Love Letter美遊/AVG/8800円/2002年2月01日発売)
◎はじめに

パッケージ画像 購入動機はパッケージ買い。綾風柳晶氏の絵柄に惹かれ、ふらふら〜っとレジへ。パッケージ買いって地雷率80%オーバーなのだけど、どうしても止められないんだよね。内容はアレでもパッケージだけは力を入れてる所って結構あると思う。明言は避けるけど。
 で、やってみたのだけど、久々にパッケージ買いで当たりましたわ。これだからパッケージ買いは止められない。表現の自由という意味での18禁を久々に思い出したというか、兎に角そんな感じの作品。今ではあまり作られなくなった部類のエロゲでもあるね。“猟奇サスペンス”なんて銘打っちゃってるし。まあ、方向性としては『螺旋回廊』のようであり『黒の断章』のようでもある。
 それとシーズウェアの作風にも似ているかな。『DESIRE』とか『VIST』とか『かぜおと、ちりん』とか。落ち着いた世界観というか、全体的な雰囲気がそれを感じさせるんだよね。別にバグがてんこ盛りっていうわけじゃないよ(笑)。
◎ストーリー紹介

 主人公(卓哉)を中心に、血の惨劇が繰り返される。
 卓哉に近づく女の皮膚が切り取られ……無惨な残虐シーンが、ビデオに撮られ送られる。だが、そんな猟奇的行為も……事件に潜む狂気と欲望の、一端でしかなかった……。
 やがて事態は、卓哉の隠された過去へもシンクロし……意外な方向へ走り出す。
 果たして卓哉の未来には、どんな結末が待っているのか……。
◎キャラクター

 特質すべき点は特になし。ステレオタイプなキャラクターが揃っているかなという印象。主人公が大学の助教授で教え子がヒロインで、その友達がメガネで……とかいう構造は『螺旋回廊』に被ってるね。女同僚が出てくる点も。
 メインのキャラクター達は良く描けているのだけど、それ以外になると弱いかなと思う。所謂捨てキャラに近くなってしまっている。存在意義が不明なキャラとかいて、まあ物語のバランスを考えるとちょっと登場人物が多すぎたかなと思うわけで。その所為で消化不良な面も多々ある。この辺は惜しい所。
 そうそう、主人公が天才肌という設定な割には冴えなかった。単純な事にも気付かず、敵に翻弄されっぱなしなのは見ていてストレスが溜まった。尤も人間窮地に立てばそんなものなのかもしれないけど。プレイヤーはあくまで傍観者でポテトチップスを食べながら落ち着いた環境で作品をプレイしているけど、主人公の心理状態はそれとは逆行しているからねえ。
 ってか、主人公よりもヒロイン瑞穂の方が天才なんだもの。本来なら主人公が行うべき部分を瑞穂が殆どとっちゃっているのは、失敗だったのではないだろうかと。お陰で主人公の立場なし。
◎シナリオ

 表のテーマは狂気。が、裏のテーマはまた別にあるわけで。最初は陵辱系のお話だと思っていたのだけど全然違ったね。陵辱部分殆どないのだもの。ある意味興醒め。期待を裏切られた感はある。パッケージとか見るとエロエロの陵辱物を連想させるってマジで。それだけにねえ。けど、全体のお話としては面白い。キャラクターの項で触れたように、人物描写が稚拙な部分はあるが、それを構成しているシナリオは大したもの。伏線の未消化部分等、荒削りな面も多々あるが、吸引力はかなりある。どんな恐怖が待っているのだろうか、とドキドキするんだよね。
 私自身かなり恐怖を感じたし、「うぎゃー」と叫びたくなる部分があった事も確か。サイコホラー系のお話。表現の自由という意味での18禁やね。通常のメディアではお目にかかれない恐怖がこの作品にはある。今時珍しいよホントに。
 が、面白いのだけど、やや古くさい。彷彿とさせた作品が『黒の断章』や『DESIRE』なんだもの。ヒロイン毎にエンディングがあるというスタイルじゃないし。この辺はマイナス部分。選択肢は多いのだけど、シナリオ分岐は無きに等しい。一本道のシナリオだとどうしてもボリューム不足を感じてしまうんだよなあ。無意味に選択肢が多い感もあるし。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98/2000/Me
CPU:Pentium200MHz以上(推奨266MHz以上)
メモリ:48MB以上(推奨64MB以上)
解像度:640*480,ハイカラー以上
HDD:30MB以上(推奨200MB以上)
CD-ROM:4倍速以上(推奨12倍速以上)
サウンド:MIDI,PCM
 マニュアルではHDD推奨200MB以上となっていたが、実際には完全インストールで350MB程食われる。快適にプレイする為には350MB以上必要だろう。
 大まかな問題点としては、既読、未読のメッセージ判別をしてくれない事に加えてシナリオ回想機能もない事が挙げられる。どう考えても及第点に達していないよなあ。シナリオが一本道なので、既読未読の判別はそれ程必要視されない機能なのだけど、それでもないと不便。またスキップも自動スキップはなく、Ctrlキーを押し続けなければならない仕様。
 作品は文章を読み進めていくタイプのAVGで選択肢によって分岐する。選択肢が多いが、その数程分岐しないのは上記の通り。
 それ以外には『YU-NO』でいうロジックパズルのようなギミックが用意されており、スタッフが出そうとしたゲーム性というものをここに感じた。面白いんじゃないかなあ、こういう試みも。尤も、ギミックとシナリオの繋がりには違和感を感じたけど。テンポを壊すまでには至っていないのだけど、やっぱり変だとは思うな。
◎音楽

