To Heart



メーカー  リーフ
ジャンル  ビジュアルノベル
値段 8800円(5680円(税別)でゲット)

   


(C) Leaf



 知名度がすんげえ、すげえ(笑)。当時は、まだ18禁系のソフトに疎かった私ですが、こいつの名前は知っていました。めちゃめちゃ売れた、シナリオで涙できる、そういった類の情報も知っておりました。普通、18禁のゲームの情報っていうのは、コンシューマーユーザーの耳には届かないじゃないですか? しかし、この作品、めちゃめちゃ知名度があります。つうわけで、こいつを買いにいったわけです。

 大変良くできました。
 この作品、非常によく出来ています。さすがは、マネゲーまで作らせた(To Heartのヒット以来、18禁業界には学園物のAVGが数多く流出した)、ほどのヒット作です。ってゆうか、ひとつの流行みたいになりました。
  ゲーム的には、普通の高校生活を舞台に、文章を読みながら途中で出てくる選択肢によって、ストーリーが分岐してゆくという感じですな。特に、新しさというのもありません。では、なにゆえに、大変よく出来ました、なのでしょうか?

 まずは、キャラクターを見てみる。
 主人公。まあ、普通です。少し不良っけがあるけど正義感が強いっていう感じです。この辺は、へんに濃いキャラだと、感情移入しにくい、という点からでしょう。なんというか、いい奴って感じです。
 メインヒロイン(あかり)。これも、まあ普通です。やさしくてお人好し。こういった、恋愛ゲーではありがちな、幼なじみという設定。そして、主人公を好きと思っている。しかし、主人公はヒロインのことが好きではない、というか自分でもよくわからない。この辺は、これといって変わっているなあ、といった点はありませんのです。しかし、日常にはこんな奴ほとんどいないでしょう。強いて言えば、ゲーム上ではよくあるパターンといったところでしょうか? しかし、このヒロインがプレイヤーに人気がでたのは、プレイヤーがこういった、ありそうでない、なさそうである、よくある日常みたいなものを求めたからではないのでしょうか? また、18禁ユーザーの要望に、こういったキャラをだしてほしいという欲求があったのかもしれません。思わず守ってあげたくなるような……。
 その他のヒロイン。これは、結構異色なキャラが多いです。ヒロインが普通なだけ、その他のキャラに特色をだしたのでしょうか? これらは、普通の恋愛ゲーとはかなり異なっており、他の作品ではない、To Heartの世界みたいなものをつくりだしているといえます。To Heartの世界観というのは、私たちの住んでいる日常に限りなく近いけれども、それとは微妙に異なっている世界なのです。普通の恋愛ゲーでは、私たちの住んでいる世界を舞台にしたゲームが多かったのですが、この作品ではその殻を破ることにより、世界観をかもし出しているのです。
 まあ、そんなことを気にするプレイヤーはいないのですがね。
 少し、話が逸れてしまいました。その他のヒロインは異色なキャラが多いっていう話でした。超能力者やアンドロイド、オカルト好き、など、まあ、コンシューマーだったら実験的で、できないことをやっているのですな。しかし、それによって、9人もいるヒロインの個性をきちんと形作っているのも確かです。無理に性格や容姿に変化をつけていないのは、良いところです。まあ、それなりの違いはありますが……(なかったら面白くないしね)。

 ストーリーは?
 いわゆる、ごく普通の日常(とは少しだけ違う)を舞台にしています。これといって変わっているな、というストーリーはありませんでした。
しかし、この作品で涙した人はかなり多いと聞きます。なぜでしょうか? それは、良くシナリオが書けているからです。一部を除いて、シナリオはごく普通の物語です。それゆえに、ライターの手腕というものが問われるわけです。「雫」の時でも書きましたが、このビジュアルノベルというジャンルはシナリオが命です。そのシナリオの出来がすばらしい。
 ゲームでは、得てしてキャラを描くのではなく、ストーリーを描いているものが多かったのですが、この作品ではキャラを描いています。まあ、恋愛物は大抵がそうですがね。この作品のシナリオは、いわゆるゲームらしさ、プレイヤーが喜ぶように作られているのですね。漫画家は、読者のことを考えて作品を創るとかいいますが、このゲームでもそれが、あてはまります。やりたいことやっているなあ、というのはありませんが、ユーザーフレンドリーなんですね、とても。
「シナリオで涙する」、というのは、そんじょそこらのテキストで、できることではありません。そうとうな脚本の腕が必要です。この作品の方は本当に才能ありますよ。キャラを描くと言う事に長けてらっしゃる。心理描写と場のもっていきかた、それと、ストーリーの流れがとても素晴らしくできているのですな。
 このビジュアルノベルというシリーズは、ホントに「パラレルワールド」、というものを体感させてくれます。こういったことはホント、ゲームでしかできませんからね。新鮮ですよ。もしも、あの時にああだったら……、なんてことを体験できます。まあ、今作では、前の二作に比べると劣っている個所かもしれませんが……。でも、数回プレイをすることによってわかってくる、人物の関係というものは、なかなか面白いものです。
 それと、すんごくボリュームがあるんですよね。文字量にして前作の倍近くはあるのではないのでしょうか? プレイ時間も20時間くらいはあるでしょう。「登場ヒロインの一人一人にきちんとしたストーリーがあり」、っていうのは定番なのですが、なんともいいんですよね。温かさというのがあるんです。
 それと、プレイ期間ね。「3月の終りから5月の頭まで」、とあまり見られないパターンなんですよね、このゲーム。春はうつり代わりの季節だとか、出会いの季節だ、とかいろいろな意味があるのだとは思いますが……。プレイ期間が短いってゆうのは、当時のゲームにはあまりなかったことですけど、一日一日を描くっていう意味でとても良いものになっています。
 そうそう、この頃の高校生って、将来に不安とか感じるじゃないですか? 今までの自分で良いのだろうか? とか。それとは逆に、何かを期待しているという考えもありますよね。主人公もそういう考えをもっているのですよ。そういう、不安とか、期待とかの感情表現みたいなものもね、作品を良くしている要因だと思うのですよ。微妙な年頃の考えをうまーく、作品に出しているのですな。
 ストーリーは心理描写が良いっていうことで……。

