戦国ランスアリスソフト/SLG/8925円/2006年12月16日発売)
◎はじめに

 この形式のレビューをエロゲで書くのは5年ぶりということで、何が何やらわけわかめなわけで、何を書いたらいいのかは勿論、どんな文体だったのかすら忘れてしまいました。でも、5年前にレビューを書いた時も「書き方忘れた」とか言っていた気がするので、次書くときも恐らく忘れているのでしょう。
 はい、そういうわけで、今回は『戦国ランス』のレビューであります。いや、レビューと言うよりは感想です。いや、すいません。ぶっちゃけ、レビューと感想の違いがよくわかりません。当時は「うちはレビューではなく感想」と言っているサイトが結構あって、当サイトもそれに追随する形で「レビュー」から「感想」と表現を切り替えた記憶があります。なんていうんだろう、「感想」の方が「レビュー」よりもカジュアルな表現? そんな感じだったように思います。どうでもいいですか? どうでもいいですね? はいはいはい。
 さて。大人気のランスシリーズの最新作ということで、シリーズも19年目に突入ですよ。オイラがレビューを書き始めてから10周年でありますから、その倍の歴史があるシリーズ。この数字がいかにとてつもないか理解できている人ってどのくらいいるのだろう? この業界、エルフ、リーフ、key、アージュ、タイプムーン、時代は動いていったけども、アリスソフトは常に上位を走り続けてきたわけで、その凄さは歴史をリアルタイムで見続けてきた人しかわからない。かく言うオイラも10年くらいしか見ていないわけで、本当の意味での凄さはわからないのだけど、今実感していることの2倍凄いと考えればいいんじゃないかなーとか思ったり。うん、よくわからんな。
 いや、だってね。エルフにしろ、リーフにせよ、keyにせよ、アージュにせよ、栄光の時代を築いた実績はあれど、その天下ってのは長続きしなかったわけですよ。確かに営業利益的にはわからないですよ? が、コンスタントにゲームを出し続ける凄さ。アリスソフトだけを見ていたらわからないけども、他を見て初めてわかる。バケモノとしか言いようがない体力。今の時代、ゲーム会社というのはゲームを出しているだけでは儲からず、それに付随するビジネスで収益を上げていかなければならないのだけど、アリスソフトは未だゲームを主体に出来ているわけで、それは感嘆以外の何者でもないのです。 
◎ストーリー紹介

 ゼスでの騒動が収束した後、ランスとシィルはJAPANに温泉旅行にきていた。JAPANは群雄割拠の戦国時代であったが、二人はバカンスを満喫していた。そんな中、ひょんなことから尾張の大名織田信長と知り合い、自国の影番として国を動かしてみないかと誘われる。影番で大名となれば、ウハウハなこともし放題と想像したランスはこれを了承する。かくして、ランスの国盗り物語が始まった――。
◎キャラクター

 凄まじい数の登場キャラクター。いや、地域制圧型シミュレーションゲームなので、それなりのキャラクターがいないと話にならないというのはわかるのだけど、この圧倒的な物量には閉口させられるばかり。普通、数出せばいいってもんじゃないだろうとなりがちだけど、この物量になるとそういう批判を一切封じるエネルギーになる。あんまり多すぎて勿体ないと思うくらい。だって、勢力数で言えば『鬼畜王』や『大悪司』の2倍以上ですよ? 勿論、適当に名前つけてキャラクターの色をぱぱっと変えた判子キャラなら数多くても驚かないのだけど、戦国はユニークユニットが多いわけで。これは『大悪司』の時も『大番長』の時も感じなかったことですよ。すごい。
 ただ、それに付随するイベント量は少ない感じ。ゴニンジャイにせよ、タヌー軍団にせよ、出落ちというか、キャラの使い捨て感が多くあり、非常に勿体なくは思った。この辺りはユーザーの想像に任せるというか、そういう投げっぷりもアリスらしいと言えばそれまでか。
 いずれにせよ、新規キャラクターが殆どなのにも関わらず、この量は異常ですよ。中にはデザインだけで台詞の一切ないキャラとかいるし。何が織音氏を突き動かしたのか。勢い感じますわ〜。
◎シナリオ

