とらいあんぐるハート3ジャニス/AVG/8800円/2000年12月08日発売)
◎はじめに

 というわけで、人気シリーズの第3作品目。マニュアル等には何処にも書いていなかったが今作品でこのシリーズは完結。ファンにとってはなんとも悲しい話である。が、別の形でなにかしら作られるような気はするナ。
 それにしてもエロゲで“3”まで続くとは……なかなか立派なものである。
◎ストーリー紹介

とらいあんぐるハート3 パッケージ 舞台は、海と山のほど近い町「海鳴」。
 主人公、高町恭也は、その海鳴の市内にある「私立風芽丘学園」の三年生。
 忙しいながらも家族思いな母、桃子に支えられ、恭也と美由希は、かつて恭也の父が市販をしていた武道「小太刀ニ刀・御神流」を学び、自宅の道場で、互いに武の道を進んでいた。
 そして、恭也を「師匠」と慕い、ほとんど高町家の家族のように日々を過ごしている、近所に住む少女、城島晶。
 家庭の事情で高町家に居候している、中国人ハーフの女の子、鳳蓮飛(フォウ・レンフェイ(通称レン))。
 恭也たちの母が営む喫茶店「翠屋」にてアルバイトをしている、英国生まれの歌手、フィアッセ・クリステラ。
 彼女たちもまた高町家に溶け込み、平和に暮らしていた。
 そして春、新入学の季節。
 明るく前向きながら、いつも失敗ばかりしてしまう後輩、神咲那美。
 どこか冷たく、無口なわりに、恭也たちとだけは仲の良いクラスメイト、月島忍。
 そんな少女たちとともに、日々は平穏に過ぎていく……。
 ――春先の柔らかな海鳴に、今、強く激しい風が吹き始める。
◎キャラクター

 相変わらずプレイヤーを惹きつけるのが巧い。プレイヤーに“狙ってるな、これは”と思わせた時点でそのキャラは死んでしまうわけだが、この作品には(とらハシリーズ全般にもいえるが)それがない。結構、ギリギリのところを攻めているのにも関わらず、そうと思わせないキャラ構築は本シリーズ最大の武器。が、正直なところ1や2の時ほどのインパクトはない。総じて良いとは思うのだが、3作目ということでマンネリしてしまったか。勿論、1と2でこちらに耐性ができてしまったということもあるのだが。
 問題なのが主人公。キャラ構築という点においては、間違っていないのだが、如何せん活躍してくれない。バイオレンスなシナリオが多い中で剣術使いという設定なのだから、いくらでも活躍させる場所はあった筈。というよりも、他のヒロインの踏み台的扱いが殆どなのでなんとも悲しい。
 尚、前作、前々作のキャラがゲスト出演してくれる。それは単純にうれしい。時系列的に1と2の数年後が舞台となっているので、あのキャラのその後の成長っぷりがわかる。
 そして、今回キャラクターに関して一番面白く思ったのは、ずばりその年齢について。
 何処にも表記されていない各キャラクターの今の年齢だが、作中の回想シーン等から大体の逆算ができてしまう。そして、その年齢が(フィアッセ以外)明らかに18歳に到達していない。
 と、ここまでだったら割とよくある話なのだが、問題になってくるのはレンと晶の年齢。……この2人、おそらくは中学生である。レンにいたっては中学1年生。いいのか?
 “高校”ではなく“学園”と明記することで、高校生クラスは見逃されてきたが、さすがに中学生が大丈夫となってくると話はまた違ってくる。まぁ、そこが面白いと思ったわけなのだけど。でも、いいのか?
◎シナリオ

 都築真紀さん。+シナリオサポートが4人(シナリオサポートというのは、資料集めや日常会話用のちょっとしたテキストを書いたりする方のことなのか? よくわからん)。
 前作まではシチュエーション重視的なところがあったが、今回はシナリオ直球勝負。――守りたいもの、ありますか。をテーマにヒロイン6人+αのストーリーがそれぞれ展開される。
 しかし、このテーマ。作品中でほとんど生かされていない。作品をプレイ終わった今、こうやって考えてみても、守ったという感がどうしても中途半端になってしまっている。作品は各ヒロインの成長がメインとなっており、主人公は完全に踏み台的存在。
 また、シリーズの売りである、らぶらぶ&あまあまな雰囲気も今回は薄い。とかく恋愛部分の描写がおざなりになってしまっており、その部分に関して消化不良なものを感じてしまった。まぁ、主人公の性格上からかもしれないが、もう少しやり方はあった筈。
 しかし、相変わらずキャラの掛け合いやテキストは面白い。この辺の良さは今回も健在。
 シチュエーションは1+2の良いとこ取り。ヒロインの殆どが家族的な存在になっており、学園も舞台の1つとして登場する。
 しかし、プレイ期間が1ヶ月にも満たないというのは短い。2のように1年くらい期間があれば、いろいろと季節イベントを盛り込めたと思うのだが……。
◎システム

