MOON.RENEWAL




メーカー タクティクス(WIN)
ジャンル  AVG
値段 6800円

   


(C) Tactics



 心に響くAVGとして、「ONE」が大ヒットし信者を多く獲得したタクティクスだが、それよりも以前に、この作品をだしていた。しかし、この作品はそれほど、うまくいかなかった? らしく、その後にRENEWAL版として、再発売したらしい。どう、リニューアルしたのかは知らんけどね。まあ、ONEでタクティクスを知った方に、MOONもプレイしてもらいたい、という事だろう。かくゆう私もそのうちの一人だが……。

 少し、余談だが、MOONのレビューは、なにか原点なものを感じるな。実はこうやって、レビューを書き始めた最初のゲームは「ONE」だったりする。かみ締めていこう(笑)

 簡単にゲーム内容の説明。
 無邪気な日々の終わり……。
 主人公、郁未(いくみ)の元に6年ぶりに帰ってきた母。だが安らかな日々は長くは続かない。怪死を遂げる母。
 悲しみをふっきるために、郁未は母がいた宗団FARGOの隔離施設へと潜入する。その途中で出会った仲間、由依(ゆい)と晴香(はるか)にも、それぞれの目的があった。
 だが、FARGOは心の奥底の痛みと邂逅(かいこう)を果たす場所であった。郁未は、晴香、由依とともに、施設での過酷な生活の中、真実を追い求め始める。
 真実とは、何か? それを知った時、胸に抱いているものは、始まりか、それとも終わりか。
 ONEの原点ともいえる、心に響くAVG。

 とても細かく創られているキャラクター。
 これほど、細かく創られたキャラクター達を見たのは、EVE以来だと思う。それぞれの、キャラクターがもっている含み、謎、想い、どのキャラに関しても、ホントに細かく、そしてよく創られている。
 これは、各キャラクターに関してのテキスト量がかなり多い、という事からも言える。主要キャラクターの人数が少なく、それぞれのキャラクターに関して細かく描かれているというパターンは、私ももっとも好きなパターンである。いたずらにキャラを増やしても大味になるだけで、失敗する事が多い中、これは良い事である。
 ただ、物語の性質上、不幸なキャラ(一概にそうとはいえないが)しかでてこないので、明るい話しかうけつけない方は、プレイしない方が懸命だろう。逆に不幸フェチ? にはうってつけだ。
 主人公。やはり、一番濃く描かれている存在であり、また、面白い。まれに、彼女以外の視点から、話が進む事もあるが、大抵は彼女の視点である。まあ、その辺は当然だけどね。それと、彼女についてのいろいろな陰の部分があり、それについての心理描写というか、暴露というかの描き方がうまいね。それは、MOONの人気投票とかあっても、主人公なのに1位にはなれないかも? という、まあ、そんな感じのこと。
 あとは、成長している、という事。シナリオが進むにつれて、心の成長というものが、事細かに描かれている。これは、物語のテーマみたいなものがそうであるから、描いていて当然なのだが、心の成長。これがいいね。これも、キャラクターが良く描かれている、という事についての因子の一つだ。
 キャラクターに関しては、100点を上げても良いと思う。ただ、ONEのキャラクターとかぶってるキャラが若干1名いるのだが、それはそれで面白いので、良いだろう。
 
 これまた、濃いシナリオ。
 濃いね、非常に。AVGってのは、こうでなくてはイカン、というお手本みたいな感じ、というのはさすがに褒めすぎか(笑)。
 どうも、最近はAVGをやっていても、ありきたりのつまらないイベントの繰り返しという事が多い。しかし、この作品はいいね。どのイベントも新鮮さがあった。見た事のない感じ、という意味でね。
 人の深層を描く、という作品は結構あるが(ゼノギアス、雫、EVE、DESIREなど)、この作品はそれらとは、根本的に違う。陰の陰を描いている(陽っていう意味ではないぞよ)。それは「深い」という意味と「ダーク」という意味がある。深い、というのは、このゲームをプレイしちまうと、他の似たようなゲームが浅く感じちまう、という意味。それほど、濃く描かれているよ、マジで。んでもってダーク、というのは、そのまんまの意味ね。18禁ならではの事をやっておるのですな。それは、Hという意味もあるが、それ以外の「表現の自由さ」というのも生かしていて、なんとも私好みだ(^o^)。こういうのをやりたくて、私は18禁ゲーをやってるんだな、と思うよ。
 それと、こういう表現の描き方がうまいね。ライターの才能を感じるですよ。アイデアも凄いし、というか、良くこんなにパターンがでてくるなあ、という感じですな。
 ただ本編に「遊び」、の部分がほとんどなかったのは、ちと残念かも。まあ、シナリオの性質上「遊び」部分を入れるのは難しいからね(EVEは、入れまくってたけど)。でも、ライターの方は、そういう笑いというか、遊びの部分を入れたがっていたらしいけどね。個人的にも入れてほしかったなあ。生き抜きという意味でも。まあ、少しだけ笑える部分もあったからいいか。
 そのかわり? というわけでもないがクリア後の「おまけ」、でそれがあったので、特には問題ないんだけどね。
 ちなみに「遊び」、というのは少しニヤリとしたり、笑えたり、とかそういう部分のことね。EVEをプレイされた方ならわかるでしょ。
 あとは、謎が多いストーリーという事。これは、プレイヤーを引き込むという意味で、結構、重要な事だと思う。先が気になってしょうがないという事ね。それに関しての中毒性はまあまあ、というところかな。結構、続きが気になる話だったし。そういや、ONEも謎が多い話だったな。
 終盤、やや説明不足の感はあったが、その辺がONEを彷彿とさせる。
 あとは、使用された技法ね。そのおかげで、後半はかなり中毒性があるので注意。エンディングまで止まらないと思う。技法、というのはEVAを彷彿とさせる、と言えばよいだろうか。まあ、あれの最後であったような感じが今作でもある。もちろん、内容はまったく違うものであるが……。
 あとは、心に響いた、という事。心の響くAVGとしては、十分合格点を差し上げられる。例によって少しブルーになるが……(ONE、DESIRE、EVE)。
 私は、涙腺がきついので、物語で涙を流すということはないが、私以外の方だったら結構な方が涙するだろう。そんなシナリオだった。

