アンビヴァレンツ−二律背反−




メーカー アリスソフト(WIN)
ジャンル  AVG
値段 WIN廉価版 3800円

   

アンビ・タイトル
(C) アリスソフト



 愚痴。
 のように、言ってる事なんだが、まあ、面白い新作がないんだな、最近。いや、それなりに楽しめる作品ならあるんだけど、ヴィヴィっとくる、という作品になるとないわけだな、これが。で、ちと落ち込み(?)気味になっていた私は、評判のいい過去の作品を買いにいったわけだ。
 で、MOON.やらと一緒に買ったのが、このアンビヴァレンツだ。コイツの各所での評判が、かなりいい。かなりいい、っていうんだからやらないわけにはいくまい?(笑)

 面白い。
 やはり、面白いね。クレジットによると開発期間が9ヶ月だったらしいが、そんなに短いとは、思えないほどの完成度だ。ただ、Hシーンが薄いのと、作品の味付けというか、肉付けが、ちと不十分だった、という事くらいだろう。しかし、十分面白い。
 この制作前に、進行させていた企画がボツになり、かわりに、とり女史が温めていた? この企画がTADA氏に好評だったことにより、制作が始まったというのだから、世の中は面白い(笑)。まあ、そういう企画の場合って面白いソフトがでる場合が多いからね♪

 あらすじ。
 
太古の時代。人々の生活は[信仰]を中心に巡っていた。その、[信仰]の中での邪悪な儀式の為、最愛の人シィアを失った主人公修羅(シュラ)は、ドラゴンの血の呪いにより不老となる。彼に呪いをかけたのは、儀式より生まれた殺戮と破壊の象徴[闇の娘]ディアドラ。ディアドラは修羅を修羅はディアドラを、それぞれの思惑の為、互いで互いの血を染める。復讐の羅刹となった修羅の目的はただひとつ。ディアドラの滅亡。そして、その血戦は、遥か彼方の時から現代まで続いている。もちろん、今も……。

 良い感じのキャラクター。
 主人公。設定がわりと暗い感じなので、どんな感じになるかな、と思っていたが、
そんなに暗いっていうんじゃなかったね。暗い、というよりは無愛想っていう形容が合ってる。で、こういった主人公の場合、そういう雰囲気をテキストに表せていない、という事が多いのだが、今作では良く書けてた。とる行動も面白く、見ていて飽きない。(突拍子もない行動をとるという意味じゃ、ないぞよ)
 ヒロイン。ごく普通といえば、それまでかもしれないが、まあ、ごく普通のヒロインといえた。もちろん、他のゲームのヒロインとは根本的に違う所があったので安心してほしい。そして、世界観というか、テーマ的なものが他のゲームとは違うので、その辺が楽しめた。『素性』というかが、こちらの思った結果とは、微妙に違っていたことも良かった。
 敵。AVGだが、RPGでも十分いけると思われるシナリオなので、敵も随分と登場する。結構、細かく設定がしてあったが、ちとわかりにくいのが難か? それと、敵の存在意味というか、ただ漠然と敵がいたのではなく、キチンと意味が用意してあったのには驚いた。
 しかし、全体的に見ると敵の存在というものは薄く、印象に残りにくいというのが、本音だろう。中には個性的な奴もいたが、やはり王道的な敵が多かった。AVGをやっていたのだが、RPGをやっていたような気がした、という理由の一つでもある。
 まあ、ディアドラだけは、何回もでてきてくれるので印象に残ったけどね……。
 その他。これも良い。一癖ある人物が多く、飽きがないね。かぶったキャラもいなかったですし、やはり見ていて飽きない。それと、濃いキャラが多かった。まあ、彼らに関しては人物を描くために存在しているのではなく、ストーリーを面白く進めるために存在しているので、心情などについては、あまり描かれていなかったが、ナイス脇役という所だな。それと、意味のないキャラはおらず、どのキャラにも存在意味があった、これは、無駄なキャラが多くでてくるゲームには見習ってほしい所だな。
 全体的に見ると、キャラクターはGood。共通するのは、セリフ廻しが面白く見ていて飽きない、という事。