■必要環境■
OS:Windows95/98/2000/Me
CPU:Pentium166MHz以上(推奨200MHz以上)
メモリ:32MB以上(推奨64MB以上)
解像度:640*480,ハイカラー以上
HDD:700MB以上(推奨1400MB以上)
CD-ROM:4倍速以上
サウンド:PCM,CD-DA
 今回、一番パワーアップしていた部分。前作までは結構おざなりなシステムで動いていたが、今回のはかなりしっかりとした出来。その軽さが体感でわかる。フルインスールすればCDが不必要となるのもうれしい。
 この手の作品としての基本的なシステムはすべて完備。2では無かった既読、未読の判別もある。テキスト回想においては、全テキストを閲覧することが可能。色々とパワーアップしており、クイックセーブやロードなども可能になっている。逆クリックの割り当てなどもいじれる。また、エフェクト関係をクリックでかっとばすことができるのもうれしい。
 ゲームの部分は殆ど前作と同じ。今回も3部構成。しかし、部割りしている意味が2に比べると減ってしまっている。というよりも、その意味があまり感じられなかった。強いていえば、フラグの管理のしやすさからか?
 そして、3からの要素としてあるのが制限時間付きの選択肢。いわずもがなサクラ大戦からのパクリである。
 パクリでも、オリジナルを超えていればそれなりに評価できるのだが、とらハ3のこれはどう見てもサクラ以下。バトルシーンやピンチのシーンでは上手く機能しているのだが、それ以外ではあまり必要性を感じられなかった。
◎音楽

 I've&OdiakeSさんが担当。前者がヴォーカル曲、後者がBGM担当である。
 前作まではMIDIだったが、今回はWAVE。STEREOとはいえ音質がやや落としてあるのが残念。CD-DAでも良かったとは思うが、フルインストールできる仕様の方が個人的には好きなのでWAVEでオーケイ。
 ヴォーカル曲は全部で三曲。とらハらしさは消え去っており、実にI'veナイズされたヴォーカル曲となっている。勿論、素晴らしい出来。しかし、とらハにI'veを持ちこまなくてもナ……。
 BGMの方も実に良い。ピアノ曲のMOONLIGHTの旋律が見事に感情を揺さぶってくれた。戦闘の曲(The End Of Destinyなど)もかなり好み。このまま大作RPGに乗っけてもいいくらいな完成度。
 実は殆ど期待していなかった部分なだけに、こういう意味での裏切りはうれしい。
◎ボイス

 前作以上に巧い。そして、フルボイス。でもって、最近ではそういうのが緩くなったのか、声優の名前がキチンと載っている。これからはどんどんこうなっていくのだろうか。
 それにしても、驚いたのがレン役の岩城由奈さん。1では鷹城唯子のCVを担当されていた方なのだが、その上達っぷりが素晴らしい。1の当時はヘタレボイスとマニアックなファンを獲得されていた岩城さんだが、3にきてここまで成長されるとは誰が予想しただろうか。途中までそれとは全く気付かなかった。
 気付かなかったといえば、声優の兼業。今回、声優の兼業が多いのだが、そうと気づかせないように演技が成されていた。だから、兼業でも全く気にならない。というよりも、クレジットを見るまでそれとは気付かないだろう(ゆうひ役と晶役の方が一緒だなんて信じられん!)。いやはや、さすがはプロフェッショナルである。花音マンセー、と(笑)。
◎絵

