螺旋回廊2 ruf/AVG/8800円/2001年12月14日発売)
◎はじめに

螺旋回廊2のパッケージ 怖さというのは人を惹きつける何かがあるようで、前作の『螺旋回廊』も皆そんな恐怖を体験したいが為に広まっていったのだと思う。実際には怖さ以外にも様々な面白い要素が組み合わさっていたのだけど。SFCの『弟切草』や『かまいたちの夜』とかも似たような感じで広まっていったっけなあ。『螺旋回廊』とはベクトルがまるで違うけど。
 そんなわけで『螺旋回廊2』。販売はrufだけど、制作はage。『君が望む永遠』後のage&『螺旋回廊』の続編、その2つのネームバリューだけで売れる事が確定していた作品だと思われ。かく云う私も『螺旋回廊』に恐怖し、『君が望む永遠』に涙した1人(実際に泣いたわけじゃないよ)。ほぼ即断に近い形で購入に踏み切ったのであった。
 発売後は各地で悲鳴が上がり、それは決して地雷だったという意味ではなく、『螺旋回廊』にも劣らない痛さ&怖さがあったという理由からで。『君が望む永遠』の時もかなり反響あったけど、『螺旋回廊2』のそれとはまるで別物なんだよねえ。
◎ストーリー紹介

●岡本弘樹編
親元を離れ、妹の悠里とふたり暮らしの弘樹。
夏休みの講習が終わり、悠里は友達と1週間の旅行に出かける。
その間、彼の元には奇妙なビデオテープが送られてきていた。
それはアダルトビデオ。
誰が届けたのかもわからないそのビデオに興奮を覚える弘樹だったが……。

●鈴見瞳子編
従弟の澤村駿平と同棲中の瞳子。
ある日インターネットオークションで流行の携帯電話を手に入れた。
それがきっかけで、入札者である篠原との交流が生まれ、誘いに乗って飲みに行くのだが……。

●河合圭一編
暴漢に絡まれていた見ず知らずの女性を助け、右腕に大怪我をした圭一。
その怪我がもとで職を変え、専門学校の講師をしている。
ある日、とある学生の姉に出くわしたのだが、彼女こそ彼が助けた女性、氷上有紗だった。
その再会をきっかけに、急速に距離の縮まるふたり。
この幸せはずっと続くと信じていたのだが……。
◎キャラクター

 前作に比べて寝取られるキャラクターの萌え度が上がっているのがGood。妹の悠里だとか、恋人の有紗だとか、『螺旋回廊』よりもハァハァできる。まあ瞳子はアレだったけど。この辺は個人差あるだろうが、総じての萌え度は『螺旋回廊2』>『螺旋回廊』と云って良いのではないだろうか。
 野郎キャラでは圭一が光っていたかなあ。あと弟の洋二も良い感じ。出番少ないけどね洋二。弘樹も真っ直ぐな感じが好印象。濃いメンバーの中で、唯一普通の思考能力の持ち主で廻りとのバランスをとれていたし。
 しかし、この項で書くべきは敵であるEDENの連中の小物っぷりである。前作で登場したEDENと今回のそれとは別物。同一メンバーもいるのだけど、主犯格に位置している人物が別人なので全く違った印象を受ける。
 なんというか、前作のEDENには美学みたいなものがあったんだよね。主犯格はWebmasterと呼ばれる奸智に優れた謎の人物。ルールに従いゲーム(拉致、陵辱)を実行する。勿論、それは犯罪行為なのだけど何か格好良さみたいなものを感じていた事も確か。素晴らしく絶対的だったわけで。
 それに対して今回の主犯格は人身売買で金儲けを企む矮小な馬鹿。美学も何もなく単なる犯罪者集団であり、ネガティブなイメージしか持てない。統率する人物の違いでこうまで変わってしまうんだねえEDEN。
◎シナリオ