 シナリオはとてもあっさりした感じ。わかりやすくシンプル。シンプルではあるが、印象には残り、ゲームデザインなどと鑑みるとこれはこれでバランスが取れている。丁度良い塩梅。ただ作中のカタルシスは弱かったか。これまでのシリーズでは、大した実力があるとは思われていないランスが大活躍することでカタルシスを得られていたが、そういうのはなくなったかと。でもまあこれ、わざとくさいんだけどね。傾国関連のイベント見ているとわかるけど、今回のランスは溜めのランスというか。成長過程みたいなものを大事にしている気はした。
 しかし、テキストに関してはあっさり感が強すぎるかと。分量削ぎ落としすぎというか。総文章量で『大悪司』よりも下とは聞いていたけども、このあっさり感はちょっとなあ。昨今のエロゲがテキスト量多すぎることに対して反駁心とか燃やした結果のような気はするのだけど、やってる方としてはもうちょい量が欲しかったかなーと。以前、ライターのとりさんが『アリスの館7』辺りで想像の余地を残す云々言っていたわけで、今回もそれに続いているとは思うのだけど、オイラとしては違うパターンが見たかったなーと。
 だって、絵と文のバランスが普通のエロゲとは逆なんですもの。これだけの絵に対して、これだけのテキストがあるっていうバランスが逆。絵に対して、テキストが足りてない。こんなのは初めての経験ですよ。……いや、『ペルシオン』があったか。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows98/Me/2000/XP
CPU:PentiumII500MHz以上
メモリ:256MB以上
解像度:800*600,フルカラー
HDD:1.8GB以上
メディアドライブ:DVD-ROM
サウンド:WAVE
 地域制圧型シミュレーションゲーム。『鬼畜王』でヒットと飛ばした時、他社で類似製品出るかなーと思っていたけど、結局でなかったというビバ独自路線。他には真似できないクオリティ。リーフのビジュアルノベルなんて散々真似られたのにね。
 しかしまあ、TADAさん辺りはきっと「他社の地域型シミュレーションエロゲしたい」とかずっと思っていただろうなと。でもって、それが出ないもんだから、『大悪司』『戦国ランス』と作ったんだろーなーと。
 さて。話が逸れましたが、今回は『大悪司』『鬼畜王ランス』を進化させたシステムです。慣れる前までに時間がかかるが、理解した後は楽しいといういつものアレ。時間がかかるとは言っても、一見見たことのあるような感じになっているので、取っつきやすいことは取っつきやすい。しかし、それがミスリードになっており、最初はメチャクチャ難易度が高く感じるという罠。でも、慣れるととても簡単。
戦国ランスの戦闘 でもまぁ、このシステムは良く考えたものだと思う。『ランス6』の時も思ったけどさ。アリスソフトはスーパーシステムメーカーですよ。毎回毎回、独特のゲームデザインを良くできるものだと感心することしかり。この辺りは『戦国ランス』だけではなく、毎回出てくるゲームを含めて、歴史というか、重さというか。語彙がないのが悔しいけども、凄いとしか言いようがない。
 そして、絶妙に調整されたバランス。自分で考えたシステムだからこそ、絶妙に調整できるというのもあるのだろうけど、これはテストプレイを重ねまくらないとできない技。実際にその光景を見たわけではないけど、スタッフの血の滲むようなテストプレイの跡が伝わってくるですよ。今はコンシューマのゲームですら、禄にテストプレイできない経済状況なわけで、その暗黒時代にエロゲでここまでやれるのだから、それは脱帽としか言いようないっす。
戦国ランスマップ画面  で、内容はというと『信長の野望』型のシミュレーションのアレンジというか、発展型というか。イベントを進ませつつ、国盗り合戦、イベント、国盗り合戦という流れ。これにシナリオが組み込まれることでゲームとして成立している感じ。キモになってくるのは戦闘。これが今回の真骨頂。
 前衛、後衛、各3人ずつ、計6人編成での合戦形式。『大悪司』と『鬼畜王』を組み合わせた感じだけど、ユニット毎に兵種が定められているのでそれを有効に活かせるかがカギ。一番違うのは勝利方法。「戦果」と呼ばれるパラメーターを戦闘終了時に多く得ていた方が勝ちというのが独特。つまり、相手を全滅させたりする必要はなく、いかに戦果を稼ぐかが戦略のポイント。最初はコレに気付かずに火力でゴリ押しばかりしていたわけで、そうなってくるとキツイ。難易度が跳ね上がる。
 これがねー、非常によく出来ているのですよ。これまでこういった戦闘では火力が多い方が優るというのが基本だったけど、それを見事に覆してくれた。このシステムは本当に凄い。普通のSLGやRPGってどうしても火力の強化を優先しちゃうじゃないですか。間接魔法よりも、直接攻撃で敵を倒した方が効率的というのが一般的。
 しかし、戦果システムの導入によって防御やら補助の有用性がグーンと増したわけで、これは本当にお見事。ゲームの戦闘において、防御や補助を優先として物事を考えたことなんて無かっただけに、とても新鮮な感覚でプレイできたです。いかにダメージを与えるのではなく、いかに守るか、それを考えるのが楽しかった。
◎音楽

