてはいたけど、麻枝准氏は間違いなく謎マニア。全ての謎を明らかにはせずにプレイヤーに考えるべき部分をかなり残しておくタイプ。……残しすぎなんだって。
 あんなに文章量あるのに、こんなに謎が多いんだもんなぁ。一説によれば、作中で全て語られているらしいのだけど、少なくともわかりにくい事には違いない。ストレートに伝えた方が良い事だってあるさ。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98/2000
CPU:Pentium100MHz以上(推奨166MHz以上)
メモリ:16MB以上(推奨48MB以上)
解像度:640*480,ハイカラー以上(推奨フルカラー以上)
HDD:400MB以上(推奨640MB以上)
CD-ROM:4倍速以上(推奨12倍速以上)
サウンド:PCM,CD-DA
 『Kanon』と同じシステムをバージョンアップさせたもの。っていうか、ビジュアルアーツのいつものアレなんだけどね。『Kanon』で私が文句垂れてた部分はすべて改良されていた。具体的に云うと、キーボード操作がオッケーになり回想機能がついた。ちゃっかりセーブ個所も増えてた。
 文句なしで完璧。でも、回想シーンのボタンがちっちゃすぎ。押し難いったらありゃしない。
 で、ゲームの方は選択肢を選んでいくタイプのテキストアドベンチャー。『Kanon』と同じ。
 一応、ゲームデザインも麻枝准氏になっているけど、全然デザインされていない。ゲームっていうよりは読み物。『Kanon』よりかは攻略難度高くなってるけど、それでも何回かプレイすれは確実にクリア可能な難易度。『Kanon』のシナリオが違うヤツ、みたいな。
◎音楽

 折戸伸治さん。
 この曲は『MOON.』の○○に似てないか? とかあったけど、総じて良い曲達だった。田舎町の雰囲気に良く合ってる。相変わらず見事すぎ。ゲーム音楽としては他を逸してるよなあ。
 2枚組の内の1枚を丸ごとCD-DA用として使ってるし豪華。しかも、ボーカル曲はロスでレコーディングしたとかなんとか。やっぱり売れることがわかってるゲームはやることが違うねえ。
 ボーカル曲で一押しなのが、OP曲の『鳥の詩』。これだけで満足できるような、そんな曲。これ本当。
 今回も初回版はアレンジCD付き。でも、アレンジCDの完成度は『Kanon』の方が上。曲数減ってるし、歌詞カード薄くなってるし。唯一上回っているのが、今回はピクチャーCD仕様だという点。『Kanon』の時はそうじゃなかった。まあ、細かい事だけどさ。
◎ボイス

 なし。
◎絵とエロ

AIR 通常シーン キャラの立ち絵がバストアップサイズじゃなくなったこと以外は、『Kanon』とそっくしの構成。ちなみにウインドウ右下にちっちゃく見えるのが回想ボタン。
 原画は樋上いたるさん。え〜と、どういう方か一応説明しますと、エロゲー界におけるSMAPの中居クン的な人。
 このキャラはONEの○○に似ていないか? とかそんなことを言っては駄目。そんなのは業界において日常茶飯事。
 でも正直な所、回を重ねる毎に良くなっていると思う。味があるね、と呼ばれる絵柄というか。相変わらず、同じ角度からのポーズじゃないとキツそうな感じはあるけど。
 塗りは業界最高峰。どれもこれも綺麗なんだけど、なんといっても凄いのが背景。『Kanon』の時も相当凄いと思ったけど、今回はそれを超えてる。枚数も結構多かった。これぞ職人技や。
AIR エロシーン エロ。できるだけソフトに描写。意図的にエロさを無くしているがわかる。ってゆうか、今更気にしても仕方のないことのような気すらしてきた。
 そうだねぇ。ソフ倫って、屍姦とか近親相姦とか駄目でしょ? そういうのよりも、ある程度のエロさがないと駄目っていう事にして欲しいよ。エロくないと18禁シールを貼れないようにするの。
 それ以前に、エロシーン自体が邪魔みたいな感じになってるし。Hシーン突入への自然さがまるで無いし。
 でも、エロCGはなかなか良い仕事してる。いたるさんの構図も随分と良くなってる。枚数は、各キャラにつき3枚くらいしかないけど。まぁ、この手のエロゲーに関してなら標準くらいの枚数か。
 あ、そうそう。「うぐぅ。痛いよぉ」、とは誰も云わなかったんで。
 まッ、パソコンでゲームを出す場合、アダルトじゃないと市場が狭くなっちゃうからねぇ。
◎総評

 私的評価は『MOON.』>=『ONE』>『AIR』>=『Kanon』っていう感じで。
 手を抜いている個所とか無かったし、今までの路線から逸したっていう意味でも良かったんじゃないかな。声無しで満足できた久々の作品だっだし。なんつうか、keyの方々は創作活動しているプロとして、素直に尊敬できる。勿論、エロくないという点を除いて。
 けど、納得できない人も多いだろう。それでも、号泣した人は多いだろう。麻枝准氏は、相変わらず感性の塊のような人だ。それで文章書いているなあ、という感じが凄くする。ってか、新人のイシカワタケシ氏は、どの文章を書いたのだろう? 良くわからなかった。あ、久弥直樹さんの名前は、クレジットに一切載ってなかった。デバッグしかしていなかったんだろう。ってか、辞めたらしいね。良くわからんけど。あと、クレジットの表記演出が『ドラクエ3』みたいだった。アレンジCD、出荷日が2000/07/28。『AIR』の発売日は2000/09/08。発売延期の傷痕がこんな所にも。一見嵩張りそうに見える横長パッケージ。見た目よりもかなり機能的だった。それと、パッケージ裏にある「初回限定版特典アレンジCD付 ボーカル曲3曲入り」の表記。……そういう事は伏せて置いた方が良いと思うよ。そして、パッケージ裏にプリントされているサムネイルCGの数々。ネタバレのがあるのは勘弁して欲しかった。
2000年9月13日 記
2002年2月26日 修正

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