 MIDIとPCMによる25曲。バロック調の音楽が耳に残る。全体的にシックで落ち着いた感じの曲調に統一されており、この辺も昔っぽさを感じさせる理由の一つ。BGMに徹しているという意味では良いかなと思う。ただ25も曲数を感じさせなかった所を見ると、BGMに徹しすぎという感も。それと曲の切り替え方がちょっと変。必要ない部分でも曲を変えたりとかしているし。
◎ボイス

 迫真の演技。特に凄いのが悲鳴。「うぎゃあああああああ」とか叫んでくれるのだけど、あまりにも壮絶故に笑ってしまった程。人が死を連想させた時に心から発せられる悲鳴に近いと思う。尤も私はそんな悲鳴感じた事ないから、想像でしか云えないのだけど。笑ってしまったのは私がポップコーンを食べながら画面を眺めていた傍観者に過ぎなかったから。
 どの方も上手い。下手な女性キャラよりも重要な位置にいた野郎が音声無しだったのは残念だけど、満足のいくレベルだと思う。
◎絵とエロ

通常シーン 原画は綾風柳昌氏。ここまで癖のない絵柄の方も珍しいと思う。なんというか、熟練しているなという印象。様々な構図に対しても柔軟に対応しているし、なにより女の子が可愛い。
 塗りも丁寧でCGのレベルは非常に高い。キャラが血肉にまみれている壮絶なCGもそのレベルの高さ故に極まっている感じ。
 ただシナリオとCGのバランスが変。妙な所で一枚絵を使っている箇所がある。原画指定が先で後にシナリオを上付けしたのでは? と疑問に思う程に。とってつけたような部分なのに一枚絵が表示される事もしばしば。
 まあ、CGだけ見れば完璧な仕事をしていると思う。私好みというのもあるけど。あ、汁が全然無かったのは残念かな。血という汁ならあったけど……。
エロシーン でもって、エロシーン。これがエロくないんだわ。CGは良い仕事をしているのだけど、肝心のテキストが駄目。陵辱CGは結構あるのにテキストが追いついていないのだもの。結構、期待していた部分なだけに残念。
 陵辱以外のエロシーンはエロいかと云われてみればそれ程でもないし。萌えキャラが犯されるのとか、寝取られとか期待していただけに無念。各キャラに何シーンも用意されているのかと思ったらそうじゃないし。挙げ句の果てにはエロシーンないキャラまでいるし。このザマは何なのよ。
 それと主人公の科白部分が非常に萎える。「くッ……ぅぅ………おおお!!」とか云われてもな。エロで笑いをとってどうするよ。
◎総評

 良作。ただ物足りない部分がある事も確か。シナリオ面においては消化不良な面が多々あったし、エロシーンも充実していなかった。ただ“猟奇サスペンス”な部分が私を惹き付けたわけで。思わず目を瞑ってしまいそうになる残虐シーン、壮絶な悲鳴、またその場の雰囲気、効果音。どれも良い感じ。どんなシーンがあるのだろう? とか興味を持った方はプレイしてみると良し。期待以上の物は見せてくれる筈。
 また単なるサイコホラーでは終わらず、キチンと精算されているのも見事な点かと。やや纏め方に無理がある所為で人物描写におざなりな点があるのは残念だったけど。まあ、良い終わり方だったと思う。
 そんなわけで、なかなかパワーのある一作。
2002年2月06日 記

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