 Hシーン。
 いわゆる、純愛系しかないのですけれど、とても良く出来ています。以前のリーフでは、ダーク系が多かったのですが、今作ではダーク系はありません。リーフもこの作品から、作品の方向が大きく変わりました。以前のリーフはダーク系の印象が多かったのですが、今作からは、Light系に変わってしまったという……。それで、リーフのファンが急増したのですから、世間ではLight系を強く求める傾向にあるのでしょうね。えっ? 私ですか? まあ、あんまり強すぎるダーク系はダメかな……という感じです。
 Light系でも、それなりの濃厚さは、ありました。この脚本家の方の文章は、毎回とても良く出来ています。Light系でも、エロティックな部分は忘れてはいないです。
 CG枚数は40枚くらいでしょうか? まあ、普通ってところでしょう。へたにHシーンばかりが多い、駄ゲーよりは全然良いです(日本語変ですね)。ってゆうか、現在のHゲー業界から考えると40枚っていうのは多い方ですよね。

 音楽音楽。
 普通の場合、18禁ゲームって20曲ぐらいが相場じゃないですか? しかし、このゲームの場合30曲以上が収録されています。すごい、気合入ってます。
 私的には、多少大味になったかな? などと思うのですが、それでもすばらしい曲達が収録されています。今までの作品とは、雰囲気とかの表現のしかたが難しいと思うのですよ。前回までは、暗いやら、昔風やら、割とイメージしやすいものだったと思うのですが、今回はよくある日常生活みたいなのを曲にしなければいけませんからね。そういったのを曲にすると単調になりやすいじゃないですか。聞いていてもつまらないっていう……。このあたりの表現がなかなか良かったと思うのです。まあ、少し単調でしたけど……。しかし、キャラクターのテーマなどは、やはりリーフ、音でキャラを表現できているんですな。この曲を聞いただけで、キャラクターのイメージが掴めてしまうぞ、みたいなね。
 あと、それらとは、まったく違うときに使われる曲ですね、格闘シーンとか感動シーンとかの。これはもう雰囲気ばっちり、効果抜群ですよ。こう、場を盛り上げたり、涙を誘ったりとかね。
 ああ、そうそう。忘れてました。今回、オープニングとエンディングにボーカル入りの曲が使用されているのですよ。こいつが、なかなかよく出来ています。雫、痕と結構売れて、ここいらで一発かましたるぞ、っていう意気込みが感じられる……かどうかはわかりませんが……(笑)。なんかまた日本語変でしたね。

 グラフィックぐらふぃっく。
 タイトルロゴのデザインがイマイチでした。前作までは、いい感じなロゴだったんですけど、今回はなんか好きではなかったです。
 人物画はより、一般向けへ、ってとこです。今までの絵はあまり好まれる、絵柄ではなかったですからね。まあ、それでも嫌いと言う人多いですけど。親しみやすい絵柄になってます。
 表情のパターンが5〜6種類あり、っていうのは、もうあたりまえになってしまいましたね。よく描けています。
 背景絵を描かせたら定評がある……なんてことを誰がいったかは知りませんが、背景がうまいんですよね。前作まではモノクロ調の写真のフィルムみたいな感じでしたが、今回は舞台自体明るいですからね。それに合わせて明るい感じの背景になっています。特に言う事はないです。

 システムしすてむぅ。
 今までのビジュアルノベルシリーズでは、システムに難がありましたが、今作ではそれが改良されています。前回はひとつのしおりにしか、全体データが記録できませんでしたが、今回はバリバリそれが改良されています。
しかし、今回、前回までにあった「ひとつ前の選択肢に戻る」、というコマンドがなぜか無くなっています。なぜなのかはわかりませんが……。これは、無くさなくてもよかったように思うのですが……。
 それ以外は、いつもと同じです。「一度見た文章は早く表示する」、などを使って快適プレイです。
 そうそう、それ以外に「思い出のアルバム」なんて機能も追加されました。これは、ゲームの場面ばめんをアルバムという形で記録できるものです。まあ、「すべてのキャラのすべての表情を記録してやるぞー」、みたいなコレクター要素ってことです。
 まあ、このジャンルって最低限のシステムがあれば良いですからね。でも、セーブファイルが5つしかなかったのは少し困りました。

 



 通常シーン。画面サイズが変わった事以外の基本システムは痕、雫とほぼ同じ。でっかい文字がでて……、という奴ですな。それと、背景の書き込みが凄い。



 Hシーン。すげえ、奇麗。256色とは思えない出来。枚数は普通くらいだが、ストーリーの性質上たどりつくまでに時間がかかる。

最後に……。
 今までの、ビジュアルノベルシリーズって、ボリューム的に少し少なかったんですよ。でも今回は登場ヒロインが8人プラス1人いて、それぞれにストーリーが容易されているので、ボリューム的に大満足です。8800円分のボリュームはありました。
 それと、恋愛ゲー嫌いな人に向かないゲームですね。まるまる純愛ですから……、浮気も無いし。良くも悪くもLightなんですよね。主人公がクサイ台詞いうときもあるし。
 でも、私的には面白かったです。
 まだ、やっていない方はプレイしましょう。


平成10年12月5日 記
平成11年2月7日 画像追加