 グラフィックも結構好き。
 原画についていえば、少々くせがあるが、私は結構好きだ。ときたま、表情の書き方が変なところがあるが、その辺はまあいいだろう。CGの枚数も結構あり、それぞれのクオリティもそこそこ高い。
 背景の書き込みも、良く出来ておりいいのではないだろうか。

 システム。
 というか、形、というかは、ONEそのまんまである。構成も似ており、そのままのシステムをONEでも使用したのだろう。しかし、AVGとしては、かなりついていてほしいシナリオ回想の機能がないのは、少しきつかった。セーブデータ個所が30個あったが、これはとかく多すぎるとは、感じなかった。物語の性質上、細かくセーブした方が、あとあと泣きをみずにすむからである。プレイされる方は、30個のセーブデータをフルに活用される事をお勧めしよう。
 あと、HDDをあんまり喰わないところがうれしいね。50MBほどあれば、インストールできる。そのかわりに、グラフィック枚数が少ないということもないので、安心してほしい。
 それと、ただ選択肢を選ぶだけではなく、施設内を方向キーで移動する、というのはゲーム性がでていて良かったと思う。選択肢を選ぶだけだと、どうしてもゲームという感じがしないからね。
 あとは、ごく標準。メッセージスキップやら、音楽モードやら、CG鑑賞モードなども普通に付いている。

 Hシーン。
 テキスト的に見ると、まあ、良く書けているというところであろう。しかし、ONEよりは、全然良く書けているので、安心して欲しい。ボリューム的にも、とってつけただけ、ではなくかなりの数があるのでそれなりに満足できるだろう。CG枚数も多い。
 Hシーン挿入のタイミングもうまく、不自然さをあまり感じさせなかった。ストーリーの随所にある、という形なので、お母さんには見つからないようにしよう(笑)。
 ただ、愛があまりない(笑)ので、愛がないと駄目、という方は駄目かもしれないな。でも、ただ陵辱シーンが続く、とかいうのではないので、安心してね。

 折戸氏がほとんどを担当された音楽。
 全16曲と、結構少な目だが、どれも良い出来である。そのうちのほとんどが折戸伸治氏の作曲である。ちなみに、折戸氏とは、元リーフにいた方で雫などの音楽を担当された方だ。
 どの曲も雰囲気にマッチしており、また音楽自体も生きている。
 音源はCD−DA、ナイスなサウンドを聞かせてくれた。ピアノ曲なんかは、涙腺をそそられる出来だ。感動シーンで流れた日にゃあ、涙することうけあい。
 私的に気に入ったのは、エンディングの曲。輝く季節へを彷彿とさせるほど良いできだ。この曲もまた、涙腺をゆるめてくれる。
 ONEと比べると、曲の評価は下がるが、他のゲームと比べたら間違いなく上位に入るものといえよう。



 通常の会話シーン。見ての通りONEとまるっきり一緒である。キャラの表情が変化したりと、まあ、普通のAVGと一緒であるといえる。クオリティもそこそこ高い。



 テキストの出来が少し淡白だったのは、ONEと一緒である。しかし、ONEよりは、遥かにうまく書けている。CG枚数も結構ある。

 総評。
 ある意味では、ONEよりも上をいってたと思う。そして、ONEをプレイしていて、MOONが気になっているという方は、是非プレイしてほしい。絶対に損はしない。そして、最近AVGに飽き飽きしてるのよねえ、というあなたにも是非プレイしてほしい。今、巷に溢れているAVGにはないものがこの作品にはある。HDDも喰わないしね。そして、感動物を求めているあなたにもお勧めしたい。絶対に感動できる。
 問題としては、何処に売っているの? という事だな。秋葉原とかなら、すぐにでも買えるだろうけど、郊外じゃまず買えないだろう……。かくゆう私も県外で買ったし……。でも損はしなかった。
 最近、AVGにマンネリを感じていた私としては、カンフル剤を注入された、といえるだろう。というか、こういう作品がしたくて、私は18禁ゲーしてるのに、こういう作品が全然でていないというのが腹立つな(知らないだけか?)。この作品も結構前にでてる作品だし。
 最近の18禁市場は、ソフトですぎで駄目だね。プレステ並みにでてるから。私がコンシューマーから一歩引いた理由として、ソフトですぎ、というのがあるが、この業界もねえ……。まあ、ここしばらくは、昔の未プレイ作品をプレイし続けて、という感じですわい。
 と、話がずれてしまったので、元に戻そう。上記にある、ONEよりも上、というのは、キャラの描写、という意味での意味合いが多い(日本語変)。確かにONEでもキャラクター描写は良くできていたが、この作品の方が上だ。まあ、どのキャラも別の意味で現実離れしていて、現実味が薄いがこれはゲームなのだから、多少はそうでないと面白くない。
 新作でこういうゲームがでてくれれば、この業界ももっと活気づくのに……。どの新作も、作品の方向性が私の思っているものと違うからなあ……。
 このゲームを創ったメンバーもいまや分裂しちまったし……。もう一度、このメンバーで作品を創ってもらいたい、と思は私だけではあるまい。



平成11年2月5日 記