 ドラアタ氏かと思いきや、なんとshade氏が担当。ランスでシミュレーション、それの音楽をshade氏が担当となれば、もう期待しちゃうじゃないですか。でもって、その期待には見事に応えてくれているわけですよ。この辺りはノスタルジーなレベルなんですけど、『鬼畜王』のアレンジとかもあって、初めて聞いたときは涙腺が緩んだですわ。やっぱ、年取ると涙脆くなっていかんバイなあ。いい仕事してるです。
◎ボイス

 ありません。 
◎絵

 織音氏が原画を担当。大作なのにも関わらず、一人で担当。これはね、もう脱帽という言葉しかないですよ。開発期間がどれくらいだったのかはわからないですけど、『ランス6』以降からやっていたとしても、2年ちょっとしかないわけですよ。しかも、マニュアルを見る限りではジャンルが変わるほどの仕様変更があったわけで、その時に相当なボツ原画も出ているわけですわ。
 しかし、そんなロスがあったとは思えないくらいの仕事量とクオリティ。一時期のカーネリアン女史を思い出しましたわ。今の織音氏はそれくらいの充実期に入っているといっても過言ではなく、かつてオイラは『デアボリカ』をプレイした時に氏の絵を癖のある絵と批判したけど、それを撤回させてください。立派な絵師に成長なされた。むつみまさとさん、MIN☆NARAKENさん、ちょも山(退社されましたが)さん、おにぎり君とそうそうたる面子の中で、織音氏は間違いなくエースに成長したと思う。凄すぎて後は尻窄みになりゃしないか? と心配してしまうほど。
◎エロ

 これはね、正直期待していなかったのですよ。こんなことを言ったらエロゲーマーとして失格と言われるかもしれないですけどね。ですがまあ、これが思いの外良かった。TADA氏のコメントでは「ランスのHを楽しんでもらえたら……」という感じで、そんなプッシュはしていなかったように思ったんですけどね。これが仮想大賞のアイデア賞ものの出来でしたわ。
 凄腕の忍者、鈴女に分身Hを要求するランスとか、死ぬ一歩手前まで射精する術をかけてもらうランスとか、実父の目の前で娘(雪姫)を開脚Hで陵辱するランスとか、その娘が復習に燃えて自分の身体を売ってまでランスに復習を燃やすとか、印象深いシーンは多いです。特に雪姫関連については「JAPAN1の美女であり、清楚である」というキャラクター描写が強く、その清楚キャラを娼婦にまで突き堕とすのだからアッパレだっ・・アッパレやろうっ・・!としか言いようがないですわ。しっかし、TADAさんは相変わらず肉奴隷END好きだなーと思いました。
◎総評

 これは買いでしょう。というか、オイラが推さなくても充分に売れまくっているようで、良かった良かったという感じなのであります。タイトルからナンパリングが消えたのが良かったとか、内容が良かったとか、その前にフリー宣言した『鬼畜王』効果があったとか、いろいろ勝因はありそうですが、これで安心して続編を待てるというのは大きいですよ。
 それと今回、私的にスゴイと思ったのが今までの大作に比べて少人数での制作になっているという点。『闘神II』にせよ『鬼畜王』にせよ『大悪司』にせよ、これまでのアリスの大作は複数原画、複数ライターの総力戦で作ってきていただけに、少人数でここまでできているのはこれまでのノウハウが活かされているんだろーなと。原画1人、テキスト打ち1人とか、有り得ない構成ですよ。現在のエロゲ界は総力戦の大作じゃないとヒットはしないわけで、それではぽしゃった時に終わってしまうわけで、新しい方向性を見つけないといけなかったわけですよ。そういう背景も含めて、今回は拍手喝采なのでありました。
2007年2月12日 記

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