〔el〕 エルフ/AVG/7800円/2000年9月29日発売)
◎はじめに

el パッケージ 移植屋さんの今年何発目かの作品。『BE-YOND』辺りでストックを使い果たしたのか(シーズみたいだ)、なんと9年も前の作品を移植。9年も前ってぇと、コンシューマでいう『ファイナルファンタジーIV』(SFC)とかそんな時代やね。当然の如く私はオリジナル版を未プレイであり、新作のつもりで本作品を購入したわけで。よって、オリジナル版との比較は他の方に譲り渡し申す。
 次こそは『鬼作』が発売されるのかな? っていうか、『リフレインブルー』のレビュー書いたときも同じようなこと書いてた気がする。いつまで待たせる気なんだ?
 まぁ、エルフ的には新作のつもりで……っていう感じなんだろうけど、世間様はそうは云ってくれないんだよねぇ……。
◎ストーリー紹介

 21世紀、それは魅惑の謎を解くプロローグに過ぎない……。
 西暦2030年、人類はわずかな生存可能領域に理想社会(メガロアース)構築を計画する。主人公を挑発する数々の誘惑……そしてグロテスクな怪事件。21世紀初頭と云う近未来を舞台に人類自ら仕掛けたその壮大な謎に挑む移植作品。
 キャラクターデザインの刷新、リアルな演技でフルボイス化、ムービーによるドラマティックな演出で『el』が蘇る。
 その女性の名はエル……それはエロチックな誘惑。
 理想の21世紀社会……それはグロテスクな惨劇。
◎キャラクター

 可もなく不可もなく、といったところ。でも、どちらかといえば可。萌えといった概念は存在せず、定番っぽいのが揃ってる。こういうのもアリなんだなぁ、って思った。
 主人公が剣乃キャラっぽいところを見ると、なにか元祖的なものを感じて実に感慨深い。剣乃キャラの大元はこの辺の作品にあるのだろう、きっと。>凄腕だけど女癖が悪い。あと、おちゃらけた感じも。
 キャラクター数は、物語のボリュームに比べるとちょっと多い。存在意義が笑いしかないキャラもちらほら。まぁ、それはそれで愉快なんだけど。でも、1〜2度しか出番がないっていうのもな。
 意外にオモシロ可笑しかったのが、名前もない背景キャラ。所謂、一般ピープルの方々なんだけど、話し掛けて返って来るレスポンスがゲラゲラ笑える。後に『EVE』や『YU-NO』といった作品がこれの影響を受けているのだろうな。もっとも、この辺の要素がオリジナル版の『elle』にもあったかどうかは私にはわからないのだけど。
◎シナリオ

 9年前からの移植ってことで、どんなに古臭い話なのだろう? と思っていたんだけど、全然そんなことなかった。寧ろ、新しく感じるくらい。移植に際して、シナリオにも手を加えてあるからその影響かもしれないけどGoodなお話。勿論、不満がないわけじゃないけど。
 私が良いと思えたのは、このシナリオの構成が今のエロゲ界では見かけない形だから。ほら、今のエロゲーの構成って、様々なヒロインがいてヒロイン毎にエンディングがあるっていう形でしょ? 私はその方式に飽きちゃっているわけで。気に入ったヒロイン以外で攻略するのが、苦痛で苦痛で。でも、クリアしないことにはゲームが終わった感じがしないし。
 ま、懐古趣味だと云われればそれまでかも知れないけど、私はこの一本道なシナリオ構成が好き。
 作品内容は、『悦楽の学園』、『EVE』、『DESIRE』、『スナッチャー』、『黒の断章』、『神宮寺三郎』シリーズといったような調査物。ある謎があって、周りの人に話を訊いたり、証拠品を手に入れたり、場所を調べたり、といった捜査を繰り返しながら真実へと向かっていくという構成。私はこういうお話嗜好でね。だから、そういう系統の話が好きっていう人にはお勧めできる。調査をして段々と謎が解けていく過程なんかは、どんどん引きこまれるし。先も気になるし。
 が、エロに結びついてくる恋愛部分といった要素になると弱いかな。例によって、いつのまにか主人公に女達が惚れている。納得でけん。また、エロシーンの為に存在しているキャラもいる。それでいいのか? いや、それはそれで面白かったよ(笑)。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98/Me/2000Pro
CPU:Pentium233MHz以上(推奨MMX200MHz以上)
メモリ:32MB以上(推奨48MB以上)
解像度:640*480,ハイカラー以上
HDD:300MB以上(推奨600MB以上)
CD-ROM:8倍速以上
サウンド:PCM
 見ての通り、ちょっと高めのスペック。アリスに続いてエルフも底上げしたか。
 本編は、マウスクリック型のAVG。『YU-NO』や『同級生2』と同じね。っていうか、この方式が開発されたかなり初期、もしくは一番初めの作品が『elle』だったような気がする。
 私的には面白い方式だと思うけど、ヌルゲーマーやオナゲーマーにとってみれば、面倒なだけなんだろうな。
  例)乳をクリックして、局部をクリックして、唇をクリックして……ああ、面倒ッ!
 でも、回想シーンのエロシーンでは、テキスト垂れ流し仕様になってた。なんとも実用的な仕様だ。
 シナリオ回想機能とか、その辺のところは一通り揃ってはいるんだけど、キーボードとマウスを兼用しつつじゃないとフルに機能を活用できないのが×。あとフルスクリーン仕様なのも駄目。
 マウスだけではシナリオ回想機能が使えないし、キーボードだけではマウスカーソルを移動できない。
 あと、フラグ立ての悪さがテンポを悪くしているっていうのもある。まぁ、詰まるっていうことのものではないんだけど、総当りの悪い部分がでちゃってる。私的にはさほど気にならなかったけど、気にする人は気にするというレベル。
 良い所と云えば、作品の売りの一つである部分アニメ。決められた部分をクリックすると、笑えるアニメが展開する。このセンスは『BE-YOND』のエマージェンシー機能にも通じる。かなりの数があるし、一つひとつが凝っていてとても楽しめた。本編にはまったく関係のない遊び心なんだけど、そういうのが作品に厚みをだしているんだよね。無駄っていう人は、無駄っていうだろうけど。
◎音楽