とらいあんぐるハート3 通常シーン キャラクターデザイン都築真紀さん、原画かっちんさんと前作と同じ。かっちんさんの絵柄も2の頃と特に変わってはいない。CGの塗りは今までの作品と比べるとかなり丁寧になった。製作期間やら開発費やらが増えて、一番それを注がれた部分がここになっている。枚数もかなり増えた。大作っぷりが伺える作り込み。
 そして恒例のオープニング。前作でのオープニングの出来は散々なものであったが、今回は一体どんな作りになっているのか。制作費が増えた分、当然プレイヤーを満足させる作りになっているだろう。と思いつつ眺め始めたのだが……。荒ッ!!!!!!
 数々の期待を見事に裏切り、凄まじい程の荒い粒子によるムービー。avi形式。
 多少のアニメーションはあるものの、今回もムービーを使うことの意味を見出せない出来。アリスやKEYだったら、これと同じオープニングをプログラムで動かすだろう。
◎エロ

とらいあんぐるハート3 エロシーン これまでの作品に比べると出し惜しみしている。この辺、とらハらしくない。プライオリティもここにあらず、といった印象。
 1>3>2。CG枚数的には過去最高になっているのだが、似たような構図が多かったりとイマイチエロさを感じられない。まぁ、こんなもんか。前に比べるとラブラブ面についての描写が今一つ。
 複数回エッチは今回も健在。回数的には1よりも多い。
 手を抜いているのではないが、力不足といった印象。
◎総評

 これまで、あまり肯定的な意見を書いていなかったのだが、結局のところは面白いと思ったわけで。
 全キャラクリアも苦痛ではなかったし、物語としても充分に楽しめた。無理矢理、時間を作ってまでプレイしちゃったし。
 しかし、とらハらしさが失われてしまっている部分もある。人間の裏の部分(悪意などの汚い心)をできるだけ排除しているというのが、シリーズの特徴であったハズなのに、今回はシナリオ的にちょっと重い。もっと暖かいストーリーが良かったんだけどナ。――いっても始まらないか。
 とにかく、今回で完結編。なんかそれっぽい感じはした。区切りの部分があったというか。都築さんなりの決着のつけ方が見えたというか。
 そんなわけでレビュー終わり……とはならない。まだ続く▽。
◎キャラ別シナリオレビュー(例によってパクリの方向性で)

 ◎高町美由希
 今回のメインヒロイン(エセ)。御神流を極める為に、主人公から剣の修行を受けている高校1年生。
 美由希シナリオの見所はやはり主人公VS美沙斗さんのバトルだろう。技の応酬が燃える。しかし、折角主人公が強いのだから、絶対悪と闘わせて欲しかったというのはある。美沙斗さんとでは後味が悪い。龍側の技の使い手とかを敵役で用意して欲しかった。
 それ以外では神速を初発動させるシーンがお気に入り。御神流、ホントになんでもありである。
 キャラとしての美由希はあんまり好きじゃないタイプ。というよりも、声優がイマニ。少なくとも、とらハ3の中では間違いなく一番ヘタっぴ。まぁ、こういう演技をしているという可能性もあるだが。

 ◎フィアッセ・クリステラ
 ラブちゃ箱ですでに複線が張ってあったキャラ。美由希をメインと見せかけておいて、実はこっちが本命だったという話。
 しっかり系のお姉さんタイプ。日本に来て喉を治療する傍ら、主人公の母親が経営する翠屋で働く頑張り屋。しかし、主人公の学校にできたて昼食をアポなしで持ってきたりする等、突拍子もない部分も持ち合わせている。個人的には、『ほ、ほんとに切っちゃう子がいますか』の電話イベントが好き。キャラとしても、一番のお気に入り。
 フィアッセシナリオのラストはとらハシリーズのフィナーレを思わせる出来だった。プレイし終わった後は、『あー、完結しちゃったなぁ……』としみじみ感じた。

 ◎神咲那美
 前作で登場した神咲薫の妹。
 那美役の日向祐羅さんは、前作で登場した二村知佳のCVと同じ方。知佳役の時とは名前が違っているのだが、改名したらしい(余談)。
 那美シナリオでは主人公VS薫のバトルが燃える。テキスト量が少ない上に中途半端な決着のつきかただったが、いつの日か再戦して欲しい。
 シナリオの核となってくる久遠関連のことだが、テーマにのっとって主人公に活躍させた方が良かったのではと思う。天然でイマイチ頼りにならない那美が本番で大活躍するというのはちと無理を感じた。
 あと、神社でHシーンというのがTo Heartを彷彿とさせて嫌だった。複数回あるからさらに無理がでていたし。
 那美というキャラ自体は本人至極気に入っているのだけど。