 ストーリー。
 うかつにも、感動してしまった。
 かなりいいね、この作品。とり女史が「10年に一度の傑作」、というだけの事はあった。それと、各所での好評の意味もわかった。
 ドゥエンティだの悪魔だの、といった設定がかなり細かく、頭に入れるのがちと大変だったが、なれると、この感じが良くなってくる。
 で、ストーリーだが、どれも良く練られていて○。1章、2章といった各章ごとに進んでいくっていう感じだが、どの章も良く出来ていた。んでもって、どの章もRPGっぽい感じがしたのも確か。それは、冒険っていう感じのストーリーだからだろう。
 あと、良かったのは世界観というか、世界の設定。舞台は現代だが、もちろん非現実的な事が多く起きる。で、それらについての、設定が細かい。神、悪魔、ドゥエンディ、姫、不実在の存在、これらのキーワードの設定が細かい。神や悪魔、といったものも、私達の認識とは少し違う感じの設定になっている。で、これらの設定があるお陰で、ストーリーが生きている。しかし、これらは設定が少々難しく、無知な私には受け入れるまでに時間がかかった。そのキーワードも宗教をヒントにしたかのように、設定されているので、なおさら、骨が折れた。鬼畜王ランスでの神だの悪魔だのの設定よりも、難しかった。そうそう、そういったキーワードが作内で良くでてきたので、最初の方は戸惑ったね。マニュアルで、それらについては、細かく説明はされているので、読んでからプレイした方が良いだろう。もちろん、作中でも説明されてはいるのだが、マニュアルでの説明を読んだ方がより楽しくプレイできる。
 テーマとして、二律背反というものがあるが、これについてはどう思ったか? で、最初は二律背反ってどういう意味かわからなかったのよ。まあ、ほとんどの方もそうかな?(未プレイの方ね)
 はて? どんな意味なの、と思いつつマニュアルの裏表紙を見たら書いてあった(笑)。相互に矛盾し対立する二つの命題が同じ権利をもって主張すること。って、まだわかんねえな、これじゃあ。
 しかし、この二律背反がどういう理由でテーマとなっているかが、わかると、グッとストーリーが面白くなった。なるほど〜、そういう事でああだったのかあ、という感じ。
 あと、転生ね。結構、他の作品(映画など)でも使われているテーマだけど、今作でも使われてた。しかし、ありきたりではなく、それにひねりが加わっていたので、楽しめたね。
 あと、各所での、なぞ解きを作る時に、使用されたアイデアが良かった。最近のAVGは、なぞ解き感が皆無だが(選択肢選ぶだけだから)、この作品では結構、なぞ解き感がある。まあ、簡単だけどね……。まあ、アイデアが良いっていう事。

 システム。
 旧式のAVGのシステムそのまま(EVE系)。ただ、何処へいったらいいか、迷うという心配はないので旧式の進化版といった感じか。結構、操作性は良い。ただ選択肢を選んでいくよりのAVGよりは遥かにいい。というのも、いつも私が言っているように、ただ選択肢をえらんでいくっていうんだと、ゲームっていう感じがしないからね。
 そのシステムの他にもダンジョンを移動する過程があるので、その中でもゲーム性というものを感じ取れる。
 で、結構良くできてると思ったのが戦闘シーン。今作はシナリオ上「敵」」という存在がいるので戦闘シーンも用意されている。しかし、戦闘シーンといっても、レベルや各種パラメータはなく、コマンド式で展開されてゆく。これを見て、最初に思った事は「ワンパターンにならないか?」、という事だったが、そんなことはなく、良く出来ていた。ここでのアイデアは素晴らしい。コマンド式というのは、そのままの通りの意味で、選択肢(斬る、防御)などを選んでいって闘うというものだ。この時のアクションのパターンが豊富という意味ね。どの敵も、ただ適当にやっていたのでは、勝つことは出来ずそれなりに考えることが必要。こういった趣向は面白かった。
 AVGってのはゲーム性に乏しく、シナリオ重視なのが全部だが、こういう要素も入れてあると、そこそこ楽しめると思った。しかし、CG枚数が少なく、文字だけで説明してあるのは、ちと厳しかった。特に戦闘シーンでは、『動き』を文字で表現しているのだが、ちと、無理があった感がある。それと、効果音も少なく、ほとんどが文字で表現してあった(ゴォォォー、などね)。この辺も難。
 しっかし、こういうCGとか演出が少ないと18禁やってるなあ、って気がするなぁ。コンシューマーってこういうことに、こだわりすぎるから。(笑)
 あと、ミュージックモード、CG回想機能。などはキチンとついている。ただ、ゲームプレイ中はロードできず、タイトル画面からしか、ロードできないのは面倒だった。

