不確定世界の探偵紳士 デジアニメ/AVG/8800円/2000年4月21日発売)
◎はじめに

不確定世界の探偵紳士タイトル プレゼントプレイでの失態を汚名挽回、もとい汚名返上するかの如く発売されたのがこの作品。ってゆうか、探偵物というのはいい意味でズルい。どうしてもEVEクラスの作品を期待しちまうよねえ。EVEを面白いと思った人なら誰しもが買いたくなってしまうというか。EVEがロストワンからダメになってしまった分を、こちらに期待してしまう。要するにあの感動の再来を願ってしまったわけで。
 そういう意味で、この作品が発表された時はかなりドキドキしたのを覚えてる。そのまんまの不確定世界な世界観とか、天城小次郎を彷彿とさせる主人公とか、オモシロエキス全開! って感じだったんだよなあ。
 プレゼントプレイが見事に転けたので、デジアニメ自体、終わってしまったものと思っていたのだけど、しっかり生きていたのね。などと思いながら、買ったのであった。
◎ストーリー紹介

 道を歩けば銃撃戦に出会い、目の前の事故車からは裸の美少女が助けを求め、喫茶店でコーヒーを飲めば強盗が押し入り、事務所に戻れば瀕死の美女が縛られている。
 世の中、奇怪で淫らな事件があふれかえっている。
 運は極悪、腕は超一流、悪行双麻のもとへ今日も怪事件がおとずれる!

 ○事件解決の期間が短ければ報酬額が高くなり、長引けば遅延損害金が発生する。
 ○得た報酬で、新たな事件の情報やアイテムを買うことが可能。
 ○複数の事件を同時に進行させることも可能。

 などといったシステムを採用。
◎キャラクター

 主人公、悪行双麻(あぎょうそうま)、これに尽きる。ってゆうか、彼の生き様がカッコ良すぎ。
 EVE-burst error-の天城小次郎と80%くらいキャラ被ってるけど、それでもこの主人公はええわ。っつうか、こういうキャラクターを生み出すことができるライターって、私が知ってる限りでは1人だけなんだよな。
 才能というか、センスというかホントに凄いと思ったよ。まぁ、悪行双麻っていうネーミングセンスはどうかと思ったが。上でキャラが被っているって書いたけど、私的にはこういうキャラを描いてくれることを期待してた。で、その期待は裏切られなかった。なので良し。
 でもその分、他のキャラクターが悪行の強烈なイメージに潰されてしまい、薄い印象になってしまった。
 っつうか、このライターの最大の持ち味であるキャラクター描写という点でこの作品は弱い。主人公は別として、他が必要最低限なテキストしか用意されていないので、どうしても薄く感じてしまう。この辺は期待していた部分だけに残念。もっとも、並に作品に比べれば良く描けているのだけど。
 簡単に云えば、肉付け不足なんだよな。
 魅力的なヒロイン達を、もっと活躍させて欲しかったというのが私の意見。圧倒的なテキスト量でサ。
◎シナリオ

 中毒性は高い。私の場合、気付いたら2時間程経過していたという症状に陥った。危険である。
 テキストの組み立て、流れ、センス、どれをとっても一級品。世辞抜きにそう思う。テキスト描写においてのスキルが、普通のライターとは比べモノにならないほど高い。
 んでもって、いろいろと物事知ってやがるな、と今回も思った。化学(DESIRE)、政治(EVE)、歴史(YU-NO)……。博識なのか毎回相当な資料漁っているのかはわからないけど、この知識量は兎に角圧巻される。
 が、全体的に見てボリューム不足。プレゼントプレイみたく、鬼のように文章を読ませてくれることを期待していただけに残念。もっとも18禁ゲームとしては、普通のボリュームがあるわけだけど、以前の作品達と比べる×。手を抜いたのか、開発期間が短かったのか、などといった推測をしてしまう(多分、後者)。
 そうそう、ライターの名前は剣乃ゆきひろ氏。一作品全部こなしたのはエクソダスギルティー以来という事になるかな。随分と間が開いたけど、社長業が忙しかったのだろう、きっと。
 余談になるが、どうも”管野ひろゆき”という本名の方は、しっくりとこない。なぜだろう。エクソダスギルティーが転けたからかな? ――多分そうだろう。
 で、本題。今回の氏の作品は、バリバリの探偵物ということで、ミステリーの部分がかなり面白い。ゴースト事件とか、消えた夫とか、導入部を見ただけで事件の真相がかなり気になる出来。
 それと、人物関係の繋がりが凄かった。ヒントは山ほど提示されていたのに、答えが出されるまでまったく真相に気付けなかった。あー、ちくしょう、こういうことだったのかと何度も思ったね。私の注意不足っていう面もあったけど。複数の事件が同時に進行してゆく、という展開にどうしてもなるので、シナリオの多重構造の複雑さが、深層心理にミスディレクションをかけており、真相が上手い具合に謎として誤魔化されてしまう。
 まぁ、面白いのよ。でも、EVEやYU-NOやDESIREの方が上。そのくらいのレベル。好みの問題も多少はあるけど、客観的に見ても上記の作品の方が上。それは、さっき書いたようにボリュームに問題があるから。面白いが故に、もっと続きを、もっとボリュームを求めてしまう。並のレベルの作品だったら、この程度のボリュームでも充分に満足したと思うけど、このゲームの場合はそうじゃない。
 久々に、ゲームを終わらせたくない衝動に駆られた。そういうクラスの作品。だからもっと読ませろ、テキストを。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98/2000
CPU:PentiumII150MHz以上(推奨MMX200MHz以上)
メモリ:32MB以上(推奨64MB以上)
解像度:640*480,ハイカラー表示可能(フルカラー推奨)
HDD:450MB以上
CD-ROM:2倍速以上
サウンド:PCM
 滅茶苦茶不安だったシステムだけど、あら不思議と軽い。つまりは反省したという事だな。プレゼントプレイでは、ほんっとに頭来たからなぁ。
 っつうわけで、そういった方面でのシステムに問題はなし。バグも無かったし、セーブデータも破壊されなかった(笑) ってゆうか、これは前回が非道すぎただけなんだけど。
 プレイした印象としては、結構難しい。総当たり要素+思考能力&注意力がクリアには必要になってくる。無駄に移動していると、すぐに1日、2日と時間が過ぎてしまう。でも救済手段が豊富なので、結局は誰でもクリアできるっていうレベル。だるそうだなぁ、とか思ってるヌルゲーマーにも安心仕様。
 それはさておき、ゲーム面でのシステムについて。
 ADMSやマルチサイトといった凄いシステムを考案してきた剣乃氏だけど、今回はそれに比べるとレベルは落ちる。だが、決して悪いわけじゃない。なかなかのアイデアだなとは思った。
 まず、私が注目した部分として、報酬のシステムがあげられる。依頼を解決すると金が貰え、解決日数によってその金額が異なるというもの。これを見た時に感じたのは、金を貰うことでプレイヤーのモチベーションは高まるのか? っていうこと。
 RPGとかなら、アイテムや武器を買うという欲求が満たされるわけだから、このシステムが通用するとは思うのだけど、当然ながら、この作品にそんなものはない。金なんか貰っても、うれしくもなんともないんじゃないの、と思った。が、そんなこたぁなかった。金の使い道は、割としょうもないモノなのだけど、それでもこのシステムは成功している。遅延損害金が発生したときに、悲しくなるのが何よりの証拠。そう思わせたって事は成功してるって事でしょ。
 続いて、三重のADVシステム。これは、場面によって、AVG、ノベル、クリックモード(YU-NOや同級生のシステム)にそれぞれ変化するというシステム。今の時点で私の知る限りでは、こういうシステムを採用しているゲームは無かったと思う。場面毎に形式が変わるというのが、斬新で面白かった。
 その他の操作性についても、随分と親切になっており問題がなかった。好印象。プレプレではダメだったウインドウ表示が今回は可能。
 普通、一度糞システムを出したところは、ドツボに嵌ってしまうものだけど、ここは見事に脱出した。偉い。
 が、HDDが450MB喰われたのは、納得いかなかったな。ムービーも音声も無かったというのに。なぜ?
◎音楽