 ◎鳳蓮飛
 壱乃小鳥系容姿的人物(とらハ1でいう小鳥系の容姿のキャラ)。性格は違うけど(でも、レンの性格も良い)。
 お弁当対決なんて、いかにもとらハらしい。実にほのぼのとしている。また、ライバル的存在である晶との掛け合いも良い。そこで突っ込み役としてでてくるなのはもまたアクセントになってて実に平和なんだわ。出会いのエピソードも二人の気持ちの齟齬が実に面白いし。
 ラストシーン(手術の成功の是非など)は実にあっさりとしていたが、これは正解。欲をいうならば、もう一つくらい締めとなるエピソードが欲しかったか。
 レンシナリオは、病院で一人で泣いてるシーンがなによりも印象に残った。普段は気丈に振舞っているが、実は裏で発散していたという名シーンである。

 ◎城島晶
 上でも書いたが、ゆうひ声と同じとは信じられん!
 空手使いで料理が得意な人。私的とらハ3キャラクターランキングでは最下位に位置する。しかし、そういうキャラに限ってやたらと活躍する。晶シナリオでは勿論、レンシナリオでも大活躍した。
 数々のシナリオで主人公は見せ場を他のヒロイン達に奪われてきたが、晶シナリオほどそれを如実に物語っているものもないだろう。
 主人公、晶に負けて気絶!
 美由希シナリオでもなかったのに、まさか晶シナリオでこれをもってくるとは思わなんだ。まぁ、シナリオの締めとしては悪くないのかもしれんが。

 ◎月村忍
 ファーストインプレッションではイマイチだと思っていた人。しかし、こんなところに伏兵が隠れているとは。恐るべし、発情期。学校でのエロシーンはとらハ3エロシーンの中でも上位に食い込む。
 そして、意外にもとらハ3の中では1位か2位を競うほどのシナリオ完成度。ノエルシナリオの分も含めているからこそのボリューム、とも思えるのだが、ここは素直に良い出来だったと云っておきたい。
 とらハらしさという部分では、忍シナリオが一番だった。ラブラブ&ほのぼの、である。
 しかし、イレイン戦ではもっと主人公を活躍させて欲しかった。神速等の奥義を使えば、イレインとタメ張るだけのパワーを主人公は持っていたハズなのに。あれでは、まるでノエルが主人公である。実に惜しい。あそこで主人公が大活躍すれば、文句無かったのに。

 ◎ノエル・エーアリヒカイト
 実におざなりなシナリオの出来。シナリオというものは特に存在せず、エッチシーンのみが用意されているといっても過言ではない。しかし、忍シナリオ=ノエルシナリオと考えれば、大活躍したといえる。が、そう考えると忍の立場が無くなるんだよな。
 ま、キャラ的にそんなに気に入っていたわけでもないので、シナリオが無くても別に良かった。私的には。
 余談だが、ロケットパンチを那美に向けて撃つシーンが笑えた。立ちCGも見事にハマっていたし。

 ◎その他のキャラとか
 総キャラ数的には増えたが、攻略キャラが減ってしまったので、結果的に非攻略キャラが増えてしまった。実に残念。1や2のキャラが何人も登場していたので『何人かは攻略可能なんか?』と思っていたのだが、その期待は見事に裏切られてしまったし(フィリス先生ッ!)。
 というか、やはりアリサシナリオにツッコミをいれておきたいところ。争点となってくるのは、小学生か大きめに見ても中学生にしか見えないアリサの陵辱シーン。とらハの趣旨からもずれていると思うし、あれはアリなんか? でも、今回のエッチシーンの中で一番興奮したのはあのシーンなんだよな……(クズめ)。

 ◎あとがき
 終わった。楽しい物語が終わると、いつもなんとも云えない脱力感と虚無感に包まれる。今回のとらハ3もそれだ。
 世界観に浸るのがここまで楽しい作品もそうはないだろう。嗜好などというものは十人十色だが、少なくとも私はとらハに魅了され狂わされた。あのほいみんさんが……と云われるくらいに。
 なにがあろうと、それだけは間違いないわけで。
2000年12月18日 記
2002年3月3日 修正

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