鬼作 エルフ/AVG/9800円/2001年3月30日発売)
◎はじめに

鬼作の文字が潰れちゃってるけど、パッケージ画像 リフレインブルー以来のエルフ新作である。最近のエルフといえば、旧作のリメイクで喰い繋いでいるという負のイメージしかなかったが、ここにきてやっと新作の発表となった。まあ、蛭田昌人が作ったというだけで食指が動いちゃうわけで。
 ちなみにエルフの次回作も新作っぽい。てっきり、またリメイクで繋ぐものだとばかり思っていたが。まあ、なんにせよこれが吉報なのは間違いないだろう。キャラクターデザインながせまゆは今までのエルフと比べて違和感あるけど(それでも、塗りはエルフ塗りなんだよな)。
 しかし、この鬼作という作品。発売前の情報がぜ〜んぜん無かった。シナリオやシステムは勿論、ジャンルすら発表されていない始末である(タイトルだけは何年も前から公になってたケド)。キャラクターとパッケージ裏のCGが一枚公開されたのみ。……このエルフの戦略には些か疑問を感じる。というか、強気すぎ。情報なんか公開しなくても、エルフのネームバリューだけで本数捌けるだろう、ってか。
 実際にプレイするまで楽しみに待っていてくれ、という製作側の気持ちはわかるのだけど、それでもジャンルすらわからなかったのは問題。いや、AVGってのはなんとなくわかっていたけどサ。それで購入する際には少々の不安があったのも事実なわけで。
◎ストーリー紹介

 主人公である伊頭鬼作がひたすら鬼畜道を謳歌してゆく話。
◎キャラクター

 やはり鬼作の存在感が強い。最初は遺作や臭作の焼き直しのようなキャラだと思っていたが、プレイしている内にそれが間違いだと気付く。決してプレイヤーに媚びないその硬派さ。己の鬼畜道に対する精神は称賛にすら価する……と思う。遺作や臭作といったキャラクターは、作中に良い所をまったく出さず、本当に嫌な奴といった感じになっていたが、この鬼作はちょっと違う。憎めない悪モノというか。鬼作の持っている鬼畜の美学があまりにも真っ直ぐ、曲がっていないが為に逆に誉めたくなってくるのである。ここまでつら抜けるものなのか、鬼畜の美学。間違いなく遺作、臭作以上のキャラ。
 続いて陵辱ターゲット用の女性キャラクターについて。臭作では6人(否!)だったけど、今回は2名増員されて合計8人が陵辱可能。素晴らしいボリューム。お腹一杯である。だてに9800円の定価をつけてはいない。勿論、学生と教師以外のキャラも攻略可能キャラとして登場する。
 そんなにテキストボリュームが多いというわけではないのだけど、各キャラクターのエピソードなどがしっかりと描かれており(ヅマはちょっと弱かったケド)、それぞれ魅力のあるキャラになっている。少ないテキスト量でそう見せさせるのだから大したモノだ。
 あと、女性キャラクターに関してもプレイヤーに媚びていない、という印象を受けた。今のエロゲー界の波をほとんど無視しているのである。変な口癖を持ったキャラとか、変に処女率が高いとか、変なロリキャラとか、変な行動をするキャラとか、変に精神年齢の低いキャラとか、人間じゃないキャラとか全くいない。素晴らしい限りである。上記のことをしないで、印象に残るキャラクターを作っているのだから尚更素晴らしい。ってか、センスあんなあ。
 で、今回は陵辱のターゲット以外のキャラ(野郎)も複数登場する。鬼作の上司に部下、会社の会長といった面々。これがまた作品のアクセントになっていて良い感じ。エロゲーにおける野郎キャラの重要性というか、必要性がよくわかる。勿論、彼らは必要以上に活躍してもいけないし、ほとんど登場しないというのでもいけない。この辺の塩梅が実に良いのである。
◎シナリオ