 オリジナル版をアレンジした20数曲。アレンジバージョンを聴いていると、なんとなくオリジナルバージョンが見えてくるね。古き良きってそんな感じなんだろうな、きっと。
 移動時の曲なんか、ドライな世界観とマッチしていて良い感じだったし、緊迫したシーンでのスリリングな曲も良かった。でも、数曲しか覚えてないや。ホントに20数曲もあったのか?(あったって)
 音源はエルフいつものPCM。まぁ、これでいいんじゃないの、といった具合。
 総じては及第点かな。
◎ボイス

 フルボイス。いつものように上手い方が揃ってる。一般ピープルの方々も勿論喋る。
◎絵とエロ

el 通常シーン 目を大きくすれば良い、という現代のエロゲー事情に対する反駁心からか。
 というのは大袈裟だけど、需要っていう点から考えると支持者は少なそうな絵柄。私はそういう所が好きなんだけどね。
 1枚絵の枚数は少ない。『恋姫』レベルか、それ以下。尤も、それを補う為にアニメーションやらCGムービーやらが存在するわけだけど。そして、そういう演出に大手らしいパワーを感じる。
 エロにアニメがタッチしていないのが残念。だけど、挿入タイミングバッチリのムービーは演出効果として最上級。『ドラクエ7』のCGムービーよりもレベル高い。『FF9』よりかは下だけど。
◎エロ

el エロシーン なんと云っても、絶対数が少ない。『BE-YOND』では、複数のヒロインと複数回のエロシーンが用意されていたけど、『el』では指折りで数えられるくらいしかない。まあ、シナリオの性質上エロシーンを絡ませることは困難に思われるので、仕方ないとも云えるのだけど。っていうか、殆どのエロシーンが強引だし。……え〜と、強引っていうよりも、キャラ描写が希薄といった方がいいかな。理由づけが弱い。
 で、絶対数の少ないエロシーンなわけだけど、モザイクアリエロCG(エルフでは滅多にない)の相乗効果で結構エロくなってる。クリックが面倒かもしれないけど、前述の通り回想シーンになればテキスト垂れ流しだからOKよ。だから安心(笑)。
 でも、絶対数が少ない上に、シナリオに絡んでくるキャラとのエッチシーンとなるとさらに少なくなってくるから、殆ど感情移入できない。
◎総評

 良作か、及第作か。かなり迷った。それぞれに書いてある作品達と比べながらかなり考えた。その結果、及第作。
 7800円定価とは云え、8時間程で殆ど消化できてしまうボリュームは、良作にはちと届かないと判断。勿論、演出のレベルとかは高いんだけどサ。ボリュームの少なさを補うほどのCGムービーなんだけどサ。でも、前回プレイしたエルフ作品『BE-YOND』に比べると劣ってしまう。だから、及第作。
 どんな人にお勧めか、っていうのは前述した通り。剣乃作品好きな人はイケルと思うよ。勿論、それ程のパワーはないけど。
 さて、ストックを殆ど使い果たしたエルフ。各地で云われているように、次回は『ドラゴンナイト』系の移植になるのか? それとも、問題が解決され『YU-NO』の移植となるのか? はたまた全く別の作品の移植なのか? 『鬼作』は完成するのか?
 というわけで、次回発売のエルフ作品のレビューに続く。
2001年9月30日 記
2002年2月28日 修正

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