 今回のテーマは恐怖かなあ。裏のテーマはソフ倫への挑戦だけど。前作は狂気とか快楽とかそんなんがテーマだった感じがする。事件発生までのシナリオが長めなので、その分キャラクターへの感情移入度もアップしているから、必然的に恐怖感も増す。奪われそうになる恐怖、奪われる恐怖、待つ恐怖、襲われる恐怖、どれも良い感じ。『螺旋回廊2』の面白さというのは、みんなこの辺にあるね。圭一と有紗の恋物語とか他の魅力もあるのだけど、やっぱり本作の醍醐味はEDENに対してのドキドキ感。
 テキストも前作に比べて上手くなってる。が、収束力という点で前作に劣ってるんだよね。謎とかはっきりしない部分があるし。でも、わざと臭いんだよなー。『螺旋回廊』は『螺旋回廊』で完結していたのだけど、今回は『螺旋回廊3』の姿が見え隠れしちゃってるのだよ。続く、みたいな。それがどうにも気になる。
 あ、復讐シナリオで爽快感に欠けたのはかなりマイナス。前作に比べてむかつき度200%のEDENに対して復讐できるのは良いのだけど、どうにも消化不良な感じなのよ。スカッとしない。もう少し上手くやって欲しかったなあ……。
 それと主人公を3人……実質は2人だったけど、作ったのは必ずしも正解だったとは云えないと思う。な〜んか、ボリューム不足を感じるんだよね。それぞれの主人公に話が分散されちゃっているから、余計に話が少なく思える。バラバラな所にいた人物達がEDENというキーワードを元に繋がっていくのは面白いんだけど。
 文句はそれなりにあるけど、シナリオそのものの評価は良かったりする。今回はエンターテイメント性に優れているという感じなのよね。細かい所にも楽しませる為の要素が含まれている。前作はその辺が薄かったように私的には感じていたので、この点が良くなったのは大いに評価できる。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98/2000/Me
CPU:Pentium266MHz以上(推奨466MHz以上)
メモリ:64MB以上(推奨96MB以上)
解像度:800*600,ハイカラー以上(推奨トゥルー以上)
HDD:400MB以上(推奨450MB以上)
CD-ROM:8倍速以上
サウンド:PCM,CD-DA
 ageと云えばrUGP。というわけで、基本的な機能は一通り揃っている。勿論、『君が望む永遠』であった派手な演出も顕在。ショッキングなシーンではバーンという効果音と共に右からフェードイン、左からフェードイン、画面揺れ、と演出してくれる。でも、ちと過剰すぎて笑ってしまった。
 システム的に面白いのはやはり作中でインターネットする場面だろうか。前作でもあったけど、今回はそれをさらに洗練した感じ。実際のブラウザを模したような作りになっており、結構楽しめる。またスタート時のキャラ選択画面が、それぞれのキャラの顔が描かれたバナーをクリックするというスタイルになっているのも良い演出。
◎音楽

 前作はMIDIだったけど、今回はPCMかCD-DAかを選択できる。まあこれも『君が望む永遠』からの流れやね。
 OPは今回も『赤鼻のトナカイ』か……と思いきや、KOTOKOさんのヴォーカル曲。I'veサウンドやね。聴き応えもあったし良い感じ。それにしても働きすぎだよKOTOKOさん。でも、個人的には『赤鼻のトナカイ〜螺旋回廊2ver.』を期待したんだけどな〜。これを慣例にして欲しかったという気もする。
 全体的な音楽の印象としては、可もなく不可もなくという感じかなあ。BGMに徹するという作りなので、評価しにくいというのもあるのだけどね。実際には30曲以上収録されているのだけど、プレイ中にはそれと感じさせないのよ。チェックして、あれ? という感じ。
◎ボイス

 男性以外はフルボイス。男性役の重要性という観点からすれば、野郎にも音声があった方が良かったと思われる。篠原とか音声無しなのは、全体的なバランスを考えるとやはり違和感があるね。ラストの方なんかは特に。洋二も音声があれば、もっと立ったキャラになったと思うし。
 それ以外では文句なし。前作に引き続き、良い声優さん達を引き連れてきたなあという印象。中でも日向祐羅さんのサイコな感じが際立ってた。うぐ。怖ひよお。
◎絵とエロ

螺旋回廊2より通常シーン 原画は前作に引き続き南風麗魔氏。私的にはやや諄い感じがするんだよなあ、この方の原画。垂れ目キャラ、眼鏡キャラとかは特にそんな感じがする。だから垂れ目眼鏡になるととんでもない事になる。際立っているキャラは際立っているのだけどね。
 塗りは丁寧。全体的に統一された感じの塗り方になっているし、枚数もそれなりにある。まあ、多くは感じなかったのだけど。
 ただ使い方がいまいちかなあ。無駄な所で多く使っているという気もする。一枚絵の殆どがエロCGというのは良い事なのだけど。
 サイコサスペンスという事でとんでもないCGもあるけど、キチンと仕事をこなしているのはさすが。前作でも凄かったけど、今回はそれを超えている。螺旋回廊2よりエロシーン
 でもってエロ。陵辱系という事を考えると足りなかった気もする。少なくともエロエロな作品という感じはしないね。あまりにもアレ過ぎて萎えるというのもあるのだけど。
 んー、数えてみると決して少なくはないのだけど、1つ1つのシーンにエロ的な濃さが足りない。サイコな濃さは充分なのだけど。まあ満足できたか、と問われれば「できなかった」と答えざるを得ない。汁も少なかったし。
 シチュ的にもおいしい部分沢山あった筈なんだけど、どうにもそれを生かしきれていないんだよね。寝取られとか、孕ませとか、どうにもドキドキ感に欠ける。もうちょい丁寧に描いて欲しかったなあ、というのが本音。
◎総評

 シナリオの項で挙げたように、エンターテイメント的な要素で云えば充分なのだけど、メッセージ的なものが『螺旋回廊』に比べると劣っているんだよね。その分、終わった後の余韻が薄れてしまっている感じ。最初にプレイした後は良い感じなのだけど、2回3回と重ねるにつれて脆さが露呈してくるというか。
 正直な話、シナリオの完成度で云えば『螺旋回廊』の方が上だと思う。ただシナリオそのものは『螺旋回廊』に劣っていても、細かいイベントだとか、テキスト描写だとか、そういう点が優っているので総じての評価となると『螺旋回廊2』の方が上かなあと。わかりやすいし。
 しかし、気に食わないのが「『螺旋回廊3』を楽しみにしてます」でこのレビューを締めなければならない事だ……。
2002年2月10日 記

home