 鬼作鬼畜王伝説と云うに相応しい内容。でも、サラリーマン金太郎ならぬサラリーマン鬼作という云い方でも合ってるかも。
 基本的に鬼作の陵辱街道まっしぐらな物語。持っている才能をフルに使い、脅迫のネタを掴みターゲットを陵辱する。その繰り返し。
 で、その脅迫のネタ絡みで女性キャラクターの素性がわかったりもする。ただキャラクターの話を描くのではなく、脅迫ネタとセットになっている点が面白い。それによって話が飲み込み易くなっている。説明口調じゃないってこと。
 ライターは云わずと知れた元エルフ社長蛭田昌人氏。っていうか、この企画自体蛭田氏。
 かつて業界はTADA氏、剣乃氏、蛭田氏ら3名によって引っ張られ、その中でも蛭田氏は抜けていたわけなんだけど、やはりそれだけの実績を持つだけの方だなぁ、と思ったわけで。ここ数年、蛭田作品は出ておらず才能が枯れただのなんだの云われてたけど、正直そのパワーをまざまざと見せつけられたって感じ。枯れた? 衰えた? とんでもない。そんじょそこらのライターとは力量がまるで違う。テキストの長さ、云いまわし、韻、内容、どれをとっても文句がでない。それに、最小限のテキスト量で云いたいことを表現できてしまっている。無駄にテキストが長いということがないのだ。才能の成せる技だよなあ……。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98/2000/Me
CPU:Pentium200MHz以上(推奨PenII300MHz以上)
メモリ:64MB以上(推奨96MB以上)
解像度:640*480,ハイカラー以上(推奨800*600以上)
HDD:500MB以上
CD-ROM:8倍速以上
サウンド:PCM
 基本的には臭作の焼き直しなシステム。スケジュールを組む→脅迫ネタをゲット→(ある程度ネタが集まったら)脅しをかけて追い込み陵辱する→スケジュールを組む……、という流れは臭作そのまんま。なんだけど、こちらの方が遥かにパワーアップしている。行動範囲の広さとか、攻略のし易さとか、アイテムの導入によるゲーム性の向上とか。臭作に比べて、難易度が下がっているも〇。でも決して簡単すぎるというわけじゃない。蛭田氏もよく研究しているっていうか。ヌルゲーマーのエロゲーマーが耐えられるくらいの難易度。
 あと、プレイ時間の調整も良くできてる。1回目のプレイが5〜6時間程度で、2回目からは2〜3時間くらい。長すぎず、短すぎず。ま、ちっと短い感はあるが、その分ゲーム密度が濃い。短時間で値段分の満足感が得られるのは、実にエロゲー向きな構成といえる。
 勿論、不満点もある。メッセージの未読既読が判別できないのである。行き届いたシステムの割に抜けているところから、わざとこういう仕様にしたという気もするのだが、私が納得できないので文句云っとく。なんでじゃ〜。エロシーン回想機能も、文章読み返し機能もあるのに〜。
 それとなぜかミニゲーム。鬼作がテニスしたり、ビンゴゲームしたり、ボーリングしたりするのである。まったくの別勢力からの襲撃。まさか鬼作でミニゲームをプレイさせられるとはおもわなんだ。この意標をついた攻撃は見事ほいみんにクリティカルヒット。……よくわからん文章になってしまった。
 それとなぜかポリゴン。ターゲット女性の状態を表示するときの絵が、なぜかポリゴンで描かれているのである。なぜか、クルクル回転しながら。回転させる為にポリゴンで描いたのか? まぁ不気味ではあるが、プレイに影響を与えることもないので、単なる遊び心と流せてしまうンだけど。
◎音楽

 全11曲と少な目の曲数。特に印象に残るような曲はなく、おんぼろ武家屋敷を歩いているかのようなメインテーマが延々と鳴っていたという記憶しかない。ゲームに合っていることは確かなんだが、単として聴くと物足りない。
◎ボイス

 野郎も含めてフルボイス。鬼作以外はフルボイス。この辺はいつものエルフ仕様。上手い人しかいない。
 陵辱系ということで“痛い痛い”ばっか云ってて大変だっただろーなー、などと考えてみる。ご苦労様。
◎絵とエロ

鬼作通常シーン 臭作のときと同じような構成。特にコメントすべき点はない。が、強いて云ならば鬼作視点ではなく、プレイヤー視点になっているのが特徴。
 原画の名前は忘れてしもうた。臭作もこの人やたね。臭作と鬼作の顔がクリソツなのは蛭田指定なんだろうか。よくわからんけど、わざとなんだろうな。画力不足ってこたあないだろうし。
 この人の絵はあまり好みじゃないけど、下手ってわけじゃないから別にいいや。っていうか、プレイしている内に慣れた。絵ってのはそんなモンだと思う。人が魅力的だとは思わなくても上手ければ認めてくれる。
 それにいい仕事してる。エルフ塗りはいつものことだが、仕事量が半端じゃない。ゲームの密度が高いと思わせるのもその為。出し惜しみなくCGを使ってる。一つのシーンでも数枚CGを使うことがほとんど。誰も見たくねぇだろうけど、野郎の放尿シーンまである。とにかくCGがある。次々にCGがでてきてホントに圧倒される。この密度はそう簡単には真似できないねぇ……。
鬼作エロシーン エロシーン。陵辱系なのでそれなりに。非道なプレイもてんこもり。普段、純愛系しか買わない人がエルフのネームバリューで買うと痛い目にあうかも。
 相当、力入ってる。一人につき12シーン×8人。1シーンにつき数枚のCG&テキストも状況によって微妙に変化。途方もないくらいの仕事量。数々のエロゲ会社見習って。お願いだから。
 そして、これは陵辱ゲーム。鬼作は極悪非道の悪魔、鬼畜、外道。陵辱に関して一切の妥協がない。精神崩壊までターゲットを追い込む。フィクションとはいえ、これはちょっと……という方は結構いるんだろうな。かなり非道いよ鬼作は。ここまでやって何が楽しいンだろうか? という気分にもなってくる。が、それもまた面白い。
 実際にやってることは、正常位、騎乗位、後背位、フェラ、剃毛とそんなに濃いプレイはないのだけど、鬼作の毒づきが凄いというか。よくここまで非道になれるな。
 女性キャラとかに情が移っちゃったりするともう駄目。プレイしてらんない。それくらいやってる。
◎総評

 金とマンパワーさえかけてあれば、大抵のことがあっても高評価。それが私のパーソナリティーというわけで。
 充分満足。そりゃあ、もっとストーリー性の濃い作品を期待していたことは確かだけど、こういうのもアリかなって。なんだかんだいっても、この物量は誉めることしかできない。
 それにテキスト面白いし。一般人と鬼作の掛け合いとか、実に楽しく読ませてくれた。
 これクラスの作品を一年に一本くらい出せれば、再びエルフも王座につけるのに。……無理か。
 YU-NO、同級生2、下級生クラスの作品ではないが、臭作、遺作、恋姫辺りは超えてる。例えが分かりづらくてごめんよ……。
2001年6月10日 記
2002年1月12日 修正

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