 Direct Sound。詳しいことはわからないけど、モノラルやね。音質が落としてある。容量不足からか? その割にHDDは喰ったし。わけわからん容量の使い方するなデジアニメ。
 曲自体は良い感じ。エクソダスギルティーの音楽と同じ人。ああっと、ダメだって事じゃないんだってば。ハードボイルドな世界観に見事にマッチしている。例えるなら、神宮寺三郎シリーズの曲に近い。探偵ゲームの曲だな、って感じ。
 曲数はモードが無かったので大体しかわからないけど、全部で10数曲くらい。泣きの部分の曲とか、格闘部分のハードな曲とか、どれも良い感じだった。故に音質が落としてあったのが悔やまれる。
◎ムービー

 あれあれあれ? ないぞ(笑) デジアニメなのに。プレプレの時は、30分以上のムービーシーンがあったのになぁ。一応、オープニングではムービーしているのだけど。カッコよく。
◎絵とエロ

不確定世界の探偵紳士AVG画面 原画はスタジオβ。つまりは田島直さんやね。絵柄はかなり好みなんだけど、CGの塗りにグラデーションが無いので変。身体とかの輪郭線が、妙に目立っていてそれも変。アンチエイリアスのかかりが変というか。
 もっとも、これが作風という可能性もあるので、その辺の受け取り方が難しい所ではある。ま、好みの問題ということで。いや、これはダメな出来だな。どっちやねん。
 その反面、背景は妙に綺麗だった。昼間、夕方、夜と三パターン用意されておりかなり凝って塗ってある。夕方の背景なんて殆ど表示されてないのにわざわざ描いてるし。まあ、背景は外注なんだろうな。
不確定世界の探偵紳士Hシーン Hシーンはクリックモードであったり、ノベルであったり色々表示形式が変化する。
 クリックモードでのHシーンは面白い。最近、まったく見なかっただけに、なかなか楽しめた。アイコンが、いろいろと変化するし(笑)
 エロ度も結構高い。マウスクリック仕様が故にご使用には耐え難いものがあるけど。なにより、シナリオに融合しているHシーンっていう感じが強くする。
 が、テキストが私には合わなかった。なんつうか、表現がくどくどしているというか、表現が親父向けの官能小説みたいというか。それに、HCGの枚数も少なかったし。
 それでも、手を抜いている感じはしなかった。シナリオに対する、Hシーンの割合は多かったし。各事件で必ず2〜3回は盛り込んである。
 純愛系、鬼畜系、色々とあり。でも、メインは鬼畜。  
◎総評

 複雑な意味でファンは買い。この言葉って、ファン以外は受け付けない、っていう意味も込められてしまうけど、この作品にはそういう所あるね。
 下世話なキャラ「〜ですぅ」みたいなものもいないし、他の18禁ゲーム作品郡とは方向性がまったく違う。
 けど面白い。それは確か。間違いない。感動もした。
 プレゼントプレイに比べると、開発費も開発期間も相当削られての制作だったと予想される。クレジットには10人も名前なかったし。
 これが売れないと、会社自体がやばそうなので、剣乃さんを業界に留めておきたい方は是非ご購入を。
 折角、才能が帰って来たんだし、このまま霧散させてしまうのもね。
2000年4月25日 記
2002年1月10日 修正

home