 絵。
 むつみまさとさんが、すべて描いている。
 で、これのオリジナル版が出た当時は、1993年なので、当然、今、出回っているWINゲーと比べたらだめね。そりゃあ、荒いですがな。
 CG枚数は、内容の割には少なかったかな? でも当時としては、どうだったのか私には、よくわからんのでノーコメント(笑)。しかし、むつみさんの絵が魅力的なのは確か。それは、今では古くなった絵からでも、感じとれた。
 ゲーム内容上、いろいろな場所が出てくるので、楽しめた。

 あまり、期待していなかった、ミュージック、しかし。
 どうせ、これがでたのは、結構昔のことでしょ? まあ、特には期待してないよ、という感じだったのだが、聞いてみたらどっこい、良いじゃあありませんか?(笑) これはうれしい誤算だ。今までプレイした、アリスの移植廉価ゲーはどれも音楽がイマイチだったが、コイツの出来は素晴らしい。最近良いな、と思ったゲーム音楽よりも、良い出来だ。
 曲数は21曲と標準。音源はCD−DA。ゲーム内にマッチしていて、なおかつ曲自体が死んでおらず、むしろ、生き生きとしている、というのだから素晴らしい。特に良かったのが、オープニングと戦闘の音楽。戦闘の音楽なんかは、マジでRPGの戦闘をしている気分になれたのはこの音楽の助けもあったからだと思う。
 私の中では、鬼畜王ランスの音楽と並ぶほどの出来だと思っている。
 いやあ、期待していなかっただけに(すんません)、うれしい誤算だった。まさか、こんなに良い出来だとは……。

 Hシーン。
 これが、うまいぐあいな設定を作ったとは、思うのだが、やはり強引ですな。それに、CG枚数も少なかったし……。CGの質は古さは否めないとしても、もう少し、どうにかならなかったの? という感じ。まあ、それを解決するには主人公の性格から変えないといかんので、どうにもならんことだがね。
 テキストの出来はまあまあだった。
 というよりも、これは、Hゲーしているという感じが全然なかった。もちろん、それなりに、ナニするのだが(笑)、とかくHシーンで面白い個所はなかった(例外アリ)。

アンビ・会話シーン

 基本シーンは、ごく普通のAVG。もちろん、CGの古さというのはあるが、むっち氏の原画が好きな私としては、満足できた。

アンビ・Hシーン

 で、Hシーン。作品の性質上、枚数は少ない。Hシーンシステムの構成は、闘神都市Uと同じ。絵の古さは……前に同じ(笑)。

 最後に……。
 とりあえず、安かったのでその点も褒めたい。こういった良い作品を廉価版として、移植してくれるというのは、新規ユーザーにとってうれしいところ。どうかんがえても、3800円っていうのはお得なので、是非買ってほしい。しかし、大手に店に行かないと手に入らないのは相変わらずか(笑)。
 アリスソフトっていうのは、こういう所でユーザーフレンドリーだからいいね。まあ、ユーザーの望んだ作品が出てきてくれないっていうのは、ありますけど、作るのはアリスソフトの自由だからね。
 で、アンビヴァレンツの方だが、店に売っていたら是非買ってほしい、という作品。HD容量も少ないので(30MB)、インストールしてもかさばらないしね。感動が結構大きかったのは驚いた。どうも、この手の作品は感動できないケースが多かったのだが今作は例外。非常に良かったね。音楽がいいので、CDとしても使えるし。(笑)
 しかし、Hシーンが薄いのは難ですな。それなりに、面白い作品になってくると、Hじゃなくなるっていうのが、この業界の特長になっちゃってるし。
 しかし、まあ、面白かったのでよしとしよう(笑)。退屈な選択肢だけをえらんでく、AVGなんかよりも、遥かにいいし。何よりもシナリオの完成度が高い。それと、戦闘ね。このパターンの豊富さというか、種類の多さというかアイデアの凄さというかは、良かった。
 結構深い物語であり、それなりに楽しめた作品だった。



平成11年2日10日 記